2020年1月31日

『お金の超基本』坂本綾子・著 泉美智子・監修 vol.5446

【幸福を求める人にオススメの一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866631015

本日ご紹介する一冊は、年商100億円の企業グループオーナーであり、ベストセラーも多数持つ著者、金森重樹さん絶賛の幸福学の名著の復刊。

著者のダニエル・ネトルは、英国ニューカッスル大学生物心理学部進化・行動調査グループの心理学助教授です。

冒頭、約20ページにわたり、監訳者の金森重樹さんの文章が続きますが、ここで監訳者は、こんなことを述べています。

<所得の増加が対数で示されるということは、年収1000万円の人が年収1億円(10倍)になるのと同じだけの「幸福感の増加」を、年収1億円の人が感じようとすれば年収10億円(10倍)になる必要があるわけです。僕も年収10億の次の100億の目盛りまで伸ばすだけの苦労は割に合わないと思いましたから>

<幸福感が頭打ちにもかかわらず、なんとか生活満足度を1単位でも増加させるべく膨大な時間を使って高い所得を得ようと奮闘するよりも、むしろ限りある命を浪費しないほうが大切なのではないでしょうか>

BBMの読者は、これから成功を目指す人、既に成功して幸福について考え始めている人など、さまざまだと思いますが、本書で紹介されている、幸福に関するさまざまな調査・知見を知っておくことは、人生を豊かにする上で役立つに違いありません。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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「人はお金持ちになりたいのではなく、他人よりお金持ちでいたいだけだ」(金森重樹氏)

メキシコなど気候も温暖なラテン系の陽気な国々は、世界平均よりも主観的幸福が高い傾向にあります。それに対して寒冷で長年、共産主義による締めつけのあった旧東欧諸国は平均よりも主観的幸福が低くなっています。つまり、主観的幸福は、1人当たりのGDP(収入)だけでなく、地理的・文化的・国民気質的な影響もかなりあるのです(金森重樹氏)

「幸福」に属する概念は、「思いがけずいいことが起きる」といったことと関係があります。つまり「幸せ」というのは絶対的な状態ではなく、そこには暗に、期待値との比較、あるいは他人が持っているものとの比較が込められているのです

【レベル2】の幸福より、もっと広い意味の幸福も存在します。アリストテレスが善良なる生活の理想として名づけた「エウダイモニア」です。この言葉はよく「幸福」と翻訳されますが、むしろ、個人がその潜在能力を存分に開花させることのできる生活を指すのです

人生に意味や信仰心や崇高な目的を見つけることも、ポジティブ心理学の処方箋です。ポジティブ心理学における「最高善」とは、「自己目的的な人格」を形成することです。自己目的的な人物とは──。「財産や娯楽、気晴らし、名声などをほとんど必要としない人。なぜなら、彼らが行うことの大半がすでに当人のためになっているからで、多くの人が無意味な生活を乗り切るために必要とする、外からの報酬に頼らずにすむからだ。こういう人たちは自主性や独立心が旺盛で、外からの脅かしや誘惑にも簡単には屈しない。それと同時に、人生の潮流に完全に身を任せているので、周囲のすべてのことに積極的に関わっている」

音楽家、芸術家、作家などフロー体験の多い職業の人ほど、強い不満を感じることが多く、かえってそれが原動力となって、技術の向上に向けての新たな挑戦を生むのです。もっともこれらの人は、うつ病や依存症などにもかかりやすいもの

狭い意味での幸福の範囲におさめきれない重要な美徳が、人生にはほかにもたくさん存在する

適応現象の一つの副作用に「授かり効果」と呼ばれるものがあります。人は、いま所有しているものが取り去られたら、とてもやっていけないと考えるものなのです。以前はそれなしでも平気で何年も過ごしてきたというのに

実際には、多少低いレベルであっても長く持続するほうを選べば、生活における喜びの総量はより大きくなるのに、私たちは、ピーク時により大きな喜びを与えてくれそうなもの、あるいは、最後まで持続する歓喜を与えてくれそうなものを選びがちです

もしもあなたが、どんなときも人生は灰色だとしか考えられないとしたら、
「比較の対象が間違っていないだろうか」
「むやみに過去や未来にとらわれていないだろうか」と自問してみればいい

最も高度な職業集団の満足度の平均は、単純労働者の平均を10段階評価で0・5ポイント上まわっています

結婚している人は、そうでない人に比べて、かなり強い幸せを感じています。その次に満足度が高いのは同棲している人で、その後、一度も結婚したことのない未婚者が来ます。一度結婚したものの、離婚したり別居中だったりした人は、比較的幸福度が低くなります

「性格が幸せを左右する」という結論は、「幸せとは、周囲の世界いかんによるのではなく、人が世界にどのように関わるかによる」といっている

あなた自身が何か、価値がある、挑戦しがいがある、大切である、と思えるものに意識を集中させてみればいいのです。いくつもの美徳に向けて努力をすれば、それだけリスクを分散させることができ、生活も変化に富んだものになります

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ネットバブルからインターネットビジネス全盛期には、「成功」が宗教でしたが、ネットで途方もない成功を見せつけられた今は、代わって「幸福」が宗教と化しています。

ただ、その幸福も、成功のアナロジーで考えていては、上手く行かない。

本書の魅力は、幸福を論じた本であるにもかかわらず、幸福の枠の外にある美徳についても論じている点。

心理学の見地も含めて論じた本書を読めば、どんな生き方が真に幸福につながるのか、よくわかると思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『幸福の意外な正体』ダニエル・ネトル・著
金森重樹・監訳 山岡万里子・訳 きずな出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866631015/

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◆目次◆

本書を読んでいただく前に──
目からウロコの幸福学 金森重樹
はじめに── なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか
第1章 幸せって、何だろう?
    幸福の定義について考えてみる
第2章 人生は喜びに、満ちている?
    あなたが幸せになれない理由
第3章 幸せな人って、どんな人?
    ウェルビーイングの基盤
第4章 性格で、幸福度は決まる?
    日常の変化をどう受け入れるか
第5章 不幸せは、脳の仕業?
    落ち込んだ気分を変える方法
第6章 感情は、コントロールできる?
    ネガティブな状態から抜け出そう
第7章 人は今より、幸せに生きられる?
    矛盾をはらむ幸福の心理を解明する

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