【鈴木敏文氏、これからの消費を語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833424495
64万6000円。
これは、セブン-イレブン・ジャパンのチェーン全体の一店舗あたりの平均日販です。
ローソンは49万8000円、ファミリーマートは51万1000円だそうですから、セブン-イレブンの日販は他チェーンよりざっくり言って15万円ほど高いことになります。
セブン-イレブンの日販が高いことは、以前からも指摘されていましたが、なぜそんなに突出した数字が実現できるのか。
その秘密を、創設者の鈴木敏文氏が語ったのが、本日ご紹介する『鈴木敏文のCX入門』です。
「CX」とは、「顧客体験」のことですが、本書では、著者がどうやって消費者の変化に対応し、顧客体験を創ってきたか、セブン-イレブンの事例を中心に語られています。
海辺の町で、釣り客に梅おにぎりを勧める理由は何か、ポストコロナ社会のキーワードである「消費のレジャー化」「家族ぐるみ」にどう対応するか、なぜ女性向けに常温ドリンクが売れたのか、なぜ割高なカット大根が売れるのか…。
顧客の「体験価値」を軸にした商売のあり方が、これでもかというくらいに例示されています。
Francfrancに便座カバーが置かれていない理由、青山フラワーマーケットやルミネがヒットした理由なども、大変勉強になりました。
モノ余りの時代、ポストコロナ時代にどうやって売るか、明確な指針が示された本だと思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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海辺の町で、釣り船の発着場に近い道路沿いにセブン-イレブンの店舗があったとします。いまは釣りシーズン真っ盛りです。明日は週末で、天気予報では晴天で絶好の釣り日和のようです。早朝から釣り客が昼食を買いに立ち寄ると予想されます。昼には、かなり気温が上がりそうです。釣り客の心理からすると、時間が経っても傷みにくいイメージのある食べ物を求めるはずです。「それなら梅の
おにぎりが売れるのではないか」。そう仮説を立てて、普段より多めに仕入れておきます
これまであった消費が減少する一方で、自由時間の拡大にともなう新しい消費が生まれる
キーワードは「消費のレジャー化」&「家族ぐるみ」
日本でも「大切な人を自宅に招く」という文化が生まれる可能性
単に二割引きでは特に洋服を買おうとは思わない。でも、不要の古い服を下取りに出して、お金に換え、新しい洋服を買うのであれば、自分の選択を納得できるし、消費を正当化できる
消費が飽和するほど、心理が消費を左右し、消費がイベント性をもつようになる。「コトを楽しむ心理の世界」にいる買い手に、売り手は「モノ作りの理屈の世界」で接してはいけません
女性の場合、冷えた飲料は体が冷えるという理由に加え、飲み残した冷えたボトルを鞄にそのまま入れると、ボトルが汗をかいてまわりがぬれてしまうのを避けたいという不満があり、それも「理解できていない価値観」であり、潜在的なニーズでした。そこで、常温帯のドリンクも品揃えしたところ、売り上げは一・五倍に伸びました
Francfrancはインテリアや雑貨の専門店ながら、便座カバーは絶対に置かないというのです。以下は高島さんが話されたその理由です。「わたしたちの店は、生活になくてはならないものを売っているわけではないので、行くだけでワクワク、ドキドキする、楽しいと思ってもらえる店づくりをしなければなりません。ですから、楽しいもの、夢のあるものを売るという自分たちが決めた枠を守り、生活感が強いものは売らないと決めています(以下略)」
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著者が成し遂げた事例が中心で、既知のものもあるかと思いますが、その根底にある観察眼や思考法には、目をみはるものがあります。
店舗経営者や接客担当、マーケターはもちろんですが、データ分析に関わる方も、読んでみると面白いのではないでしょうか。
ぜひ読んでみてください。
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『鈴木敏文のCX入門』鈴木敏文・著 勝見明・取材構成 プレジデント社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833424495
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◆目次◆
イントロのようなまえがき
第1章 モノではなく、コト(体験価値)を売る時代へ
第2章 CX経営にはどんな発想が必要なのか
第3章 顧客の求める体験価値をどのように生みだすのか
第4章 カスタマージャーニーに沿った戦略を考える
構成担当者によるあとがき
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