2022年6月13日

『たった12週間で天才脳を養う方法』サンジェイ・グプタ・著 伊藤理恵・訳 vol.6016

【脳を活性化する科学的方法とは。】
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本日ご紹介する一冊は、脳神経外科医であり、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家、またCNNのチーフ医療特派員として、現代の健康問題に関するトップニュースを取り上げてきたサンジェイ・グプタ氏による、注目の一冊。

著者は、その功績によりフォーブス誌が選ぶ最も影響力のある著名人の10人のなかの1人としても選ばれており、2019年には、医療分野で最高の栄誉のひとつである、全米医学アカデミーにも選出されています。

原題は、『Keep Sharp: Build a Better Brain at Any Age』(脳をシャープに保てーー何歳になってもより良い脳を構築する方法)ですが、邦題は、『たった12週間で天才脳を養う方法』。

タイトルはおそらく、第9章の<[実践編]天才脳を養う12週間プログラム>から抜き出したものだと思われます。

「天才脳」と書かれてはいますが、内容の中心は、認知症にならず、頭をシャープに保ち続けるための脳の知識と運動、食事の正しい知識をまとめたもの。

脳や健康に関して、まことしやかに語られる俗説の何がどこまで正しいのか、歯に衣着せずに語られており、怪しい健康ビジネスに関わる方々は、冷や汗をかくかもしれません。

「私たちは脳の10%しか使っていない」の嘘や、「クロスワードで脳が若返る」の嘘、「右脳派」「左脳派」の分類の嘘など、今も語られる怪しい言説をバッサリ切り捨てており、サプリメントやオーガニック食品、グルテンフリー食についても、その効果をあっさり否定しています。

代わりに、7年半分の老化を取り戻すという「MIND食」を推奨しており、健康に関心のある方は、この理論に熱狂するかもしれません。(食事内容は割とベーシックです)

約350ページに及ぶ厚い本ですが、俗説の何がまずいのか、最新の理論がどんな研究からもたらされたのか、詳しく書かれており、安心して読むことができます。

一生付き合う「脳」について知るために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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カナダで実施された最近の研究では、フッ化物を添加した水道水を摂取した妊婦から生まれた子どもでは、後年のIQがわずかに低下するという結果が出ている

人を怖がらせると、その人の脳における感情の中枢である扁桃体が活性化する。すると、生物学的脅威に直面したときのように、素早く、激しい反応が起こる。問題は、感情中枢の活性化により、脳の判断力や実行機能を司る領域も影響を受けてしまうことである。その結果、得られる反応は強く迅速であるが、まとまりのない一時的なものとなってしまう

レジリエンスの高い脳をもっているか否かによって、戦略的で先見性のある人と平均的な人とを区別することができる。これは必ずしもIQや学歴などと比例するものではない。困難な経験に直面した際、脳を萎縮するのではなく、むしろ向上させることができる能力である

中年期に慢性的な炎症が見られると、後年に認知機能の低下やアルツハイマー病を発症する可能性が高い

40歳を過ぎると、海馬は1年に約0.5%ずつ縮小していく

ある一定の年齢になると、一度に効率よくできることの数が減る

長寿への鍵は1日64分の運動

早期退職した人は、認知症になるリスクが上昇する

退職の時期をできる限り遅らせること

強い目的意識をもつ人は認知症になりにくい

睡眠が断片化している高齢者は、アルツハイマー病を発症しやすい

MIND食の実践スコアが下位3分の1の集団では、認知機能の低下速度が最も速かった。一方、MIND食の実践スコアが上位3分の1の集団では、認知機能の低下速度が最も遅かった。2つの集団の間の認知機能の低下速度の差は、約7年半に相当するという結果が出た。私は7年半分の老化を取り戻したいと思うし、あなたもそうだろう

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脳について書かれた本ですが、巡り巡って人生や生き方について考えさせられる本です。

健康ビジネスに関わる方も、ぜひ読んで、現在のビジネスが間違っていないかどうか、検証していただきたい。

新たなビジネス創造のヒントにもなると思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『たった12週間で天才脳を養う方法』サンジェイ・グプタ・著 伊藤理恵・訳 文響社

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◆目次◆

何歳になっても、より良い脳を作るために
脳 あなたのなかのブラックボックスを知ろう
第1章 あなたをあなたたらしめているもの
第2章 「認知機能低下」の定義を見直す
第3章 12の有害な俗説と、脳を健康に保つための5つの柱
あなたの有能なブレーン 心を失わない方法
第4章 運動が起こす奇跡
第5章 「目的意識」「学ぶこと」「発見すること」で脳が活性化
第6章 睡眠とリラクゼーションの必要性
第7章 思考の種 脳に良い食事
第8章 社会的つながりが脳を守る
第9章 [実践編]天才脳を養う12週間プログラム
診断 そのとき、どう対処すべきか
第10章 病める脳の診断と治療
第11章 道を切り開く 経済面・精神面での対処法と介護者へのメッセージ
おわりに 明るい未来

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