2020年5月28日

『ジャパネットの経営』高田旭人・著 vol.5523

【カリスマが去っても成長する経営の秘密】
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カリスマ社長が引退すると、組織が崩壊し、業績も株価も下がる。

多くの企業がそのような運命をたどる中、見事に業績を上げる企業も存在します。

通販業界の雄、ジャパネットホールディングスもその一つでしょう。

本日ご紹介する一冊は、カリスマ創業者、高田明氏の後を継ぎ、見事ジャパネットを成長させ続けている東大卒の2代目、高田旭人氏による好著。(※「高」の字は文字化け防止のため)

著者が社長に就任した2015年から5年、ジャパネットホールディングスのグループ連結売上高は約2070億円と過去最高を更新。就任時から約35%伸びた計算です。

2代目社長の本というと、『カップヌードルをぶっつぶせ!』が良い本でしたが、本書も負けず劣らず良い本です。

※参考:『カップヌードルをぶっつぶせ!』
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副題に、「東大卒2代目の僕がカリスマ社長の後を継ぎ大事にしてきたこと」とある通り、著者が大事にしてきたことと、実際の施策をまとめており、経営者・マネジャーにとっては大いに参考になると思います。

本書の序章では、ジャパネットの歴史を、小さなカメラ店から始まった草創期、テレビ通販で大きく飛躍した成長期、業績悪化と並行して事業承継に向かう流れが生まれた過渡期、そして、著者が引き継いでからの再成長期に分けて紹介しています。

続く各章で、著者が取り組んだ事業戦略の先鋭化や働き方改革、組織マネジメント、マーケティング、カスタマーサービス向上などの取り組みを紹介しています。

やったこととその狙いが綺麗に整理されており、問題発見から問題解決までの流れが追体験できるのがポイントです。

これは経営者予備軍にとって、良いトレーニングになりますね。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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父からも母からも、取引先への不満や社員の悪口、資金繰りの苦労などを一度も聞いたことがありません。まだ小学生のとき、父が自分だけを連れて、今度本社が建つという場所に行ったことや、「社長は『社員数×5倍』の人の生活を背負う。それだけ責任が思い」と話してくれたことを今でも覚えています

ジャパネットには「厳選集中」という事業方針があります。ジャパネットが価値を認めたごくわずかな商品にラインアップを絞り込むことで、コールセンターや物流センターの効率を上げ、競争力を高めていく。ここが他社にはなかなか追随しにくい大きな特徴になっています

自社の強みと本質を考え続けて分かったのは、ジャパネットは、次の3つのステップを愚直に続けてきたということでした。
(1)見つけて(2)磨いて(3)伝える

こうして父の時代に培われたジャパネットの本質的な強みを3つに分解したとき、気づいたことがありました。ジャパネットの事業全体を見渡すと、「見つける」「伝える」活動が、概ね9割を占めていて、「磨く」活動は、相対的に少ない、ということです。そこで父の後を継いだとき、磨くという部分を特に強化していくことに決めました

2016年7月、ECサイトを「ジャパネットセンカ」として刷新するのに合わせて、取扱商品数を約8500点から600点程度に大きく絞り込みました。残った商品は7%ほど。商品数を9割以上減らしたことにになります。同じタイミングで、すべての商品に45秒間の紹介動画をつけています

当社でスマートフォンを購入いただいたお客様には、商品の配送と同時にスタッフがご自宅を訪問して、契約の手続きや初期設定を済ませてしまいます。加えて、電源の入れ方や文字入力、音声検索の方法など、基本的な操作方法のレッスンもします

「買った後」の体験価値を上げる

リフレッシュ休暇の期間中は、会社が貸与する社用の携帯電話を会社に置いていくのがルールです。携帯電話を持っていたら、気持ちが休まりませんよね。とはいえ、取引先などから連絡が入ることも想定されます。そこで直属の上司が預かり、休暇中の部下の携帯電話にかかってきた用件は上司が対応する決まりになっています

採用は面接よりも「自己紹介動画」で

全社員が電話に出る

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経営の考え方、実際の取り組みも感動しましたが、何より響いたのは、「はじめに」に書かれたこのメッセージ。

<人間は誰もが個性を持つ存在です。父のような特別なオーラを放たなくても、それぞれの個性に合った役割の果たし方があります>

本書で著者が述べたかったのは、特別な人でなくてもちょっとした視点の切り替えや小さな工夫でより高いパフォーマンスを上げられる、ということ。

かリスマ社長の後を継ぎ、実際にパフォーマンスを上げている著者の言葉だけに、重みがありました。

経営のヒントを求めている方、職場改革の秘訣が知りたい方、自分を成長させたいと考える方に、おすすめの一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『ジャパネットの経営』高田旭人・著 日経BP

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◆目次◆

はじめに 僕が「ジャパネットの経営」を語る理由
ストーリー 2代目が見てきた「創業者・高田明」と「ジャパネット」
第1部 【事業戦略】ジャパネットが成長を続ける理由
第2部 【働き方改革】「楽して成果を上げる」に本気で取り組む
第3部 【組織マネジメント】チーム力を高める仕組みづくり
第4部 【セルフマネジメント】ポジティブな自分をつくるマイルール
第5部 【Q&A】完全採録! 社員との「お悩み相談会」
終 章 【ビジョン】ジャパネットのこれから
おわりに

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