2021年6月28日

『ワーケーションの教科書』 長田英知・著 vol.5785

【ワーケーションの可能性について。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046052120

本日ご紹介する一冊は、「旅するように働く」のキャッチコピーで知られるようになった、「ワーケーション」に関する一冊。

著者は、東大法学部を卒業後、国内最大手の生命保険会社を経て、埼玉県本庄市の市議会議員に全国最年少で当選(当時)、その後、IBMビジネスコンサルティングサービス、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとしてスマートシティやIoT分野における政府・民間企業の戦略立案を担当、現在は、Airbnb Japanで執行役員を務める人物です。

本書では、ワーケーションがどのように個人の仕事と創造性に影響するか、実際のところを調査データを用いながら説明。

企業の導入状況やオフィスの活用状況、個人の移住、ワークスタイルの変化など、当該テーマで騒がれていたデータやニュース、論文をまとめ、わかりやすく「ワーケーションの今」を説明してくれています。

まだ始まったばかりの試みであり、事例も限られていますが、日立製作所や日本航空、三菱地所などの事例が挙げられており、また実践した企業でどんな効果、問題点が挙げられたかも明らかにしています。

これからの個人の働き方、企業のワーケーション活用を考える上で、興味深い内容と言っていいと思います。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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一人ひとりが自分が最もパフォーマンスを発揮できる「場所と時間の最適解(どこでいつ働くか)」を、自分でデザインする必要性

好立地にキレイなオフィスがあることは、これまで企業のステータスとして捉えられ、社員にとっての大きな魅力でもありました。しかし電通のアンケート結果を見ると、そうしたものに以前ほど魅力を感じなくなったという人が、全体の58.6%を占める

株式会社リクルート住まいカンパニーがSUUMOの物件閲覧数を調べたところ、中古一戸建ての伸び率が顕著となり、また2020年1月と比較して2020年5月・6月では自然豊かな街、リゾート感覚の街の人気が上昇しています

会社の方針転換により、働く場所の自由度が高まったとき、仕事のハブ(中心)は「オフィス」から「自宅」に移行することになります。しかし都心の便利ではあるけれど手狭なマンションに暮らしている人や、小さい子供を抱えている人にとっては、自宅でのリモートワークは快適に行えるものではありません

新型コロナ禍後のワークスタイルの特性
「時間密度の最大化」
「体感感度の鋭利化」

ワークスタイルの未来:
(1)自宅のハブ化とオフィスのシェア
(2)組織や地域の枠を超えるトライブ型ワーク

未来の働き方において目指すべきなのは、有意味性と有用性が高い次元で両立した「天職」に就くことができている状態です。ポスト・コロナ社会において、私たちが恵まれた状況にあるのは、有意味性と有用性のバランスを保った1つの天職を見つけるのではなく、複数の仕事のポートフォリオでそのバランスをとればよくなったということです

仏教では「遊戯=ゆげ」という言葉があり、「何ものにもとらわれずに自由自在なこと」を指しますが、何ものにもとらわれず行うこととは仏の救い、つまり人々の救済活動を行うことを意味する

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タイトルからすると、個人向けの印象ですが、実際の内容は、ワーケーションの意義と、それを導入する企業、自治体向けの啓蒙といったイメージ。

個人のためのワーケーション実践のヒントや、キャリアのヒントが少ないのが残念ですが、働き方としてのワーケーションについて知りたい方には、読み応えある内容だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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『ワーケーションの教科書』
長田英知・著 KADOKAWA

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046052120

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B097GJLR81

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◆目次◆

第1章 なぜ今、ワーケーションなのか
第2章 私たちが働く理由とワークスタイルの変遷
第3章 ワーケーションがクリエイティブな組織を創る
第4章 ワーケーションが地方を再ブランディングする
第5章 ワーケーションを効果的に実施するためのヒント

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