2019年11月22日

『30の都市からよむ世界史』神野正史・監修 造事務所・編著 vol.5402

【押さえておきたい世界30都市の歴史】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453219962X

本日ご紹介する一冊は、世界史における主要都市30に注目し、都市の視点から歴史を解説した教養書。

登場する都市は、いずれも重要な都市であり、知らないとグローバルビジネスで恥をかくレベルですが、おそらく日本人ですべての都市の歴史を完全に知っている、という方は少ないでしょう。

ニューヨーク、パリ、ロンドン、デリーを知っているのは当たり前として、テオティワカン、サマルカンド、テュニス、イスファハーンあたりになると、人によっては、「正直、どこにあるかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本人はつい、現在の経済ランキングをもとに世界の序列をつけたがりますが、中東やアフリカの方々は、自分たちが文明のルールだという高いプライドを持っています。

なかでも、主要都市出身の人に、「それどこですか?」と尋ねてしまうのは最悪です。

教養人として、最低限押さえておきたい主要都市の名前と場所、歴史を概観するなら、本書はまさにうってつけの一冊です。

30の都市の歴史を概観し、「なぜ繁栄し、なぜ没落したのか?」を考えるのは、ビジネスパーソンとして、良いトレーニングになるはず。

不動産投資家も読んでおくといいでしょう。

それでは、さっそく内容をチェックしてみます。

———————————————–

グーグルマップなどでイラクの航空写真を見ると、国土の大部分は砂漠地帯ながら、ティグリス川とユーフラテス川に挟まれた地域には、点々と緑地が広がっていることがわかります。ふたつの大河に挟まれたこの一帯こそ、古代文明発祥の地として知られるメソポタミア平原です

当時のバビロン市街の総面積は周辺地区も含めて約1000ヘクタールあり、東京ドーム約100個分の約500ヘクタールの市内に10万人近くが住んでいたと推定されています

2017年、アメリカのトランプ大統領は、イスラエルとの友好関係を強調するため、在イスラエルアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転すると発表して波紋が広がりました。イスラエルはエルサレムを首都としていますが、諸外国からは承認されておらず、各国の大使館は西方のテルアビブにあります。イスラエルは、1967年の第三次中東戦争で隣国ヨルダンに属していたエルサレムの東部を支配下に置きましたが、国際連合(国連)は“不当な占領”と見なしているからです

イスラエルがあるパレスチナ地方は古代には「カナン」と呼ばれていました。ここはアジア、アフリカ、ヨーロッパの3地域が接する要衝で、地中海沿岸のさまざまな民族が入り乱れ、古くから戦乱の舞台となってきた土地です

ギリシャは山や谷が連なる地形で、大河もないため、各地のポリスは統一国家としてまとまることはなく、交易に有利な沿岸部を中心に多く発達します。ただし、アテネがほかの沿岸部のポリスと異なったのは、外敵を防ぐように内陸部分には山々が連なり、近郊で大理石や銀などの資源が採取された点です。この恵まれた条件がのちの繁栄の礎となるのです

メキシコ合衆国の首都メキシコシティから約50キロメートル北東にあるテオティワカンは、メソアメリカ文明が生んだ最大の都市です。標高2200メートルの高地に位置し、付近に大きな河川はありませんが、周囲の山々からの雪解け水や地下水が豊富に手に入り、土壌も肥沃で、農業の生産性が高い土地でした

中世のバグダードは、西方の東ローマ帝国(ビザンツ帝国)と東方の唐を結ぶシルクロードの要衝であり「世界の十字路」と呼ばれ、多くの商人や物資が流入します

中央アジアでは、751年に西から侵攻してきたアッバース朝と唐の軍勢が衝突するタラス河畔の戦いが起こりました。これを機に唐から西方に紙の製法が伝わり、サマルカンドは19世紀まで、イスラム文化圏屈指の紙の名産地となります

数ある中東の都市の中でも、イランのイスファハーンは知る人ぞ知る街です。イスファハーンは、16~17世紀のサファヴィー朝ペルシャ帝国の時代には、ユーラシア大陸東西の人々や商品が大量に流入し、「世界の半分(世界の富の半分がある)」とまでうたわれた都市でした

———————————————–

目次を見て、これまでに行った都市を数えてみたら、30のうち、まだ17都市しか訪問できていませんでした。

本書に登場する都市は、かつて世界史の中心になったことのある、誇り高き民たちの住まう都市。

この30都市出身の方に会った時には、最大限のリスペクトを示すとともに、歴史のうんちくを少しぐらいは語れるようになっておきたいものです。

ぜひチェックしてみてください。

———————————————–

『30の都市からよむ世界史』神野正史・監修
造事務所・編著 日本経済新聞出版社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453219962X/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B081RMQFCS/

———————————————–

◆目次◆

バビロン
エルサレム
アテネ
アレクサンドリア
テオティワカン
ローマ
コンスタンティノープル
長安
バグダード
京都
サマルカンド
アンコール
チュニス
北京
マラッカ
モスクワ
イスファハーン
ヴェネツィア
デリー
サンクトペテルブルク
パリ
アムステルダム
ロンドン
ニューヨーク
ウィーン
リオデジャネイロ
シドニー
シンガポール
上海
ドバイ

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー