2019年5月28日

『どんなに弱くても人は自由に働ける』阪口ユウキ・著 vol.5281

【○○のない仕事だけは絶対にしたらアカン】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022619570

「私、世界で1番のブスです」というラジオリスナーの声に、中島みゆきさんが粋なコメントをして、話題になっていました。
https://www.chietoku.jp/miyuki-nakajima/?fbclid=IwAR3zzMjk7ITs9nwR5YwBqpzIb9f8meVcRRNwqfDC2FS15lgGFCIr0gSoCxcM

何が人間を傷つけるのか、何が夢を挫くのか、人によって千差万別でしょうが、はっきりわかることは、傷ついた心を癒やすのには時間がかかるということです。

そして、どん底から這い上がるには、人との交流が不可欠。なかでも人からどんな言葉をかけてもらうかは、一生を左右する重要なことだと思っています。

本日ご紹介する一冊は、体験談投稿サイト「STORYS.JP」で320万人が共感したという、話題のストーリー。

「○○のない仕事だけは絶対にしたらアカン」という気になる文句がオビに書かれていて、思わず手に取ってしまいました。

著者は、社会人2年目でうつ病が重症化し、服薬自殺を図ったこともある人物。しばらく寝たきりになった後、ニート生活、離島バイトを経て起業するのですが、本書にはその過程で出会ったメンターとの心の交流が書かれています。

利根川の桟橋で会った大手石油会社の重役の「伊波さん」、うつ病になってから初めて友達になった「長谷川君」、一泊1200円、あいりん地区の劣悪な住環境で出会った元ヤクザ幹部の「中條さん」。

それぞれの人物との心の交流を通して著者は回復し、また教訓を実践することで運命を変えて行きます。

生きるとは何か、働くとは何か。

原点を見失った時、ぜひ読んでみたい一冊です。

さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。

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僕は、うつ病が治ってしまうことが怖かった。休んで元気になったら、何をすればいいのだろう。何を目指して、何を目的にして生きればいいのだろう

僕は、満足度を感じるレベルを、極限まで引き下げて生きることを考えた。小説は書くことをやめても、日記だけは書き続けていた僕は、「一行でも書けば、価値のある一日を過ごした」と思い込むようにした。それさえもつらくなれば、「今日も呼吸をして、生き延びた」という、ただそれだけの達成に満足を感じるようにした

なにかしらのきっかけに、引っ張りあげてもらう必要があると思う。自分の頭の中にも、これまでの人生でも経験したことのない刺激を入れること。そのきっかけは本かもしれないし、映画かもしれない。でも、やはり、一番のきっかけは「人に会う」ことなのだと思う。人に会うのは怖い。でもだからこそ誰かに会って、自分の境遇を素直に話してみることが必要なのだ。僕があの日、利根川の桟橋で、“伊波さん”と偶然出会ったように

「働かないのは駄目ですか」
「駄目だな。それじゃあ何も見つからない。どんなことでもいいから社会と繋がっておくことが大事なんさ。繋がりがなくなったら、本当に何も考えられなくなる」

自分の力で生業を起こそうと決意を固めて行動するとき、それはどんな業種・内容を問わず、「起業」と呼ぶのだと思う。僕は、起業する理由なんてなんでもいいと思う。社会にどんな価値を与えようだとか、どんな貢献をしようだとか、そんな立派な理由も必要ない。ただ自分の、本心から出てくる感情がそこにあればそれでいい

帰国の日、日本に向かう飛行機の中、悔しさに涙が溢れた。好きな人と一緒にいる力すらない自分の無力さが、ただただ情けなかった。もう二度と、こんな想いはしない。僕は絶対に、好きな人と一緒にいられる力を手に入れる

中途半端な夢は、現実から逃げるうまい口実になってしまう(中略)だから僕は、本格的に起業する前に、中途半端な夢に決着をつけることにした

自分の能力から仕事を探すのではなく、自分が理想とするライフスタイルをまず思い描く。そして、そのライフスタイルが叶えられる仕事を逆算して考える、という仕事の選び方だ

雇われで働いているときは、お金は毎月「もらう」ものだった。しかし今は、ハッキリ「稼いでいる」という実感がある

二十代前半の青春時代は失われてしまったが、「未来の青春」にはまだ間に合う。きっと、その風景は掴みとることができる

ひとりでも生きる力をつければ、誰かと繋がる勇気が持てる

人は、自立していない状態では、誰かと関係性を築くことはできないのだと思う

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「○○のない仕事だけは絶対にしたらアカン」の答えは、ぜひ本文で。

うつから這い上がり、もがく著者の姿は、読む人に勇気と労働の尊さを教えてくれます。

身近に苦しんでいる人がいたら、ぜひプレゼントを。

読者が普通に働いている人でも、本書からはきっと感動が得られると思います。

ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『どんなに弱くても人は自由に働ける』阪口ユウキ・著 朝日新聞出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022619570/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07PZCLFJR/

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◆目次◆

STORY1 千葉の実家で寝たきりの日々
STORY2 「働く」という感覚を取り戻す日々
STORY3 あいりん地区で元ヤクザに人生を教わる日々

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