2020年9月18日

『面白いって何なんすか!?問題』 井村光明・著 vol.5601

【「面白い」を創るには】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478110530

出版・メディアの仕事をしていると、どうしても「面白い」ものを考える必要性に迫られるわけですが、これがどうにも厄介なシロモノ。

クライアントにはいろいろと期待されるわけですが、確実に「面白いもの」が思いつくという保証はない。

さらにタチが悪いのは、指導者として、これを教えなければいけない時。

アイデア発想の本を一冊も読んでいない人に、「面白い」タイトルや見出しを考える方法を教えるなんて、本当に頭を抱えたくなるお仕事です。

本日ご紹介する一冊は、そんなクリエイティブの苦しみを、共に分かち合ってくれ、さらに「面白い」ものを生み出す確度を上げてくれる一冊。

著者は、日本コカ・コーラ「ファンタ」でACC賞グランプリ2005を受賞し、UHA味覚糖「さけるグミ」でACC賞グランプリ・カンヌライオンズフィルム部門シルバー・TCC賞グランプリ2018を受賞した、博報堂CMプラナーの井村光明さんです。

読者の疑問にスパッと答えを出してくれて、解決策を原則化してくれる本もいいですが、現実のクリエイティブは、おそらく本書で書かれているように、不明瞭かつ泥臭いもの。

講座の受講生に、「ていうか、面白い、って何なんすか!?」と逆ギレされたという著者が、どうすれば「面白い」ものが考えられるのか、試行錯誤した結果が綴られています。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

「面白い」とは「面白くない部分を省いたもの」と考えてみる

成功例をデコンすると、分かった気がする。しかし、分かった! と思ったのに、いざ応用しようとしても中々うまくいかない。それは、そもそもデコンした考え方が「分かりやすかった」のではなく、成功したという結果を見ているから「納得しやすかった」だけなのです※デコン=deconstruction(脱構築)

忘れてはならないのは、ある作品を見て面白いと思う最大の理由は、「初めて」見る表現だった、ということです

マヨネーズの広告に、「speed!」?とても新鮮に見える! CMも野菜も!が、一体どうして「speed!」なんて言葉をマヨネーズに使おうと思ったのか?自分には書ける気が全くしない!

僕らにできることがあるとしたら、偶然書いてしまった、そんな単語を素通りしないことではないでしょうか

アイデアとは「単語の組み合わせ」

「面白い」は「足せる」ものではない

「面白い」の対義語は「よく分からない」だった

「面白い」とは「似ていないこと」

車や携帯や金融等々と、業種ごとに見ているうちに思ったことがあった。それは、業種の中で他と違って目立つ作品がある一方で、普通に見える作品はその業種ごとになんだか似ている、ということした

もし「面白い」とは「似ていないこと」という仮説が正しいとしたら、面白いことを考えられない人の特徴はこう言えることになります。「似ていること」にルーズな人

他と似ていない「単語」を探してみましょう。みんな「文章」として考えすぎなのではないでしょうか

—————————-

広告賞の審査員をやったからこそ見えてきた視点、自主プレから始まった企画だからこその思い切り…。

結果的に、かつて「永遠の不発弾」と言われた著者は、クリエイティブの第一線で活躍することになるのですが、その過程は、まさに苦悩の連続でした。

良いアイデアは、一日にして成らず。

だとしても、成功にいたるまでに、どんな方向性で考えればいいのか、実践的なヒントを与えてくれる一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『面白いって何なんすか!?問題』
井村光明・著 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478110530/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08CZLBDB4/

———————————————–
◆目次◆

はじめに 明日プレゼン、まだできてない。助けて!
第1章 四十にもなって、生徒に逆ギレされる。助けて!
第2章 文章は「単語」の組み合わせ、と考える
第3章 「面白い」の反対語は「よく分からない」
第4章 「面白くない」とは何なのか?
第5章 「考え方」より「選び方」
第6章 もうアラフィフ、このままじゃ追われない。泣きそう
おわりに アイデアは、「必然的」には生まれない

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー