2021年4月16日

『一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』 ジョーナ・バーガー・著 桜田直美・訳 vol.5738

【人の行動を促す秘策。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761275375

本日ご紹介する一冊は、『モチベーション3.0』のダニエル・ピンク、名著『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズ、社会心理学の名著『影響力の武器』のロバート・チャルディーニら3名が絶賛する、「伝え方の技術」。

※参考:『モチベーション3.0』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062144492/

※参考:『ビジョナリー・カンパニー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822740315/

※参考:『影響力の武器』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4414304229/

著者は、マーケティングの殿堂として知られるペンシルベニア大学ウォートン校教授のジョーナ・バーガー氏です。

アップル、グーグル、ナイキ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などをクライアントに持つコンサルタントでもある著者が、科学の知見をもとに、人の心を変える伝え方の技術を論じ、話題になったのが原書の『THE CATALYST』で、本書はその日本語版にあたります。(CATALYST(カタリスト)は、「触媒」の意味で、科学の世界では、変化を容易にするものとして広く知られています)

本書が斬新なのは、これまでにたくさん出ていた「説得の技術」ではなく、相手が自ら行動したくなる心理学のアイデアを提供している点。

冒頭のダニエル・ピンクの言葉を借りると、<私たちは人を押すことばかりに時間を使い、変化を妨げる障害を取り除くためにはほとんど時間を使っていなかった>わけで、これでは成果が上がるわけがありません。

本書では、人の心理的抵抗を取り除き、自ら行動させる心理テクニックを事例つきで紹介しており、ビジネスから社会キャンペーンまで、幅広く使える内容です。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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人間はビー玉ではないので、思い通りの方向に転がってはくれないのだ。むしろ、人間は押されたら押し返す

◆心の変化を妨げる主な障害5つ
1.心理的リアクタンス
2.保有効果
3.心理的距離
4.不確実性
5.補強証拠

変化を起こすカタリストは、心理的リアクタンスを取り除くために「変化を仲介する」という選択をする。(中略)あからさまにならないように気をつけながら、相手をこちらが望む方向に導いていく。そのためのカギは4つだ。
1.メニューを提供する
2.命令ではなく質問をする
3.ギャップを明確にする
4.理解から始める

◆「保有効果」を和らげる2つのカギ
1.何もしないことのコストを意識させる
2.退路を断つために船を焼く

変化の利点を強調するのではなく、むしろ正反対のことをする。何もしないことによって、いったいどれほどのものを失っているかを明確にするのだ

変化の触媒になるには、人々を新しいものに慣れさせるだけでは不十分だ。古いものを手放す手助けもしなければならない

◆ドナルド・トランプのスローガン
「Make America great」(アメリカを偉大にする)ではなく、「Make America great again」(アメリカを再び偉大にする)だ。最後に「again」をつけたことで、「本来のあるべき姿に戻す」という物語をつくることに成功したのだ

オールAの優等生は、勉強ができない生徒の気持ちはわからないかもしれない。しかしそんな優等生も、勉強以外の何かで苦労はしているはずだ。スポーツが苦手かもしれない。あるいは恋愛の悩みがあるかもしれない。そんな「自分が苦労した瞬間」を思い出せば、勉強ができなくて困っているクラスメートの気持ちも理解できるだろう。ディープ戸別訪問では、このテクニックを使って相手の偏見
を取り除く

簡単に試せるものは買う可能性も高くなる

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ベースとなっている心理学の知識は、割と知られているものが多いですが、説得のノウハウ、事例が読み応えあります。

SWAT(警察特殊部隊)の人質交渉人の技術、10代の喫煙率を劇的に下げた「真実」キャンペーン、LGBTへの意識を変えさせたディープ戸別訪問など、興味深い事例が並んでおり、アリアナ・ハフィントン(ハフポスト設立者)が書いているように、本当に<読みだしたらやめられない>本でした。

子どもに勉強させたい、商品を売りたい、移住を促進したい、喫煙者を減らしたい、法案を可決させたい…、読者の目的がなんであれ、本書は「人の心を変える」という点で有効な一冊です。

著者がビル&メリンダ・ゲイツ財団の指導をしているからかもしれませんが、内容的に、社会を変えたい人にこそ、ハマる一冊。

ぜひ、読んでみてください。

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『一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』
ジョーナ・バーガー・著 桜田直美・訳

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761275375

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08Y565Z62

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◆目次◆

第1章 心理的リアクタンス
第2章 保有効果
第3章 心理的距離
第4章 不確実性
第5章 補強証拠

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