2019年9月6日

『「ついやってしまう」体験のつくりかた』玉樹真一郎・著 Vol.5352

【元・任天堂企画開発者、語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478106169

もともとゲーム業界出身ということもあり、ゲームの「人を夢中にさせる仕組み」には興味があり、いくつか本も紹介していますが、今日の一冊は、また違う切り口からの解説本。

※参考:『ゲームニクスとは何か』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/434498045X/

※参考:『ソーシャルゲームはなぜハマるのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797366230/

世界で1億台売れるヒット商品となった「Wii」の開発に携わり、現在は企画の専門家として企業・団体を支援している元・任天堂の企画開発者が、その発想法を明かした一冊です。

ユーザーが自然と学習する「スーパーマリオ」のルールとは何か?

そんな素朴な疑問から、「アフォーダンス」や「シグニファイア」などの概念を説明し、読者が企画・商品を考える際、使えるようにツール化してくれています。

土井が見る限り、現在のゲームはいずれも人間心理に基づいたじつに巧妙な設計がされており、本書ではそのトリックを暴く形になっています。

人を夢中にさせる「体験デザイン」の仕組み。

これがわかれば、ビジネスもマーケティングも、きっと上手くいくはずです。

さっそく、内容をチェックしてみましょう。

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いちばん大切なルールとは、プレイヤーが瞬時に読み取れる「自分は何をすればいいのか」という行動でなければならない

デザイナーは、プレイヤーがいちばん大切なルールに従って行動したとき、自然とクッパが倒されるようなしかけをデザインしなければいけなかったのです。その結果として生まれたのが、「画面右端の斧を取る」という倒しかたです

マリオは画面の左の端にいて、右を向いています。そんなマリオが伝えていることは何でしょう?

なぜ、マリオにはヒゲに帽子なのでしょう? 理由は、顔がどちらを向いているかをわかりやすくするため、と推測できます

このゲームは何をしたら勝ちか。

仮説→試行→歓喜という自発的な体験を通して理解した自転車の乗りかたは、もはや一生疑う必要のない真理として血肉となる

私たちの脳は、常に「○○するのかな?」という次の行動について仮説をつくりたがっている

もうひとつ、アフォーダンスとセットとなる考えかたに「シグニファイア」があります。アフォーダンスを伝えるために特化した情報のことで、スーパーマリオであればマリオの形状や位置・山や草などが該当します

右に歩くと、まずクリボーや「?」と描かれたブロックが登場します。さらにはキノコ、土管、地面の穴、コイン……。そのたびにプレイヤーはアフォーダンスという仮説を抱き、試行し、歓喜します

目の前にあるものが、十分にシンプルで簡単であるなら、人は勝手に解いてしまいます。逆に目の前のものが複雑で難しいと感じたとき、人は解こうとしません

スーパーマリオは、しっかり学んでもらわなければならない4つのアイテムを、プレイヤーの集中力が高い最序盤に集中させることで、複雑さ・難解さを回避しています

プレイヤー全員が持っている記憶さえ把握できれば、そこから体験をデザインできる

疲れや飽きによって弱っていく脳の学習機能を活性化するために、脳の予想を外す体験をあえて織り交ぜる

「かいしんのいちげき」。発生確率は数%しかありませんが、出たときの気持ちよさは格別です

◆「環境ストーリーテリング」
環境の中に配置された情報をプレイヤーが自発的に集めながら物語を構築していく、そんな物語の伝えかた

ゲームの中で展開される架空の物語は、あくまでプレイヤーが成長する体験をデザインするための手段

物語に興味を持ってもらうため、物語の冒頭でかならず未解決の問題が提示されます

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「このゲームは、何をしたら勝ちでしょうか?」が自然とわかる仕組み。それに沿ったゲーム設計。

無意識に訴えて、「つい」行動してしまうデザイン。ドラクエに一見無意味な「ぱふぱふ」が登場する理由…(笑)。

本書で述べられている「仕掛け」は、マーケティングでも人事でも教育でも活かせると思います。

出版業界も、この仕組みを取り入れて本作りやマーケティングをしたら、まだまだ売れそうですよね。

YouTubeで成功したい人にも、本書は使えそうです。

ぜひ、読んでみてください。

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『「ついやってしまう」体験のつくりかた』玉樹真一郎・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

第1章 人はなぜ「ついやってしまう」のか
第2章 人はなぜ「つい夢中になってしまう」のか
第3章 人はなぜ「つい誰かに言いたくなってしまう」のか
終 章 私たちを突き動かす「体験→感情→記憶」
巻末1 「体験のつくりかた」の使いかた(実践編)
巻末2 体験デザインをより深く学ぶための参考資料

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