2021年6月30日

『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』 キム・ジナ・著 すんみ、小山内園子・訳 vol.5787


http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396617607

以前ご紹介した『7つの階級 英国階級調査報告』によると、人間は親よりも高い階級に移動した時、人生に満足を感じる生き物のようです。

※参考:『7つの階級 英国階級調査報告』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492223851/

インドのITエンジニアもそうですが、差別されていた人間が、チャンスを与えられると、ものすごい活躍をする。

そういう意味で、誤解を恐れずに言うと、これからはビジネスも女性の時代だと言えるのではないでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、韓国の女性広告クリエイターであり、2016年の化粧品広告でフェムバタイジング(フェミニズム+アドバタイジング)の先駆けとなった、キム・ジナ氏による話題作。

どうすれば女性が男性優位社会の中で活躍できるのか、どうすれば作り上げられた固定観念を破壊できるのか、どう考え、生きれば豊かに生きられるのか、働く女性へのヒントが示されています。

土井はフェミニストではないですが、社会の中で作り上げられた固定観念に挑戦する、というアイデアには大いに賛同する人間です。

本書を読めば、いかに既得権益が自分たちに都合の良いシステムを作り上げるのか、そして差別される側がいかにたやすくそれに組み込まれてしまうのか、その仕組みがよくわかると思います。

著者が広告関係者だけあって、これから女性が活躍する社会になった時、社会の意識や消費がどう変わるのか、ヒントが示されている点も注目です。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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したいようにするのはいいけれど、その前に自分で望んでいるものか疑ってみよう、「イケてる私」プレーにハマるうちに結局は男にとって都合のいいことをしてるんじゃないかと考えてみろ

ソウルでの自営業は結局のところ家主と不動産業者ばかりが儲かるゲームなのだと、体力もキャリアも失ってようやく思い知った

とりわけ大きな野望を抱いていた私は、「誰かの女」より「誰か」になりたかった

結婚で社会生活のサポーターを手に入れる男性とは違って、女性は結婚とともに内助の功まで求められるだけ。だから、かなりの女性が、広告の仕事と結婚では仕事のほうを選ぶのだ

韓国のめざましい経済発展を下支えしているのは、女性たちの無報酬労働

最近私と私の周辺の女たちは女に集中して仕事を回すことを実践している。ひそやかで無害な陰謀レベルで

まさにこれが、私に欠けていたピースだ。家長としての自己認識。「私の家長は私」というごく当然の事実。お金を稼ぎキャリアを積むことで育んでいた主体性は消費者としての主体性で、世帯主としての主体性ではなかった

奇跡につながる神の一手は、最終決定権者が女性だったことだ

最近、化粧品の広告が少しずつ変化してきているのがわかる。そばかすがあったりプラスサイズのモデルを起用したりと、自分のルックスを肯定しようという「ボディポジティブ」なメッセージも増えた。主な顧客が女性の商品から、変化はゆっくりと始まっている。トレンドに敏感な企業なら、女性の自己決定権を前面に打ち出して消費を促すやり方へと転換をはかるだろう

尊厳を保ちつつ確実に生計を支えてくれるものは、自分の「専門性」以外にない

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本文中で名前が出てくる上野千鶴子さんが、「ほんとうはパイのレシピを変えなきゃいけないんだけど」と書いていて、思わず拍手したくなりました。

ジャンルが何であれ、革命家が戦い方を考える上で、参考になる一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』
キム・ジナ・著 すんみ、小山内園子・訳 祥伝社

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◆目次◆

※多過ぎるので省略します

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