2017年6月16日

『幸福の「資本」論』橘玲・著 vol.4713

【橘玲が発見した、幸福の理論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478102481

本日ご紹介する一冊は、人気作家であり、名著『ゴミ投資家のための人生設計入門』の著者、橘玲が発見した、幸福の理論。

人間の幸福を、「3つの条件」とそれを支える「3つのインフラ」で見事に説明しており、「プロローグ」で著者が言う通り、<本書の提案にのっとって正しく人生を「設計」すれば、誰でも「幸福の条件」を手に入れることができる>でしょう。

著者によると、われわれが幸福になるための条件は以下の3つ。

(1)自由
(2)自己実現
(3)共同体=絆

この3つの幸福の条件は、以下の3つのインフラに支えられています。

(1)金融資産
(2)人的資本
(3)社会資本

著者は、この3つのインフラの性質を説明し、その過程でさまざまな学術理論を紹介することで、われわれにとって幸福とは何なのか、どうすれば幸福になれるのかを論じています。

年収800万円/金融資産1億円まではお金を追うことで幸福になれる、もっとも重要な「富の源泉」は人的資本である、クリエティブクラスの仕事にも「拡張可能な仕事」と「拡張不可能な仕事」がある、「生涯共働き」を超える最強の人生設計はない、「幸福」は社会資本からしか生まれない…。

相変わらず、本質を突いた議論であると同時に、物議を醸しそうな内容で、今の日本に生きることの問題がほぼこの一冊で説明されています。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

———————————————–

「日本が世界の頂点に立った」とされる1980年代は(私は20代で体験しましたが)、有名大学を卒業し、官僚になるか一流企業に就職する以外に社会的成功への道のない時代でした

人的資本とは自らの労働力を労働市場に「投資」して給与や報酬という「富」を得ることで、社会資本とはまわりのひとたちとの関係性から「富」を得ること

資本をひとつしか持っていないと、ちょっとしたきっかけで貧困や孤独に陥るリスクが高くなる

3つの資本=資産を同時に持つ「超充」になることはおそらく不可能です。──その理由はお金と共同体の道徳が対立するから

せっかく就職したのに結婚や出産を機に専業主婦になることがいかに経済的に荒唐無稽な選択かがわかります。生涯収入で3億円の人的資本を捨て、当たるはずのない宝くじを買うようでは、なにをしているのかまったくわかりません

お金は幸福になるもっとも確実な方法だ

お金のことを考えすぎると不幸になる

マイナス金利の世界では、賢いひとは利潤を最大化するために金融資本よりも人的資本を有効活用する、すなわち「働く」のです

バザール空間でのデフォルトのゲームは、「できるだけ目立って、たくさんのよい評判を得ること」になります。これがポジティブゲームです。それに対して伽藍は閉鎖系で、いったん押し付けられた悪評はずっと付いて回ります。このゲームの典型が学校でのいじめで、いったん標的にされると卒業までいじめつづけられるのですから、「できるだけ目立たず、匿名性の鎧を身にまとって悪評を避けること」が生き延びる最適戦略になります。これがネガティブゲームです

老後とは「人的資本をすべて失った状態」のこと

「生涯現役」なら老後問題そのものがなくなってしまいます

AIなど高度なテクノロジーが次々と開発される近未来には、都市の若いエリート層を中心に、ベタな共同体のなかで幸福を追い求めるのではなく、「喜びを失うことで悲しまなくてもいい生き方」が“進化論的幸福論”として広く受け入れられていくかもしれません

———————————————–

個人的に最も刺さったのは、<「喜びを失うことで悲しまなくてもいい生き方」が“進化論的幸福論”として広く受け入れられていくかもしれません>と喝破した部分。

また、フリーエージェントになることで人生の問題の大半が解決できるとして、BOBOS(ブルジョアとボヘミアンを組み合わせた造語)という生き方も紹介しています。

従来型の幸福論と、進化系の幸福論を激突させた、じつに知的な議論。

これはもう、読むしかないでしょう。

———————————————–

『幸福の「資本」論』橘玲・著 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478102481/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B072FNR1DS/

<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2svvYKw

———————————————–

◆目次◆

Part0 「お金持ち」と「貧乏人」の三位一体幸福論
Part1 自由のための金融資産
Part2 自己実現のための人的資本
Part3 幸福のための社会資本

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー