2020年5月1日

『ゲコノミクス』藤野英人・著 vol.5507

【「飲まない人」の巨大市場】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532358558

長崎に来てから、日本の「お茶」市場に興味を持つようになりました。

世界的にアルコールが敬遠されるトレンド、アジアの台頭などを考えると、次なる飲料の主役は「お茶」ではないかと思っているのです。

ワインやウイスキーが重宝されるのは、その希少性や知的奥深さだと思うのですが、お茶にはその両方の要素が備わっています。

つまり、献上品として、また富裕層の自己表現として、無限の可能性がある。しかも、もともと「TEA」「CHA」はグローバルワード。(国によっていろんな発音があります)

日本の抹茶が世界的ブームであることからも、今後面白いプロダクトのひとつだと思っています。

本日ご紹介する一冊は、このお茶を始めとする、ノンアルコール市場の可能性、酒を飲めない人のマーケットの拡大可能性に言及した、ファンドマネジャー・藤野英人さんによる新刊。

経済効果3000億円とも言われる「ゲコノミクス」市場の可能性と、攻略のポイントについて、投資家目線で語っています。

土井も45歳の誕生日を機に酒を飲むのを原則やめましたが、やめてみると、いかに外食ビジネスがアルコール依存なのかがよくわかります。

このコロナショックを機に、お店の体質を変えたい企業、商品・サービスを見直したい企業には、注目の内容です。

さっそく、本書の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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日本人の成人の半分以上は「お酒を飲まない(飲めない)」「ほとんど飲まない」「やめた」人

高級レストランでさえ、分厚いワインリストがあってアルコールのメニューは豊富なのに、ノンアルコールはメニューのどこに載っているのか見つけるのが難しい

ゲコの人たちの不満を放置しているのは、飲食業界にとって大きな機会損失

近年「若者がお酒を飲まなくなった」といわれ、アルコール市場は縮小傾向にあります。世界に目を向ければ、「お酒を飲むのをやめる」というトレンドも生まれつつあります。ノミスト頼みでは外食産業はどんどん苦しくなっていくおそれがあります

◆厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成29年)から飲酒に関するデータ
この調査では、「飲酒習慣のある人」を「週に3回以上飲酒し、飲酒日1日当たり1合以上を飲酒すると回答した人」と定義しています。この定義に当てはまる「飲酒習慣がある人」がどれくらいいるのかというと、全体では20%

平成元年度以降、成人ひとり当たりの酒類消費量は、平成4年度の101.8リットルをピークとして減少傾向にあり、平成29年度には80.5リットルまで大きく減少しています

ニューヨークでは、アルコール飲料を提供しない「Sober Bar(ソバー・バー)」も増えてきているのだとか

パブ文化で知られるイギリスでも、「1月はアルコール抜きで過ごそう」という「Dry January(ドライ・ジャニュアリー)」が注目を集めています

ビジネスチャンスとは「穴を発見して埋める」こと

ノンアルコールをより充実させるべきと話すと「お酒が売れなくなる」という人がいますが、ノミストはこれまで通りお酒を頼むのですから、ノンアルコールの拡充でアルコール市場が縮小するわけではありません。また、ノミストの飲食店経営者は「ノンアルコールには高い値段をつけられない」と考えるようですが、これはお酒が好きな人だからそう思うだけのことでしょう

社員がお酒に酔って不祥事を起こせば、場合によっては企業も責任を問われます

プライベートで酌み交わすお酒の価値は上がっていく

ロイヤルブルーティーの価格は、1本3800円から60万円まで。ノミストが「せっかくだから今日はこのワインを」とお祝いの席でいいワインを選ぶように、ゲコノミストだっていいドリンクを選びたい

東京・代々木上原にあるフレンチレストラン「sio(シオ)」では、コース料理にアルコールペアリングだけでなくノンアルコールペアリングをつけることができます

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始まったばかりの市場で、まだまだ事例が少ないのが玉にキズですが、ゲコノミストの方々のニーズ、声を丁寧に拾っているので、起業家、経営者ならきっと新たなサービス創出のヒントになるはずです。

いつの時代もビジネスのヒーローは、誰も開拓していない「新市場」を開拓した人。

ゲコ市場は、孫正義さんがいうところの「30年後、メジャーになるニッチ」なのかもしれません。

ぜひチェックしてみてください。

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『ゲコノミクス』藤野英人・著 日本経済新聞出版

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◆目次◆

序章 ゲコノミクスについて、大マジメに語ろう
第1章 見落とされてきた巨大な「ゲコ市場」
第2章 投資家が考える「企業経営とアルコール」
第3章 多様性と「飲む・飲まない」の選択との関係
第4章 ゲコ市場開拓のヒント
ゲコ×ゲコ特別対談 糸井重里×藤野英人

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