2022年4月12日

『少女漫画家「家」の履歴書』週刊文春・編 vol.5977

【一流を生んだ「環境」とは】
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昔、経営コンサルタントの大前研一さんが、「人間が変わる方法は三つしかない」ということをおっしゃっていました。

「時間配分を変える」
「付き合う人を変える」
「住む場所を変える」

の3つです。

なかでも、「住む場所を変える」は、他の2つにも影響する、強力なファクターだと思っていますが、会社と住宅ローンに縛られている日本人は、あまりこの戦略を活用できていないようです。

本日ご紹介する一冊は、日本を代表する12人の少女漫画家の「家」の履歴書(家遍歴)を紹介した、興味深い一冊。

水野英子、青池保子、一条ゆかり、美内すずえ、庄司陽子、山岸凉子、木原敏江、有吉京子、くらもちふさこ、魔夜峰央、池野恋、いくえみ綾さんら12人が、どんな家で生まれ育ち、そこからどんなインスピレーションを得て、現在の成功に至ったのか、エピソードを交えながら紹介されています。

向かいに貸本屋があった水野英子さん、理解ある担任の褒め言葉で漫画家になることを思いついた美内すずえさんなど、ここで語られていることは、マシュー・サイドの『非才!』はじめ、多くの成功者研究が語っている内容と符合します。

※参考:『非才!』
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クリエイターとして大成したい方、好きなことでキャリアを築きたい方、子どもを天才に育てたい方にとっては、非常に示唆に富む内容だと思います。

もちろん、漫画ファンが読めば、理屈抜きに面白いこと、請け合いです(笑)。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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二年生の時、近くで祖母の姉が営んでいた食品雑貨店の二階にある三部屋へ引っ越しました。向かいに貸本屋さんがあり、放課後は十円札を握って名作全集などを借りに走る。そこで手塚漫画に触れました(水野英子)

当時、子供に漫画の画材なんて見当もつかない。そんな私に道具を揃えてくれたのが叔父です。彼は学校で美術部にいたので、ペンや製図用具を持っていた(水野英子)

赤塚さんや石森さんとトキワ荘にいるだけで、本当に漫画が上達しましたね(水野英子)

家はどの部屋も広くて十二畳ほどあり、台所と客間、父の部屋、東側に姉妹六人の勉強部屋と寝室。私とは九歳離れた兄が、後継ぎの男子なので小さな一部屋をもらっていました。部屋数が多いので、一人になれる場所はどこにでもある。なにより、家族といる時間が大好きでした(青池保子)

学者先生特有の読みにくい文章の、難しい研究書を辛抱強く読んでいると、キラッと光る一行に出会えることがあります(青池保子)

父親が没落させた岡山の家。「貧乏が大嫌い」の思いが少女漫画界の女王を生んだ(一条ゆかり)

担任の先生が理解のある方で、「美内の漫画は面白いな。漫画家になるんか?」と。「あ、そうか!」と思ったんですよ。(中略)母親に「高校二年の十二月三十一日までにデビューするから、それまでなにも文句を言わないで描かせてほしい。デビューできなかったら就職なり進学なりを考えるから」と頼みました(美内すずえ)

実は、パタリロは一回では脇役で、英国のMI6の情報部員バンコラン少佐が主人公でした。それを二回目ではパタリロがバンコランをおちょくり倒す、という話にしたところ手応えを感じたんです(魔夜峰央)

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一斉を風靡した人気漫画の裏舞台と漫画家のプライベートが読めるわけですから、これが面白くないわけがない。

12人のキャリア物語として読めば、ビジネスパーソンにも刺さる内容だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『やり抜く自分に変わる超習慣力』ウェンディ・ウッド・著
花塚恵・訳 ダイヤモンド社

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◆目次◆

水野英子
青池保子
一条ゆかり
美内すずえ
庄司陽子
山岸凉子
木原敏江
有吉京子
くらもちふさこ
魔夜峰央
池野恋
いくえみ綾

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