2019年4月23日

『数字で話せ』斎藤広達・著 vol.5262

【数字で人を動かす伝え方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569842747

本日ご紹介する一冊は、名門・シカゴ大学経営大学院を卒業し、ボストンコンサルティンググループ、ローランドベルガー、シティバンク、メディア系ベンチャー企業経営者などを経て、経営コンサルタントとして独立した著者が、『数字で話す』技術を紹介した一冊。

仕事をしていると、上司への報告や会食での会話など、さまざまなコミュニケーションの機会がありますが、そこで数字を語ることで、信頼感・評価は一気に高まります。

本書では、「数字で話せない人」「数字で話せる人」の会話の対比で具体的な話し方の例を示し、さらに数字を使いこなすためのテクニックや計算方法までを教えてくれます。

これ一冊でAIの専門家やデータ分析のプロにはなれませんが、専門家との仕事上のコミュニケーションはスムーズにできるようになるでしょう。

大きな数字を身近な数字に換えるための「@変換」、営業を科学するための概念である「ファネル」、不確定な未来を数字で語るための「シナリオ・プランニング」、オンラインビジネスを分析するための簡単な方程式など、知るだけでビジネス力がアップするさまざまな情報が紹介されています。

さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。

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一流の経営者は複雑な売上や利益の数字をスラスラと言えるものですし、優秀な経営コンサルタントは「売上を○○%上げれば利益率が○○%改善するはずです」と、瞬時に数字で説明したりします

大事なのは「数字に対する瞬発力」

数字がないと、「声の大きな人」の意見が通る

「コストがぐっと削減できますよ」といった感性的な言葉よりも、「○○万円削減できますよ」のほうが伝わる

「頑張ってこの商品を売りましょう」と言うより、「1日平均100個の売上だったこの商品を、今月は120個まで伸ばしましょう」と言ったほうがリアルに伝わるし、では、どういう方策を練ればいいかも見えてきます

数字で話せない人
「今月の売上は目標に対してあと500万円足りません。この差は大きいので、みなさん頑張ってください。」

数字で話せる人
「今月の売上は目標に対してあと500万円足りません。1人当たり約50万円、1人あとプラス1件の受注を目指してください。」

数字で語る経営者やコンサルタントは、「@変換」という手法をよく使います。つまり、大きな数字を「1人当たり」「1個当たり」の数字や単価に変換する作業です。「数字に意味を持たせる作業」と言うこともできます

国内ユニクロ事業の年間売上だけでも約8647億円もあります(2018年8月期実績)。では、この数字を@変換すると、何が見えてくるのか。まずはマクロの視点で「日本人の人口」で@変換してみることにしましょう。日本人の人工をざっくり1億人とすると、1人当たり年間8600円ほどとなります。ユニクロのラインナップは幅広いですが、仮に購入単価を1500円として計算すると、8600円(1人当たり購入額)÷1500円=5.7 つまり、年間1人5~6アイテム購入している、という計算が成り立ちます

ざっくりでもよいので、その場で@変換を使い「現場感」を得る

シナリオ・プランニングは「サプライズを減らす」ことがゴール

私がぜひ、お勧めしたいのが、正規分布を使った交渉テクニックです。これはアンカリングのような効果を持ちつつも、あくまで相手に対して誠実に交渉を進めるための方法です(中略)「通常は5日あれば、ほぼ間違いなく納品できます。早い場合は3日でできることもありますが、まれに5日より遅れることがあります」いかがでしょうか。これくらい正確に伝えることができれば、相手も十分納得してくれた上で、「5日」という納期を受け入れてくれるのではないかと思います

ネットビジネスを語る際には「会員数」をチェック

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著者は現在、AI開発、デジタルマーケティング、モバイル活用など、デジタルトランスフォーメーションに関わるコンサルティングに従事しているらしいですが、本書にもその知見が生きています。

組織に多様な人間が集まれば集まるほど、論理で語る、数字で語ることは必要不可欠。

「声の大きい人」が勝つ組織ではなく、「数字で話す人」が勝つ組織にしないと、日本の未来はありません。

ぜひ、読んでみてください。

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『数字で話せ』斎藤広達・著 PHP研究所

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◆目次◆

序 章 なぜ、日本の組織には「数字で話せる人」が少ないのか?
第1章 数字で話すための第一歩は「@変換」から
第2章 営業・販売のすべては「ファネル」で語れる!
第3章 「偏差値」で、世の中すべてが説明できる?
第4章 悪用禁止!の「数字で伝える」テクニック
第5章 ネットビジネスを語る「言葉」を手に入れる
第6章 「ビッグデータ」を語ろう
第7章 「AI」を語れる人だけが、未来を語れる

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