2021年8月24日

『明日あるまじく候 勇気を与えてくれる言葉』 細川護熙・著 vol.5823

【細川護熙氏が大切にしている言葉】
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本日ご紹介する一冊は、熊本県知事、第79代内閣総理大臣を経て、60歳で政界を引退、現在は作陶・書・水墨画・油絵・漆芸などを手掛けるアーティストとして活動中の細川護熙氏による一冊。

氏がこれまでの人生で影響を受けた言葉、思想を紹介したもので、もともとは小学館『本の窓』で連載していたものをまとめたもののようです。

紹介されているのは、蓮如上人の言葉をアレンジした「明日あるまじく候」(明日はないと思って今を生きればいい)という言葉、「何よりも神仏の目を畏れよ」と述べた本阿弥光悦の言葉、「最大の成功の秘密は、不成功にある」と述べたヒルティの言葉など。

教養人の著者だけあって、紹介されているのは、単に名言にとどまらず、その言葉を発した人物の生涯、著作にまで及び、名著を20冊くらい読んだ気分になります。

また、内閣総理大臣という重責にあった著者が、これらの思想にどう影響を受け、政治を行っていたのか、またどうやって引退を決意し、現在の生き方を選んだのか、自身のエピソードも紹介されており、現役のビジネスパーソンとしても、興味深く読むことができました。

ある程度人生経験を重ねた読者向けには、どうやって引き際を決断すればいいか、その指針についても述べられています。

「人を挙ぐるには、すべからく退を好むものを挙ぐべし」「幕が下りたあとまで喝采を望む者はバカだ」という言葉を読むと、いまの政財界は、人選、進退について極めてまずい判断をしていると思わざるを得ませんね。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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昔、まだ若いころに蓮如上人の言として「明日はござなく候」ということを聞き、そのことばが深く心の中にしみ込んだ。そうなのだ、明日はないと思って今を生きればいいのだ、と考えることで、心身にある種の爽快感を感じることができた

飯山にはこの正受老人の「一日暮らし」という文章がいまも伝えられている。その要旨は、どんなつらいことでも今日一日と思えば、我慢できる。楽しみも亦、一日と思えば、それにうつつをぬかすこともあるまい。一日一日とつとめれば、百年千年もつとめられよう。「一大事と申すは今日只今の心也。それをおろそかにして翌日あることなし」。また彼は歌の中でも、さしあたることだけを思え、一日生きればそれで十分なのだ、明日死んでもよいという一日の幸福感を保つ工夫さえあれば、ほかのことは願わなくてよいのだと詠んでいる

光悦はいっている。何よりも神仏の目を畏れよ。たとえ誰ひとり知る者はなくとも己が省みて疚しいことをするな

人が世に交って生きていくには、もろもろの儀式や儀礼は避けて通れない。しかし、それらを必ず果たそうとすれば、身も心も休まる暇がないまま雑事に追われることとなる。だからいまこそ世間とのもろもろの縁を断ち切るべき時なのだ。もはや約束をも守らないし、儀礼も考えまい。すべての義理を欠いて、己の心一つに生きていこうとそう決心したのだと。そしていまわたしはその通りにやっている

カール・ヒルティの『幸福論』の中に、示唆に富むくだりがある。(人生において)成功の連続というようなことは、臆病者にとってだけ必要なのである。(中略)事柄そのものが大きな意義のあるものであるならば、最大の成功の秘密は、不成功にある、と

常に引きぎわを考えている人物は心がきれいで、恥を知っているから、誠心誠意つとめ、その職責をけがすようなことはまずないといっていい

幕が下りたあとまで喝采を望む者はバカだ(孫子)

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著者が人生の指針とした珠玉の名言集。これが面白くないわけがありません。

改めて生き方について、読書についても考え直さなければいけないと猛省しました。

ぜひ、読んでみてください。

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『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』
越川慎司・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

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◆目次◆

生き方について
意志について
情について
教養について
理想について

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