2021年8月26日

『選ばれる方法』クィントゥス・トゥッリウス・キケロ・著 フィリップ・フリーマン・編 舩山むつみ・訳 vol.5825

【人の支持を集めたい人に】
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死ぬまで選挙に出る気はありませんが、本日ご紹介する一冊は、選挙で選ばれるための人心掌握術を述べた一冊。

人は生きているうちに、必ず誰かに選ばれてチャンスを手にするのですから、「選ばれる技術」を知っていて損はないだろうと思って、手に取りました。

本書は、2000年以上前の共和制ローマにおいて、後に「祖国の父」と呼ばれるまでになるキケロが、選挙戦を勝ち抜くために用いたとされる手引書。

貴族の生まれでない男がコンスル(執政官)に選ばれるのは不可能だった当時の状況下で、どうやってキケロは不可能を可能にしたのか。

その秘密が、本書には書かれています。

これを書いたと言われるのが(諸説ある)、キケロの弟だったクィントゥス。4最年下で、兄よりも現実的で気性が激しく、無慈悲だったというクィントゥスの、権謀術数の教えが、手紙形式で書かれているのです。

「優れた側近をまわりに集めよ」
「これまでの恩は返してもらおう」
「誰にでも、どんなことでも、約束してしまえ」
「町を離れるな」
「人々に希望を与えよ」

政治家として支持を集めるための戦術とふるまいを説いたものですが、リーダー全般に当てはまる内容と言っていいでしょう。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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いつでも、今、このときに自分の未来がかかっているという気持ちで話をするべきだ

今こそ、以前に与えた親切のお返しを求めるときだ。あなたに借りがあること、その借りは選挙での支持で返すべきだということを思い出してもらおう。思い出させるチャンスがあったら、絶対にその、チャンスを逃さないように。あなたに何も借りがない人たちに対しては、今あなたを助けてくれれば、あなたのほうが彼らに借りができるということに気づかせよう

貴族の家庭の若者たちを味方にして、そのまま、彼らを離さないようにしよう。彼らがいれば、あなたの見栄えが良くなるのだから、彼らはとても役に立つ

選挙で票を保証してくれるものには、3つある。利益、希望、そして個人的なつながりだ

直接話してもいない人が、味方になるはずがない

あなたがこれまでに傷つけた人たち、つまり、あなたが自分の友人を助けるために敵対した人たちに対しては、腰を低くして、申し訳なさそうにしているのが良い。あのときは、自分の友人を守るためにそうしていただけであり、もし、彼らが自分の友であったなら、彼らのためにもやっぱり、同じことをしただろうということを、わかってもらおう

なんの理由もなく、あなたを嫌っている人たちに対しては、親切にするとか、なんらかの利益を与えてやるとか、彼らに対する配慮を示したりすることによって、味方につけるようにしよう

自分の敵である彼らに対してさえも、博愛精神を示せば良い

お世辞を言うことを恥じるな

人々は、「可能であれば喜んでお受けするのだが」などと言いながら自分の約束を取り消す男に対してよりも、「それはできません」と、はっきり拒絶する男に対して激しく怒るものだ

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心理学者の内藤誼人さんが、日本語版の解説を書いており、心理学的な見地から見た場合の本書の問題点についてもきちんとカバーされています。(ほかの人の悪口は逆効果、など)

ここぞという場面で、人にお願いできない人は多いと思いますが、それでは勝てないシーンがある。

能力の高い、生真面目な人にこそ、読んで欲しい一冊です。

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『選ばれる方法』クィントゥス・トゥッリウス・キケロ・著
フィリップ・フリーマン・編 舩山むつみ・訳 文響社

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◆目次◆

第1章 「自分」を知る
第2章 「友人」を増やす
第3章 「隠れた敵」をかわす
第4章 「一般大衆」を味方にする

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