2018年9月21日

『ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス』 大江千里・著 vol.5120

【ゼロから挑戦したい大人に。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048961934

本日ご紹介する一冊は、「格好悪いふられ方」「ありがとう」「Rain」「夏の決心」などのヒット曲を世に出しながら、2008年、国内の音楽活動に一区切りをつけ、愛犬を連れて渡米、52歳にしてひとりビジネスを始めた、大江千里さんによるエッセイ集です。

話の大半はニューヨーク暮らしの話であり、いわゆる起業ノウハウが出てくるわけではありませんが、一度人生をリセットしてやり直すというのはこういうことか、と知る上で意味ある内容です。

生きる上での哲学やビジネスの心構えなどは、ほとんどが後半に集中しているので、265ページ以降を読んでいただきたいですが、かつて1年、ニューヨークに暮らしていた身としては、エッセイも共感しながら読むことができました。

ちょっと日本とは異なるニューヨークの常識、現実にある差別など、日本にいるだけでは見えてこない現実が見えてきて、興味深い内容だと思います。

文章も味わい深く、一気に読み進めることができました。

赤ペンチェックに向いている本ではありませんが、さっそくポイントを見て行きましょう。

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あの頃のように上昇気流に乗れていない自分が、平行棒の上をずっと同じ速度でよちよち歩きをしているように感じるときがある

人生は充実感よりはむしろ不安のほうが多く用意されていて、それをどれだけプラスに変換できるかで光の分量は大きく変わってくるのだなと思うようになった

バブルの旨味を体験した僕は、その頃の日本で息つく暇もないほどツアーで全国を回っていた。あちこちで頂くギフトを丁寧に開ける時間もなく、次のツアーに飛び出てしまう。歯磨き粉もシャンプーも石鹸も最後まで使うことはなく、いつもものに溢れ、縛られ、シンプルになるタイミングを失っていた。そんな時代が終息し、みるみる「本当の価値観、生き方」を問われることになる

「いっそ日本の口座にあるお金で早めに2LDKくらいのアパートを買って、部屋の一つをルームメイトに貸し家賃収入を得るのはどうだろう?」そんな悪魔の囁きが聞こえてくる。それはそれで楽しい妄想でなくもないのだが、「目に見えない心の自由」こそが最も高価な宝物なのだ。たくさんの荷物を捨ててNYに裸一貫でやって来て手に入れた「フットワーク」と「身の軽さ」を簡単に手放す必要はない。アンテナがそう働き、ブルブルと頭を振った

◆起業するに当たり、決めた起業のルール
1.利益の出ないことをやらない
2.志は高く
3.先行投資
4.小売精神の徹底
5.プロに依頼する

20代の頃は10代のすべてが照れ臭くてそこから逃げたくてうずうずしていた。背伸びをして、早く一人前の大人として完成されたいともがき苦しんだ。30代は仕事も脂が乗って忙しさのピークを更新しつつ、心のどこかで一体いつまでこの調子で走り続けるのか? という疑問を抱え疲れ果てていた。40代になるとはっきりと身体的にも曲がり角という自覚が芽生え、少しスピードが落ちる。人との別れを経験し、人生に限りがあること、そして人生が1回しかないことをはっきり意識し始める。そんなある日、僕はそれまで束ねていた時間軸を一気に手放すことになる

奇しくもジャズピアニストとして自分で作曲し、演奏していこうと決めたのと同じように、僕は人生を52歳で「ひとりビジネス」の観点から見直し、次の目標に向かってその畑を「耕し」始めたのだ。鉢の数はまだ少ないが夢はある

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著者ほどではなくても、ある程度、富や名声を手に入れた人が人生を変えるのは、殊の外難しいことだと思います。

映画『グレイテスト・ショーマン』のなかで、バーナムがカーライルに“Comfort, the enemy of progress(快適さは進歩の敵だ)”と言う場面が出てきますが、著者もそれと必死に戦ったのだと思います。

もし、読者が40を過ぎて人生を変えようと思うなら、本書は「買い」です。

ぜひ読んでみてください。

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『ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス』
大江千里・著 KADOKAWA

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048961934/

<Kindleで購入する>
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◆目次◆

※多すぎるので省略します

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