2021年11月29日

『成しとげる力』永守重信・著 vol.5888

【日本電産永守氏、注目の新刊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763139312

本日の一冊は、28歳で創業し、従業員3名だった日本電産を、1兆円企業、世界No.1のモーターメーカーに育て上げた、永守重信氏による自己啓発書。

2021年6月、CEOを退任し、第一線を退いた今だからこそ言える起業の困難と本音、若い世代へのメッセージが、歯に衣着せずに書かれています。

母親から学んだ勝つことへの執念、「百姓の息子がそんなに勉強して役に立つのか」と言い放った小学校の教師に植え付けられた闘争心、裕福な友人の父親から学んだ教訓…。

名経営者、永守重信を生んだ考え方のベースと、それがその後の経営・人生にどう役立ったかが書かれており、じつに勉強になりました。

また、<失敗談と夢を語る人に人は惹かれる><「現場・現物・現実」を見ることなく経営を語るな>など、リーダーへの教訓も多く、経営者として読んでも勉強になります。

たとえ話などはありふれていて残念ですが、大事な局面で著者がどんな考え方をしたか、どうやって壁を突破したかが書かれていて、経営者にとっては良い判断・決断をする指針になると思います。

昔、日本電産で働いていたというデキるビジネスパーソンに、永守さんの凄さについて伺ったことがありますが、その際に挙げていたのが、まさに本書がテーマとしている『成しとげる力』でした。

アイデア、情報が簡単に流通する世の中になったからこそ、大事なことはやりきるかどうか、やりきって信頼を勝ち取れるかどうかです。

変わらぬビジネスの本質を教えていただいた、そんな印象の一冊です。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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気概と執念だけは誰にも負けなかった。「私がめざしているのは、零細企業や中小・中堅企業ではない。兆円企業をつくるのだ」ーー周囲にも取引先にも、そう公言してはばからなかった。「ご立派なことで」と皮肉をいわれることも多かったが、その思いはけっして揺らぐことはなかった

世界一の企業をめざして経営をしていくなかで、私がいちばん注力してきたのは、人の意識をどう変えるかである

私が一生をかけて追求していくことになるモータと初めて出合ったのは、小学校四年生のときだったが、いま振り返れば、それも運のめぐり合わせであった。理科の授業で、コイルを巻いて模型のモータを組み立てて動かすという実習をしたときのことである。私が作ったモータがクラスのなかでもっとも静かに、そして速く回った。それを見た先生が「すごいじゃないか、お前がクラスで一番だぞ」と、みんなの前でほめてくれたのだ

かつて私は愛読書の一つに『会社四季報』を加えていた。M&Aをするとき、いまわが社に足りないものは何か。そして、その技術をもっているのはどの会社か。その会社の経営状態はどうか。いつも手元に『会社四季報』を置いてページをめくりながら、シミュレーションを重ねるのを習慣にしていた

そもそも、一番をめざすという強い心を私に植え付けてくれたのは、母であった。子どものとき、友達とのけんかに負けて、泣きながら家に帰ったことがあった。母親は慰めてくれるどころか、「なんで負けたんだ」といって厳しく叱る(中略)挙げ句の果ては「もう一回けんかしてきなさい」と尻を叩かれた

発明王・エジソンの研究室には大きな時計が壁にかかっていたが、不思議なことにその時計には長針も短針もない。訪れた人が不思議に思い「時計の意味がないではないか」というと、エジソンはこう答えたという。「時間を忘れるぐらいでなければ、世界レベルの仕事はできない」

仕事の器を大きくしようと思ったら、ムダなことはやめて、仕事に集中しなければ器を大きくすることはできない

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精神論、といえばそれまでですが、著者が成し遂げたことと、直面したことの困難を思えば、同じ精神論でも、重みが感じられます。

一切甘えを許さない、ストイックな姿勢に、思わず背筋がピンと伸びる一冊です。

自分を律したい人、前に進む力が欲しい人は、ぜひ読んでみてください。

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『成しとげる力』永守重信・著 サンマーク出版

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

第1章 一番をめざせ!力はあとからついてくる
第2章 苦労に飛び込め!やがて人生は輝く
第3章 機微をつかめ!人の心はこう動く
第4章 変化をとらえよ!大きく見て小さく歩め
第5章 人を育てよ!時代は大きく変わる

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