2018年2月21日

『深く考える力』田坂広志・著 vol.4963

【深い。】
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本日ご紹介する一冊は、『深く考える力』をテーマに、田坂広志氏が5つの技法と38のエッセイをまとめた一冊。

田坂氏は、日本総合研究所の設立に参画し、その後、多摩大学大学院教授、シンクタンク・ソフィアバンク代表を歴任、08年世界経済フォーラム(ダボス会議)GACメンバー、10年世界賢人会議ブダペストクラブ日本代表、11年内閣官房参与も務めた人物です。

田坂氏が書く思索モノは、毎回絶大な人気を誇りますが、今回も、現在の社会状況にあって、心に刺さる内容でした。

先日、ちらりと読んだ『リミットレス!』という本にも、もう一人の自分との対話の重要性が書かれていましたが、今はこういうことをしないと、賢明な意思決定ができない時代なのかもしれませんね。

われわれの葛藤や苦しみが自我(エゴ)から生じている、というお話も大変勉強になりました。

問いかけながら真理に迫っていく独特の文体に、相変わらずグイグイ引き込まれます。

さっそく、印象に残ったポイントを見て行きましょう。

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深く考える力とは、心の奥深くの自分と対話する力

あなたの中にいる「賢明なもう一人の自分」、その自分と対話すること。そのとき、その「もう一人の自分」が、我々の考えを深めてくれる。思考を深め、思索を深めてくれる

最も高度な「考える力」とは、そうした論理思考を超え、突如、新たな考えが閃く直観力のこと

もし我々が、この無意識の自己限定を取り払うことができるならば、何が起こるか。その瞬間に、我々の中から「賢明なもう一人の自分」が現れ、直観力や記憶力など、素晴らしい叡智を発揮してくれる。そして、「深く考える力」を発揮してくれる

「明確な技法」とは、何か。それは、次の二つの技法である。
第一は、徹底的なブレーンストーミングを行い、頭の中のアイデアを、一度、文章として表に出すことである。第二は、そのアイデアがすべてであるとは、決して思わないことである

むしろ、徹底的なブレーンストーミングを行うことの本当の意味は、頭の中から出すべきアイデアを出し切って、頭を空にすることにある。そして、この空の状態で、「これだけがすべてではない」と自分の心の奥深くに呼びかけるならば、しばしば、その心の奥深くから「賢明なもう一人の自分」が現れ、様々なアイデアを囁いてくれるだろう

「もう一人の自分」は、「問い」を忘れたとき、考え始める

「もう一人の自分」は、追い詰められたとき、動き出す

はたして、これまで優れたイノベーションを起こしてきた人材は、「イノベーションを起こす」ことを「目的」にしてきただろうか

もし、プロフェッショナルの高度な能力に「奥義」と呼ぶべきものがあるとすれば、それは、「技の使い方」ではなく、その技の奥にあるべき「心の置き所」に他ならない

いま自分が成し遂げようとしている仕事は、実は、自分が成し遂げようとしているのではない。大いなる何かが、自分という存在を通じて、世の中のために、成し遂げようとしている

古典と呼ばれるものには、この二つの種類の言葉、「理想的人間像」を語る言葉と、「具体的修行法」を語る言葉が書かれている

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最後に引用した部分は、書籍に携わる人間として、じつに参考になりました。

「原点回帰」という言葉がありますが、ビジネスパーソンにとってのそれは、おそらく本書に書かれている、以下のような思いでしょう。

「この商品で、世の中の多くの人を喜ばせたい」
「このサービスで、困っている人を助けたい」

最近の働き方の議論は、ともすると「仕事をAIに奪われる」という話になりがちですが、本来大事なのは、「社会の役に立つこと」です。

仕事の原点に立ち返らせてくれる、意義ある思索の書です。

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『深く考える力』田坂広志・著 PHP研究所

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◆目次◆

第一部 賢明なもう一人の自分
深く考える力とは、心の奥深くの自分と対話する力
第二部 深き思索、静かな気づき
文章を書くこと、読むことは、思索の階段を降りていくこと
第三部 言葉との邂逅
心に触れる言葉に巡り会ったとき、深い思索が始まる

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