2021年7月7日

『失敗を語ろう。』辻庸介・著 vol.5792

【マネーフォワードCEOが語るHARD THINGS】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296000179

本日ご紹介する一冊は、マネーフォワードCEO、辻庸介氏が語った、起業から上場までの軌跡。

決して華々しいところばかりを書いたわけでなく、むしろ起業につきものの失敗やトラブル、悲劇を書いたという点で、日本版『HARD THINGS』と言っても良いでしょう。

※参考:『HARD THINGS』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250857/

いきなりプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を外した第1号プロダクト、マネタイズでつまずいた店舗型サービス、屈辱的だったベンチャーキャピタルとの会合、接続先からのアクセス拒否、同志だと思っていたスタートアップからの訴訟…。

起業した人が経験するであろう、HARD THINGSのフルコースで、これさえ読んでおけば、起業前の心構えはバッチリでしょう(笑)。

著者の師匠である、マネックス松本大氏のアドバイスや、顧問税理士の造田洋典氏のアドバイス、著者が経験から学んだ教訓などが紹介されており、起業家にとっては転ばぬ先の杖となるに違いありません。

下手な小説よりも刺激的な、起業のリアルが書かれており、読み物としても楽しめる一冊だと思います。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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人前で転ぶのは恥ずかしいかもしれない。しかし、だからこそ手を差し伸べてくれる人にも出会える。知恵を授かり、また一つ、歩き方を学べるのだ

「十言って、一つでもやってもらったら、ありがたいと思いなさい」(大手電機メーカーの社長をしていた祖父の言葉)

ときどき、「友達とは起業するな」という主張を見かけるのだが、僕からするとずいぶんと優雅な発想だと感じる。実績どころか形も名前すらないスタートアップを一緒に始める仲間は、昔から人柄や仕事ぶりを知っている人でなければうまくいかない。

何度も話し合いを重ね、松本さんは僕を送り出してくれた。松本さんは、「いいか、辻」と僕の目をまっすぐに見据えてこう言った。「お前はこれから会社を立ち上げる。確率論的にいうと、お前は失敗するだろう。あくまで確率論だが、会社はつぶれるかもしれない。しかし」息を呑む僕に、松本さんは続けた。「しかし、お前の人生は続く。それを忘れないようにしなさい」

僕が自分の経験から伝えられるとしたら、「失敗はまだ確定していない」と発想してほしいということ。失敗したまま終わったら、これ以上は望めない。でも、諦めずに続けて、“失敗を経験した者にしかつくれないもの”を次に生み出せたとしたら?

PMFとマネタイズ。この二つの“順番”も重要だ。新しい事業を始めようとするときに、マネタイズの計画から議論をするのはほとんど意味がないと、個人的には思っている

造田先生は、「そうですねえ……」と一瞬考え、そして続けた。「ねえ辻さん、会社というのは、なかなかつぶれないものですよ。どうしても立ち行かなくなったら、辻さんたちの給料をゼロにして、社員たちには申し訳ないけど辞めてもらってコストを最小限に抑えれば、なんとか生き延びるものです。『つぶさない』という意思さえ持てれば」

大切にしたい相手には、きちんと感謝と敬意を伝えなければいけない

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経営者には、未来への強い意志と、ビジネスパーソンとしての総合力が問われると思いますが、本書はまさに、それを疑似体験できる一冊。

上で紹介した『HARD THINGS』、先日ご紹介した、『修羅場のケーススタディ』と併せて読むと、理解が深まると思います。

※参考:『修羅場のケーススタディ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569849636/

ぜひ、読んでみてください。

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『失敗を語ろう。』辻庸介・著 日経BP

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296000179

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B096VH9DK3

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◆目次◆

Chapter1 違和感、怒り、焦り、そして起業へ
Chapter2 プロダクト第1号は「望まれないサービス」
Chapter3 ユーザーはどこにいる?
Chapter4 お金が集まらない!
Chapter5 BAN! BAN! BAN!

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