2021年4月5日

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン・著 久山葉子・訳 vol.5729

【クラハ中毒ですが。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106108828

本日ご紹介する一冊は、『一流の頭脳』が、人口1000万人のスウェーデンで60万部の大ベストセラーとなり、世界的人気を得た精神科医、アンデシュ・ハンセン氏による注目の一冊。

※参考:『一流の頭脳』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763136739/

直近のベストセラーランキングでも、総合トップ5に入る売れ行きで(トーハン、2021年3月31日調べ)、今最も注目の新書と言っていいでしょう。

オビに、<スティーブ・ジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?>という衝撃の文言が書いてありますが、人々の注意を奪うことで広告費その他を荒稼ぎしてきたIT業界にとっては、耳に痛い内容ではないでしょうか。

本書によると、<私たちは1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に一度スマホを手に取っている>。

いろんなメディアで報じられてきましたが、改めて見ると驚きの事実です。

本書には、人間の脳がデジタル社会に適応していない(そしておそらくできない)という事実、スマホやマルチタスクがいかに人の注意や思考力を奪うかという実験結果、さらにIT企業が人間の集中力を意図的に奪ってきた疑いについて述べられています。

忙しくするあまり、わが子にスマホやタブレットを持たせている親御さんは、覚悟して読むといいでしょう。

既に類書で述べられていることも多いですが、SNS上で変なふるまいをする人の理由や、精神状態が悪くなるSNSの使い方などがわかって、勉強になりました。

本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

生まれて初めて息を吸ってから、人生最後の吐息の瞬間まで、あなたの脳はたったひとつの問いに応えようとしている。それは「今、どうすればいい?」という問いだ。脳は昨日起きたことなんて少しも気にしていない。すべては現在と未来のため。たった今置かれている状況を判断するために記憶を活用し、感情を元にして正しい方向に自分を動かそうとする

ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人類の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった。そして脅威には即座に対処しなければいけない。食べたり飲んだり、眠ったり交尾したりは先延ばしにできるが、脅威への対処は先延ばしにできない。強いストレスや心配事があると、それ以外のことを考えられなくなるのはこれが原因だ

未来を予測する能力は、私たち人間が持ついちばん重要な特性かもしれないが、おかげで見たくないものまで想像できてしまう。(中略)ストレスのシステムが作動するのは、知性を得た代償だ。現実の脅威と想像上の脅威を見分けることが、脳にはできないのだ

パソコンやスマホのページをめくるごとに、脳がドーパミンを放出し、その結果、私たちはクリックが大好きになる。しかも実は、今読んでいるページよりも次のページに夢中になっているのだ

「かもしれない」が大好きな脳

メールを書きながら講義を聴ける自分はすごいと思うかもしれないが、2つの作業の間で集中の対象をパッパッと変えているだけというのが現実だ。集中する対象を変えるだけなら、確かにコンマ1秒しかかからない。だが問題は、脳がさっきまでの作業のほうに残っていることだ

スマホを別室に置いてきた被験者は、サイレントモードにしたスマホをポケットに入れていた被験者よりも成績がよかった

長期記憶を作るには集中が必要

精神状態が「悪くなるような使い方」もある。他人の写真を見るだけで、自分は写真をアップしないし議論にも参加しない消極的なユーザーは、積極的なユーザーよりも精神状態が悪くなりやすいようだ

—————————-

書き方が煽情的で、スマホの影響を忘れて一気に読める内容。

そういう意味で、注意力が落ちているスマホ依存の読者にも、おすすめできる内容です。

土井も最近、Clubhouseにハマり過ぎているので、気をつけようと思いました。

ぜひ読んでみてください。

———————————————–

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン・著
久山葉子・訳 新潮社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106108828

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08M3LS6QX

———————————————–
◆目次◆

まえがき
コロナに寄せて──新しいまえがき
第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた
第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある
第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
第6章 SNS──現代最強の「インフルエンサー」
第7章 バカになっていく子供たち
第8章 運動というスマートな対抗策
第9章 脳はスマホに適応するのか?
第10章 おわりに
デジタル時代のアドバイス
謝辞
人生のバイブルに──訳者あとがき

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー