2021年1月27日

『ASEAN M&A時代の幕開け』 日本M&Aセンター海外事業部・編著 vol.5683

【東南アジアのM&Aに好機あり。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453232372X

日本の人口減少が明らかになった現在、日本企業の未来は、海外にあるといっても過言ではありません。

本日ご紹介する一冊は、ASEANでのM&A(合併・買収)の可能性を、日本M&Aセンターの海外事業部がまとめた一冊。

ASEAN各国のビジネスのこれからの可能性と、M&Aの視点から見た課題、実務上のポイントが書かれており、時間をかけずに東南アジア進出を考える日本企業にとって、参考になる内容です。

実際に成約した日本企業の事例を挙げながら、どんな企業が売りに出ているのか、どんな財務上の問題があるのか、交渉をスムーズに行かせるためのポイントは何なのか、淡々と述べた内容です。

もうちょっとビジュアル要素が多ければよりイメージできたのですが、そこを足し引いても、有用な内容だと思います。

ASEANを論じると、決まってエリアの広大さ、多様さゆえの冗長な文章にななりがちで、本書もその呪いからは逃れられていませんが、独自の事例と、現場感あふれる筆致で、そこを補っています。

本書だけでM&Aできるわけではなく、そういう意味では日本M&Aセンターの宣伝本なのですが、興味はあるけれど右も左もわからない、という向きには、最初の情報源として役に立つと思います。

なかでも、著者らが推す、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイの5カ国の情報は充実しています。

M&Aの専門家集団ならではの現実的な視点が書かれており、マニアックな内容ですが、とても勉強になりました。

さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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驚くのは、日本と東南アジア、双方の経営者の気質や悩みがそっくりなことだ。義理人情に厚く、理屈も大事だが「意気に感じる」ことを大切にする。自分の会社に誇りを持ち、わが子のように会社と従業員の行く末を案じる……。時々どちらが日本人か、わからなくなる

成長市場のど真ん中に身を置いているASEAN企業とのM&Aは、例えば互いの事業承継問題の解決だけでなく、日本企業にとってはASEAN市場への足掛かりになるという利点があり、ASEAN企業にとっては日本の洗練されたビジネスノウハウを取り入れられるという期待がある

少しだけ出資することのメリットは、リスクを最小限に抑えられることだ。いきなり単独で海外に進出したり、海外企業を子会社化したりするのは、コストがかかりすぎるし、人材も足りない。それならば、現地企業にちょっぴりモノが言いやすい立場を得て、自社事業を手伝ってもらおう、という作戦である

シンガポールはビジネス環境がよく、M&Aの難度が低いため、大きなリスクを取らずに手堅くM&Aを行うことができる。実は、日本企業がASEANで行うM&Aのうち、シンガポールでの案件数が一番多い。2018年には約4割がシンガポール案件だった

(マレーシアは)会計・財務の透明性が高く、M&Aの難度は比較的低い。ハラルマーケットなど、新たな事業への挑戦も可能であり、M&A対象国として魅力の多い国といえよう

国際交流基金の調べでは、海外の日本語学習者数は、中国に次いでインドネシアが世界2位。2018年には70万人強が日本語を学んだ

民営化から10年、今や年商100億円、従業員1200人を擁する業界トップの会社に変身した。直近5年間の売上高の年平均伸び率は30.1%、利益の年平均伸び率は25.7%というから、急成長企業であることは間違いない。企業の年間成長率の一般平均が10~15%といわれるベトナムでは、こんな大躍進企業に出会う機会も珍しくない

タイのM&A市場は、海外企業がタイ企業を買収するケースは年間20~30件程度。売却理由は、大半が経営者の高齢化・後継者難を理由に挙げている。しかも、2016年から相続税・贈与税の制度が導入された。現在の税率は低いものの、今後もし引き上げられれば、事業承継を目的としたM&Aはさらに増えていくことだろう

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日本M&Aセンターの宣伝の色が濃い部分もありますが、海外M&Aのイメージを掴むには、良い本だと思います。

もちろん現実には、ここで挙げられた事例のように交渉はスムーズに進まないでしょうし、アフターM&Aでのトラブルも多いと想像します。

しかしながら、それを差し引いても成長著しいASEANの実力派企業を買える魅力は大きい。

中堅・中小企業の経営者で、これからアジアに成長の活路を見出したい方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『ASEAN M&A時代の幕開け』
日本M&Aセンター海外事業部・編著 日本経済新聞出版

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◆目次◆

第1章 海外M&Aを考える
第2章 日本企業の海外M&Aの歴史と現状
第3章 チャンスはASEANに満ちている
第4章 ASEAN進出へ向け、押さえるべき各国事情
第5章 海外M&Aのプロセス
第6章 日本M&Aセンターの海外M&A支援体制

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