2020年12月10日

『中小・ベンチャー企業 CFOの教科書』 高森厚太郎・著 vol.5656

【経営者人材を目指す人におすすめ】
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本日ご紹介する一冊は、中小・ベンチャー企業でCFOのキャリアを目指す方、または会計士、税理士、コンサルタント、金融関係者などで社外CFOのポジションを狙う方におすすめの一冊。

著者は、一般社団法人日本パートナーCFO協会代表理事の高森厚太郎さんです。

著者は、東京大学法学部卒業後、筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学大学院を経て、日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス、GAGA/USEN、Ed-Techベンチャー取締役などでキャリアを重ねた人物。

本書では、CFO、社外CFOに求められる知識の体系と実務上のポイントをコンパクトにまとめ、読者がCFO、社外CFOとして、即戦力になることを狙っています。

第1章に示された、「中小ベンチャーCFOの全体像」を見てみましょう。

◆中小ベンチャーCFOの全体像
(1)全体管理
(2)PL/CF改善
(3)組織マネジメント
(4)資金調達
(5)採用
(6)新規事業
(7)Exit
(8)事業再生・承継

なかでも勉強になったのは、CFOのメイン業務であるPL/CF改善、資金調達のパート。

どうやったら経営を改善できるのか、どうやったら賢い資金調達ができるのか、実務家ならではの鋭い視点が示されています。

経営者が読んでも勉強になるので、中小ベンチャーの経営者はぜひ読むことをおすすめします。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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「売掛金回収の徹底」は、比較的着手しやすいCF改善の手法

「支払時期を遅らせる」というのは、企業としては少々究極的なケースになります。明日の、あるいは来月の支払いも厳しいとなった場合は背に腹は変えられません。銀行返済、経費、買掛金、給与などの自社から出て行くお金のなかで何を遅らせるかを検討します

それぞれの資金調達方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。その中でも、実際の調達までにどのくらい時間がかかるかは重要なポイントです。資金調達は大抵の場合、想定を超えて時間がかかるもの。資金調達の鉄則は「できるときにする」です

私見ですが、調達においてはEquityよりDebtを優先すべきです。まずなにより、創業融資として公庫から借り入れ可能な枠を使わない手はありません。無担保・無保証ですし、決済も比較的ハードルが高くありません。そして信用保証協会保証付き銀行融資を経て、目指すべきは銀行プロパー融資です

融資が難しかった場合にはじめて出資(Equity)を検討します。Equityの中でまず目指すべきは事業会社からの事業提携を視野に入れた資本提携、資本調達です。VCからの調達にはIPOなどExitを求められたり、様々な条件が付いてきます。個人投資家からの調達は基本的に金額(ロット)が少なくなりがちですし、必要額をカバーするために多くの個人投資家から資金を集めると、今度は株式分散の恐れが出てきます

DebtはEquityより資本コスト(資金調達コスト)が安くすむことになります。増して、長らく低金利の続く昨今においては尚更その印象が強いです。さらにDebtには、節税効果を得られるメリットがあります

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CFOのキャリアを手に入れるために何を学ばないといけないのか、実務上のポイントなど、じつにわかりやすくまとめられており、これは有用な一冊です。

外部からの人材調達が難しい中小企業で、ここに書かれたことがわかる・できる人材になれば、将来の幹部候補は間違いなし。

ぜひ読んでみてください。

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『中小・ベンチャー企業 CFOの教科書』
高森厚太郎・著 中央経済社

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4502348910

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◆目次◆

第1章 中小ベンチャーの経営とCFO
第2章 全体管理
第3章 PL/CF改善
第4章 資金調達
第5章 その他の経営管理

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