2017年12月26日

『日本電産永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方』 田村賢司・著 vol.4906

【読み応えあり。】
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本日ご紹介する一冊は、今や世界一のモーターメーカーとなった日本電産の創業者、永守重信氏の言葉と経営論を、20年間氏を取材してきた経済記者がまとめたもの。

オビには、「門外不出の名言録を初公開!」と書いています。

永守氏といえば、その過激な経営論、精神論が知られていますが、じつはM&Aおよび企業再生の名手でもあります。

本書では、そんな永守氏の過激で読み応えある名言と、緻密な経営ノウハウを両方味わえるように工夫してあります。

各トピックの冒頭に「心を動かす言葉」を大きな文字で入れ、本文にはその言葉が生まれた背景やエピソードが来る。ベテラン記者の著者の補足により、経営ノウハウもカバーされる、といった感じです。

最初は、「単なる精神論か?」と思っていたら、徐々に経営ノウハウの色が濃くなり、最後は氏のM&A手法までが語られます。

経営の原理原則を押さえ、マネジメントおよび人心掌握のキモを押さえ、そしてどう行動するかを示唆してくれる、そんな内容です。

日本電産の3大経営手法である「井戸掘り経営」「家計簿経営」「千切り経営」、「社員心得7ヶ条」、「部下の人望を得る5つの条件」、「登用される社員の7条件」など、興味深いコンテンツが、びっしり詰まっています。

さっそく、気になった部分をチェックしてみましょう。

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「人の能力の差はせいぜい5倍まで。意識の差は100倍まで広がる」

「ちょっと、引き出しを開けて見せてくれ」。なんだろうと思いながら、数人がおずおずと開けてみると「やっぱりな」。どの引き出しの中にも、ボールペンやホッチキス、文書ファイル、ノートなどが多数入っていた。部署の棚も同様。永守はすぐに指示した。「机や棚にしまい込まれている文房具を1カ所に集めろ」。その結果、文書ファイルは3000枚、ボールペンは1000本以上、クリップも1000個以上…と文房具店が開けるほど出てきた

マイクロマネジメントこそ会社を強くする

「業績が悪い会社の一番の問題はコスト。だから『本来こうなるはずというコスト構造』から徹底的に教えないといけない」

「失敗は必ず解決策を一緒に連れてくる」

「部下の人望を得る5つの条件は『あきらめない』『悪口は言わない』『ごまかさない』『正論で追い込まない』『休まない』だ」

責任感であり、やる気であり、困難に対する突破力は、自らを「必要な人間」と信じることから始まる。管理職たるもの、その思いを部下に持たせるのは極めて大事な仕事になるはずだ

部下を課長に育てないと、君は永遠に課長のままだ

「いとも簡単にハンコを押す人が多い。ハンコを押すときは自分がどのような責任と義務を負うかを理解しておかなければならない」

「理想だけでは人は付いてこない。『この人に付いていけば飯が食える』という部分が必要だ」

「井戸掘り経営」:経営の改革・改善のためのアイデアをくみ上げ続ける
「家計簿経営」:収入に見合う生活をする
「千切り経営」:何か問題が起きたら、それを小さく切り刻め

買収価格にしても、永守はEV/EBITDA倍率で「最大10倍まで。実際は5、6倍か7、8倍程度で買うことが多い」

永守は常々「日本のM&Aは高値で買いすぎる」と言う。高く買うと、当てが外れると大きな減損を計上することになり、買い手の自社自身が痛むことになる。それでは逆効果である

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読者が経営者もしくは起業したいと思うビジネスパーソンなら、本書は間違いなく「買い」の一冊だと思います。

「人の能力の差はせいぜい5倍まで。意識の差は100倍まで広がる」

意識を上げたい方は、ぜひ読んでみてください。

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『日本電産永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方』
田村賢司・著 日経BP社

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◆目次◆

第1章 仕事と情熱
第2章 人と組織
第3章 教育と成長
第4章 上司と部下
第5章 経営者と志
第6章 変化と創造
第7章 永守と名経営者たちが共通して抱えるもの
日本電産、44年の軌跡 4人で始めた会社を世界一に

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