2020年2月7日

『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』 ジェイエル・コリンズ・著 小野一郎・訳 vol.5451

【必読。お金の処世術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478108196

昨年、断酒して以来、ほとんど酒場には行かなくなりましたが、この10年弱の間、酒場に通っていろいろな人に出会いました。

無理して買ったクルマで事故を起こし、借金して風俗で働くことになった女性、看護師になるため奨学金という名の借金を背負ったにもかかわらず、看護師の仕事が嫌いになってしまった女性、年収1000万円を稼いでいるのに、住宅ローンと子どもの塾費用でまったく自由のない暮らしをしているエリートサラリーマン…。

身近な方(本も書いて海外の学位も持っているエリート)からも、お金についていろいろな相談を受けるようになりました。

学校では、勉強は教えてもらえるけれど、お金についてはちっとも教えてもらえない。

親がお金の知識を持っていない場合、家庭でもお金について教えてもらう機会はなく、結果、子どもはお金に関してシビアな問題を抱えることになってしまいます。

土井の両親は、幼い頃からお金についていろいろと教えてくれました。

新品を買わずにお値打ちな中古品を買うこと、支出を抑え、お金を貯めること、借金はしないこと、などです。

本日ご紹介する一冊は、不幸にして親から金銭教育を受けられなかった方、忙しくて自分は教える暇がないけれど、子どもにはきちんとした金銭教育を受けさせたい、という方にうってつけの一冊です。

どうすれば、「会社に縛られないお金」を手に入れられるのか、どうすればお金を殖やし、悠々自適の老後を送れるのか、どうすればお金を防衛できるのか。

なかでも債券の運用を始め、人生後半の「お金の防衛」について紙幅が割かれており、45歳を超えた方にはおすすめの内容です。

もともとは個人投資家であり、ファイナンシャル・ブロガーである著者が娘に向けて書いた内容で、もちろん若い方にとっても勉強になります。

ここまで人生前半・後半のお金の話がバランス良く書かれた本は、なかなかお目にかかれません。

さっそく、気になる部分をチェックして行きましょう。

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支出は稼ぎより少なくする。余りは投資する。そして、借金をしない

あなたのお金について、あなた以上に本気で考える人はいない

あなたは自分のものを所有しているが、同時にそれに縛られてもいる

節約してより多く投資すれば、「会社に縛られないお金」が早く貯まる

投資額の4%で1年を暮らせれば、経済的に自立しているといえる

仲のよい少年が2人いました。彼らは別々の道を進みました。1人は質素な僧侶に、もう1人はお金も力もある王様側近の大臣になりました。何年もあと、2人
が出会いました。でっぷり太った大臣は、やせてみすぼらしい僧侶を見てかわいそうになりました。助けようと思い、大臣は声をかけました。「王様の役に立つ方
法を学べば、米と豆しか食べられない生活をしなくて済むよ」僧侶が応えました。「米と豆で生きる方法を学べば、王様のためにあくせくしなくて済むよ」

経済的自立とは、選択肢を持っているということです。何かあれば「ノー」と言える状態です。「会社に縛られないお金」を持ち、そのおかげで自由であるわけです

買える中で最高の家ではなく、必要最小限の家を探すのです。より大きな家を買えば、コストは大きくなります。借入金の返済額が増えるだけではありません。固定資産税も上がり、光熱費も修繕費も、仕上げや建て直しも、すべてが高くなります。あなたが資産を築く基礎になるお金が、これらの支払いに使われ、機会損失を大きくします

望んだ仕事にうまく就けたとしても、仕事は魅力を失っていくものです。そうなったあとも、若者たちは長くその仕事に縛りつけられてしまいます。若い頃の時間は、鎖につながれて疲労していくのではなく、冒険に使って、基礎を築き、視野を広げるべきです。本当に危険なのは、ほかの借入金と異なり、学生ローンから自由になれないことです

経済的に自立していると言えるのは、それだけのお金を持っているということですが、同時に、どれだけ必要なものを限定できるかということでもあります。収入の多寡は関係ありません。何に価値を見いだすかがポイントです

大暴落がもうすぐやってきます! そのあとまた次の暴落がやってきます! 安く買うチャンスがどんどん現れるということです

すべての卵を1つのかごに入れて、そのことを忘れましょう

あなたが仕事を辞めて、投資で得た利益で生活するようになると、資産を維持するステージに入ります。この時点では、ポートフォリオに債券を加えることをお勧めします

株式100%と、株式80%、債券20%のポートフォリオの成績の差はごくわずかです。これからの長い期間で、実際の結果がどうなるかといえば、きわどい勝負になるでしょう

数多くの組み合わせの中で、金融関係のメディアが採り上げたモデルはたった一つでした。それは、「株式と債券を半分ずつ保有するポートフォリオで引き出し率4%。ただし、インフレ率に応じて調整する」というものです。このモデルでは、96%の確率で30年後にポートフォリオがまったく減少しませんでした

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実際の運用に関しては、バンガードのインデックスファンド一本に絞った運用のため、日本人に向いているかどうかはわかりません。また、話のほとんどがアメリカ市場のため、投資の実際については、他の書籍を参考にする必要があります。

ただ、蓄財に関する考え方は画期的で、とても勉強になると思います。

生活をシンプルにして、蓄財し、少しでも多く運用に回すこと、投資をシンプルにすること、などの教えは、すべての大人に刺さるはず。

著者いわく、<経済的自立とは、お金を稼ぐことであると同時に、控えめに生きることでもある>。

稼いで引退することを目指すのではなく、奴隷にならない、嫌な仕事をしないという程度の蓄財をし、老後のためにお金を残す、という考え方なら、誰でも実現できるのではないでしょうか。

これまでの経済的自立本とは一線を画する現実的な考え方で、好感が持てました。

これは必読の一冊です。

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『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』
ジェイエル・コリンズ・著 小野一郎・訳 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

はじまり
Part1 オリエンテーション
Part2 資産形成の最強のツールをどうコントロールするか
Part3 なぜ、ほかの投資はよくないのか
Part4 たどり着いたあと、何をするか
おわりに

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