2018年1月4日

『PRE-SUASION(プリ・スエージョン)影響力と説得のための革命的瞬間』 ロバート・チャルディーニ・著 安藤清志・監訳 曽根寛樹・訳 vol.4915

【当然「買い」です。】
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休み明けは、この一冊と決めていました。

以前、J-WAVEに出演した時、「これまでに読んだ最強の一冊は?」と聞かれ、堂々とご紹介した社会心理学の名著『影響力の武器』のロバート・チャルディーニによる、33年ぶりの単独書き下ろしです。

※参考:『影響力の武器』
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今回のテーマ、「PRE-SUASION(プリ・スエージョン)」とは、「説得=persuasion」の前の、下準備のこと。

じつはわれわれは、何かをするよう説得される以前に、「設定」にやられていることが多いのです。

著者の言葉を借りると、<最初に提示するものが、次に提示するものへの相手の受け止め方を変える>のです。

本書では、『影響力の武器』では語られていなかった、「注意から生まれる重要性」や「連想の役割」「説得の地理学」「まとまり」などのコンセプトが紹介されています。

今回もまた、われわれがいかに自分の意志以外のところで意思決定をさせられているか、その実際がよくわかるはずです。

・背景にふわふわした雲を置くだけでソファーに求める要素が快適さに変わる
・援助を要請し、申し出る謝礼の金額を増やすと、無料で頼みを聞いてくれる人が増える
・暴力的な映像を見せた後には、「毎年百万人以上が訪れている」のコピーが有効になる
・女子生徒が男子生徒と同じ教室で数学のテストを受けると点数が悪くなる

これらはすべて、「PRE-SUASION(プリ・スエージョン)」の結果、もたらされた現実なのです。

33年ぶりのチャルディーニワールドへようこそ。

決して後悔させない内容ですが、念のため、ポイントをつまみ食いしておきましょう。

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夕食に払ってもよいと思う金額は、店の名前が「スタジオ97」のほうが「スタジオ17」のときよりも高くなります

ワインショップを訪れた客は、ワインを選ぶ直前に店内でドイツ語の歌が流れていると、ドイツ産のヴィンテージワインを買う確率が高くなります

目標を連想させるきっかけがあらかじめ存在する場所に身を置けば、自分自身を望ましい方向へと向かわせることができます

第二グループの七五・六パーセントの人たちが、最初の質問によって冒険心があるという自分の一面へと意識づけられた後、用心すべき状況を無視して、愚かな選択肢に考えなしに飛びついた

たまたまその場で目立っているものに、過大な重要性を認める

それは、ただ、ふわふわした雲をウェブサイトのトップページの壁紙にしただけでした。この戦略が使われたサイトの訪問者たちに、ソファーに何を求めるかと尋ねると、快適さへの重要度が有意に高くなりました

雲ではなく硬貨が描かれた壁紙を表示しておいたのです。この壁紙を見た訪問者たちは価格の重要度をより高く評価し、サイト内検索でも主に価格に関する情報を調べ、購入したいソファーとして値段の張らないものを選びました

注目されるものが原因だと見なされる

ドレッド・リスクというものがあります。これは、見た目ほどの危険がない何かを、たまたまそれに注目したばかりに非常に恐ろしく感じてしまい、その害を避けようとして、かえってリスクの大きい行動をとってしまうこと

身の危険に注意が向いていると、人は群集に交じりたいと感じる

色恋の話に注意が向いていると、群集から離れたいと感じる

ある重要な結果を知らないままでいると、「人はそれ以外のことをほとんど考えられない」

深夜に流すとCMの効果が高くなるのです。長い一日の終わりには、視聴者にCMの示す感情的誘因(感じの良い司会者、熱狂的なスタジオ観覧者たち、どんどん減っていく商品の在庫数など)に抵抗するだけの、精神的エネルギーが残っていないのです

他人を好ましく思うのに最も効果的な関係性は、「おっ、あの人は自分たちと似ているぞ」といったものではありません。「おっ、あの人たちは自分たちの身内だ」という関係です

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いや、今回もすごい内容でした。

説得そのものではなく、説得を行う状況や設定に注意を向けると、意思決定の裏側にある意外な「真実」が見えてくる…。

マーケティングや広告はもちろんですが、冤罪や暴力、犯罪に関する重要な指摘もあり、ビジネスパーソンはもちろん、親や政策担当者にもぜひ読んでいただきたい内容です。

会社の内部で使う言葉の重要性にも触れられており、人事担当者も必読の内容だと思います。

まだ2018年が始まったばかりですが、はやくも大ヒット。
今年1、2を争う注目本となりそうです。

ぜひ読んでみてください!

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『PRE-SUASION(プリ・スエージョン)影響力と説得のための革命的瞬間』
ロバート・チャルディーニ・著 安藤清志・監訳 曽根寛樹・訳 誠信書房

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◆目次◆

PART1 下準備(プリ・スエージョン)──前もって注意を引くこと
第1章 下準備(プリ・スエージョン)──はじめに
第2章 特権的瞬間(モーメント)
第3章 注意から生まれる重要性が重要
第4章 注目した対象が原因となる
第5章 注意を操るもの──その1:誘因要素(アトラクター)
第6章 注意を操るもの──その2:磁力要素(マグネタイザー)
PART2 プロセス──連想の役割
第7章 連想の卓越性──我つながる、ゆえに我考える
第8章 説得の地理学──すべての正しい場所、すべての正しい痕跡
第9章 下準備(プリ・スエージョン)の仕組み──原因、制限、修正手段
PART3 最善の実践──下準備(プリ・スエージョン)の最適化
第10章 変化に至る六本の主要道路──賢い近道という広々とした大通り
第11章 まとまり──その1:一緒に存在すること
第12章 まとまり──その2:一緒に活動すること
第13章 倫理的な使用──下準備(プリ・スエージョン)の前に考慮すべきこと
第14章 説得の後(ポスト・スエージョン)──後に残る効果

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