2018年2月25日

『ブランドのコラボは何をもたらすか』 午後の紅茶×ポッキープロジェクト・編著 vol.4967

【午後の紅茶×ポッキーが4年続く理由】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/488335427X

ここ数年間で、急激に広まってきた販売促進手法があります。

それは、ブランド間の「コラボ」(=コラボレーション)です。

スマホゲームでは、多様なキャラクターとのコラボが当たり前ですし、ビジネス書でも有名人同士の共著が増えてきました。

理由は簡単。

SNSやメルマガ、ブログなどでブランドが顧客リストを持ちやすくなった今、コラボによってリストの総量を増やす手法が効果的だからです(お互いのファンを融通し合える)。

とはいえ、異質なブランド同士のコラボは、現実には困難を伴います。一過性のものに終わることも少なくありません。

そんな中、4年も続く珍しいコラボがあります。

キリン「午後の紅茶」と、グリコ「ポッキー」のコラボです。

本日ご紹介する一冊は、この2つのブランドのコラボプロジェクトを、当事者がつづった一冊。

どうやって始まったか、どんな手法を使って成功したのか、第1弾、第2弾、第3弾とフェーズが進む中、どうやってキャンペーンの鮮度を維持して行ったのか、気になるところが丁寧に書かれています。

さっそく、ポイントを見て行きましょう。

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ふとメンバーのひとりが呟いた。
「プリンに醤油をかけるとウニになるよね」
一瞬、場が固まった。……それだ!
何気ないつぶやきが、ブレイクスルーに繋がった。
そこからは早かった。すぐに「単品でももちろんおいしいが、それだけでは完結しない。2商品を食べ合わせると、さらに新しい味覚が生まれる」という、今後数年続くこのプロジェクトの根幹とも言える「1+1=2」にとどまらない「1+1=3」の味覚設計アイデアが生まれたのだった

デザインは、何パターンも試行錯誤を重ねた。最終的に、ペアリングが分かりやすい、王子様とお姫様が出会うデザインが完成した。背景は繋がっており、デザイントーンは全く一緒。2つ並べることで、離れ離れだったキャラクターが手を取り合う設計だ

そこで、ひねり出されたのが「キス」だった。「1年目は手を繋いでいたから、2年目はキスというのはどう?」きっかけは、誰かの冗談半分での発言だった

場所は、東京と大阪で多くの人が行き交う、JR東日本の山手線と大阪環状線の車両の「扉」だ。1編成をまるごとジャックし、男女がそれぞれ描かれた両開きの扉が閉まるたびにキスをする、というクリエーティブに仕立てた

第3弾は“おとぼけ”コラボとなったのだが、商品名からそのおとぼけははじまっている。「午後の紅茶」は「クリーム忘れた(笑)いちごティー」、「ポッキー」は「いちご忘れた(笑)クリーミーバニラ」。それぞれが材料を1つ忘れてしまったために、食べ合わせることで初めてショートケーキが生まれる、という商品構造にしたのだ

置く側にとってみれば、実は「定位置」を動かすことは難易度が高い。決められたフェイス数(陳列面積)の中で、別カテゴリの商品をねじ込むのだから。だから「自由区画」の方が制約なく陳列ができ、違和感の最大演出に繋がるのだ

PRバリューの最大化を考えるのであれば、情報発信日は金曜日以外の平日に設定すべきだ。夕方や翌日の情報番組に取り上げられる可能性がぐんと上がるからだ。土日の情報番組は1週間分のニュースからのピックアップになることが多いため、勝負がしづらい

ブランド視点での時期選定にも方法がある。例えば「ポッキー」には「ポッキー&プリッツの日(11月11日:スティックが並んでいる様より)」、「午後の紅茶」には「午後の紅茶の日(5月5日:ゴゴと55を掛けて)」があるように、ブランドのアニバーサリーに当ててニュースを作るのも、PRを取りやすくする一因である

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プロジェクトメンバーが試行錯誤しながら、画期的コラボアイデアに至る様子が書かれており、じつにワクワクしながら読みました。

通常、電通や博報堂が絡むこの手の大きな企画は、中小企業にはマネできないことが多いのですが、コラボなら中小企業でも実践可能です。

PRのポイントについても書かれており、新たな販促手法を求める中小企業経営者は、ぜひ読むことをおすすめします。

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『ブランドのコラボは何をもたらすか』
午後の紅茶×ポッキープロジェクト・編著 宣伝会議

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◆目次◆

はじめに
第1章 コラボのはじまり
第2章 第1弾「手を繋ぐコラボ」
第3章 第2弾「キスするコラボ」
第4章 第3弾「おとぼけコラボ」
対 談 チョコ部長×紅茶部長 スペシャル対談
第5章 コラボレーション・マーケティング論
おわりに

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