2019年6月28日

『センスメイキング』クリスチャン・マスビアウ・著 斎藤栄一郎・訳 Vol.5304

【人間を理解する大切な視点】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423065

昔、『Google』や『ウェブ進化論』が話題となっていた頃、『日本の論点』の編集長とパーティでお会いして、こんな会話をしました。

「グーグルは世界の知を整理し尽くそうとしているらしいですね」
「それは極めて難しいでしょうね。なぜなら世界の知の基盤にあるのは、文化や宗教だからです」

本日ご紹介する一冊は、ReDアソシエーツ創業者、クリスチャン・マスビアウによる、テクノロジー至上時代のセンスメイキングの本。

ReDは人間科学を基盤としたユニークな戦略コンサルティングファームで、文化人類学、社会学、歴史学、哲学の専門家を揃えているそうです。

本書では、STEM(科学・技術・工学・数学)や「ビッグデータ」などの理系知識一辺倒の傾向に警鐘を鳴らし、定性的な情報から意味を汲み取る「センスメイキング」の必要性を訴えています。

・「個人」ではなく「文化」を
・単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を

ビジネスで大事なのは、どれだけ大量のデータがあるかではなく、それをどう読み解くか。

その洞察力を磨くのに、本書の知識が役立ちます。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。

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●センスメイキングの五原則
1 「個人」ではなく「文化」を
2 単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を
3 「動物園」ではなく「サバンナ」を
4 「生産」ではなく「創造性」を
5 「GPS」ではなく「北極星」を

理系に固執していると、こうした変化に鈍感になり、定性的な情報から意味を汲み取る生来の能力を衰えさせることになる

確実なデータと自然科学的な手法のみに偏り、人間の営みを物理法則や機械的メカニズムだけで説明しようとしていると、自然科学の法則では割りきれないあらゆる形式の知識に対して、我々の感度が鈍ってしまうのだ

何が適切で何が妥当かという判断は、社会的文脈の中で決まってくる

ある文化について徹底的に深く理解しようと思えば、まずはその文化で暮らす人々の行動のありようやその理由を理解することが先決

ペンも香水もハンマーもワープロも、生活に関するあらゆるものは、相互に関係がある。他から隔絶された孤立状態で存在するものなど、あり得ない

例えば、ウインク(目配せ)を考えてみよう。コンピュータにウインクを定義させたら、「一ミリ秒間継続する目の痙攣」となるのかもしれないが、ウインクにもっと深い意味があることは誰でも知っている。この小さな動きには、「本気じゃないよ」とか「一緒に帰ろうか」とか「お前、バカだな」など多種多様なうえ、言葉で言い表せないような意味さえある。ギアツの言葉に触発された筆者は、センスメイキングのデータを「厚いデータ」と呼ぶようにしている

薄いデータは、我々が何をするかという行動の面から我々を理解しようとするのに対して、厚いデータは我々が身を置くさまざまな世界と我々がどういう関係を築いているのかという面から我々を理解しようとする

「意味の連なり」から考えれば、この家族が珍しいコーヒー豆を探していたのは、常に寛大で好奇心あふれる人間であるためであり、それは家族が一番いい状態であるためであり、それは人生を謳歌するためである

自身のセンスメイキングを実践する際、現象学で一番重要なポイントを忘れないでいただきたい。それは、「現実世界に回帰せよ」ということである

五五歳ごろに、多くの被験者が人生は自分の力でどうにもならないという思いを抱いていた

人々とつながるなら、自らそこに飛び込み、彼らの行動や可能性を肌で感じるのが一番です。でもそれが無理であるなら、現地に伝わる物語を読むことだと思います(マルグレーテ・べステアーの言葉)

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実際にビッグデータをいじっていた人間から言わせれば、それでもやはりビッグデータやAIにはかなりのことができますし、それを読み解く人間も決してバカではない。

とはいえ、確かに本書で述べている内容がわからない人間がアルゴリズムを組んだり、データ解析をすれば、大きな間違いを犯す可能性はあるでしょう。

ただ理系知識に反旗を翻したわけではなく、本格的なテクノロジー時代に必要な教養を説いた内容です。

ぜひ、読んでみてください。

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『センスメイキング』クリスチャン・マスビアウ・著
斎藤栄一郎・訳 プレジデント社

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

はしがき 思考の終焉
序 ヒューマン・ファクター
第一章 世界を理解する
第二章 シリコンバレーという心理状態
第三章 「個人」ではなく「文化」を
第四章 単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を
第五章 「動物園」ではなく「サバンナ」を
第六章 「生産」ではなく「創造性」を
第七章 「GPS」ではなく「北極星」を
第八章 人は何のために存在するのか
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