2022年4月8日

『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』オードリー・タン・語り 近藤弥生子・執筆 vol.5975

【未来に前向きになれます】
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本日ご紹介する一冊は、台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)であるオードリー・タン氏が、未来のテクノロジーや社会について語った一冊。

執筆は、オードリー氏の取材やコーディネートを数多く手掛ける、台湾在住の編集・ノンフィクションライター、近藤弥生子さんが担当しています。

世界のデジタル化が進むと、何がどう変わるのか、それによってわれわれはどう自分たちの社会を豊かにできるのか、台湾の成功事例を引きながら、前向きな議論がなされています。

政府をオープンにするために台湾が行ったデジタルトランスフォーメーション、選挙権がなくてもメールアドレスと台湾の電話番号さえあれば政策に対する意見を投稿できる「Join」プラットフォーム、民間の社会的企業「CircuPlus」が提案した給水器の位置やメンテナンス情報をオープン化するプラットフォーム(約24万本のペットボトル削減に貢献した)…。

SDGsにもつながる、興味深い事例が紹介されており、政治家、官僚はじめ、社会変革に興味のある方は、ぜひ読んでおきたいところです。

来たるべき未来に備えるための思考法とは何か、われわれはどんな態度でテクノロジーや未来と向き合えばいいのか、優しい語り口でヒントを与えてくれる、自己啓発的読み物です。

2000年のインターネット黎明期には、こういう未来のための心構えの書がたくさん出ていたものですが、本書は2025年以降のデジタル社会、バーチャル社会に備えるための心構えの書だと思います。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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「IT(Information Technology、情報技術)」とは機械と機械をつなぐものであり、「デジタル(Digital)」
とは人と人をつなぐものです

私が思うITの強みとは、“新しく何かが発明された時、それをとても簡単に、ほとんどコストを必要とせず、他の場所にいる人に使ってもらうことができる”ということです

近い将来には、次第に人間の五感までもリモート方式で送信できるようになっていくでしょう。その時が来たら、人々は違う場所にいても、まさに「同時に同じ場所にいて、五感まで共有できている感覚」を持つことができます

デジタルのある世界では、誰もがメディアの一員

デジタル担当大臣として、私が台湾の防疫の成功についていつもお話ししているのが、“3つのF”ーー「Fast(速さ)」「Fair(公平さ)」「Fun(楽しさ)」ーーです

市民には、政府に個人情報を監視されているかどうか、確認する権利がある

「互いに助け合い、力がどんどん強くなることで、お互いを疑う気持ちは小さく削られていくんだよ」

イノベーションに必要なのは「これまで見たことがないもの」を受け入れること

コンテンツにはユーモアがなくてはいけません。ユーモアは怒りと同じくらい拡散されやすく、かつ、怒りより共有する満足度が高いからです

誰も取り残さない「インクルーシブ」という考え方

社会や環境の破壊は、経済損失よりも大きな痛手である

デジタル政府においては「公共サービス手続きのデジタル化」「政府の所有するデータの公開」「市民からの意見の受付」という、それぞれ段階の違うものをすべて実施することができます。そして後者になればなるほど、皆の記憶に残るのです

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最後のQ&Aでは、これからの時代の生き方のヒントも示されており、大いに参考になりました。

「歴史あるコミュニティではなく、できたばかりのコミュニティに参加するのも一つの方法です」

その通りだと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』オードリー・タン・語り
近藤弥生子・執筆 SBクリエイティブ

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◆目次◆

はじめに 日本の皆さんへ
第1章 デジタルで世界はどう変わっていくか
第2章 これからの「社会」の形を考える
第3章 世界と私たちの未来
第4章 これからの未来を創る皆さんへ

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