2022年6月7日

『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』 三上丈晴・著 vol.6012

【読むしかないでしょ】
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本日ご紹介する一冊は、全国に熱心なファンを抱える最強オカルト雑誌「ムー」の編集長が、その仕事術を語った一冊。

タイトルの時点で「買い」ですが、中身も期待を裏切らない面白さです。

第1章までは、配属先の編集長が堅気じゃなかったとか、酔いつぶれて眠りに落ちると宇宙につながっていい企画が出るとか、B型がメディアに向いているとか、どうしようもない話ばかりですが、(ちなみに土井もB型です)第2章からは、がぜん面白くなります。

当初、中高生向けのエンターテインメント誌だった「ムー」が、なぜ現在のようなマニアックな方向に舵を切ったのか、なぜ表紙に「目」があるのか、なぜ創刊は11月だったのか、どうすればマニアの心に刺さる特集が作れるのか、その秘密が明かされています。

最近はあらゆる世界がマーケティング主導になって、面白いし売れるんだけれど、何かワクワクが足りない商品が多い。

そこで何だかよくわからないけれど、神秘的で好奇心がくすぐられる=あやしい要素を入れる。本書には、その「あやしさ」を作るための方法論も書かれています。

「大推理 古代核戦争の謎」
「奇跡のリンゴ 木村秋則のUFO体験」
「グラハム・ハンコックが与那国島海底遺跡に挑む!」

など、過去のヒット記事を事例に、どうすればワクワクするものが作れるのか、その発想の秘密が学べる一冊です。

「ムー」のファン、出版・メディアに携わる人はもちろんですが、商品開発、集客のヒントとしても使えると思います。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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発想はいたって単純である。「高校コース」で受けた記事のテーマを雑誌にすれば、必ず成功する。ノストラダムスの大予言やミステリーゾーン、超能力、心霊などをメインテーマとする雑誌なら、少なくとも中高生には手に取ってもらえるはずだというわけだ

創刊号は1979年11月号である。なぜ、切りのいい1月号ではなかったのか。これには意味がある。創刊第2号は1980年1月号になるのだ。おわかりだろうか。2号目で、すでに創刊2年目なのだ。隔月で2冊しか発刊していないのに、あたかも2年間続いているかのような印象を受ける

改革の基本理念を強く打ち出したのは、「ムー」本誌のチーフデザイナーの寺澤彰二先生であった。寺澤先生は読者の目線から「ムー」は一般誌でなく、あくまでもマニア雑誌であることを認識すべきだと主張した。マニアは高度な情報を求める。だれもが知っているような話など聞きたくもなければ、読もうとも思わない

謎を解明するにあたっては、まずは何がミステリーなのかをきちんと提示しておかなければならない。とくに文章量の多い総力特集においては、最初に、どこが謎で、どうして科学では説明できないのかという部分を丁寧に説明しなければならない

かつての偉人、アルキメデスには風呂、ソクラテスには悪妻と監獄、そしてニュートンにはリンゴがあった。彼らの研究は非常に革新的ではあるが、それよりも大事なのは、発見にまつわる物語なのだ

大切なのはスタンスである。答えはひとつだけとは限らない。2次方程式の解がふたつあるように、別の答えがあるかもしれない、謎に対するアプローチが違えば、得られる結論も異なる可能性がある

ムー的な世界とは、まさに1パーセントのニュートラルである。超能力や幽霊、UMAなど、そんなものは存在しない。そう考えることは自由である。だが、99パーセントありえないと思っていても、どこかに1パーセントだけ判断を留保する。ひょっとしたらありうるかもしれないという思いを保つ。これが大事なのだ

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ギリシャ留学中、アトランティス伝説に興味を持ったこともあり、「ムー」は個人的にも大好きな雑誌。

その制作の裏側が覗けて、クリエイティブのヒントがもらえて、自分的には大満足の一冊でした。

ぜひ、読んでみてください。

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『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』
三上丈晴・著 学研プラス

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◆目次◆

Prologue オカルト編集者と呼ばれて
第1章 学研入社、「ムー」編集部配属
第2章 月刊「ムー」とは何か?
第3章 ムー的企画術
第4章 ムー的編集術
第5章 ムー的重要人物
第6章 ムー的ミステリーの裏の裏
Epilogue 人間とは何か

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