2017年5月20日

『自分の中に孤独を抱け』岡本太郎・著 vol.4686

【『自分の中に毒を持て』シリーズ最終章】
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昨日、訪れた「3331 Art Fair」の特別講演で、東京画廊の山本豊津さんが、こんなことをおっしゃっていました。

「価値とは長く継続することで、価格とは時間で価値を切ること」

アートを前提にお話されたのだと思いますが、この言葉にはロングセラーとベストセラーの違いが込められている気がしました。

われわれの多くは、「価格」に注目しすぎるあまり、短期間しか「価値」が継続しない「まがい物」を掴まされてしまう。

作り手としても、「価格」(今の評価)に注目しすぎると、長く売れるものが作れない、ということです。

では、価値あるもの、長く続くものを作るにはどうしたらいいのか。

その精神を教えてくれるのが、本日ご紹介する岡本太郎さんの『自分の中に孤独を抱け』です。

<人間は、孤独になればなるほど人間全体の運命を考えるし、人間の運命を考えた途端に孤独になる>
<憎まれて結構、好かれて結構。そもそも、好かれるより悪口を言われたほうが世の中は動くんだよ>
<生まれてきた、自分が生きているこの社会のなかでノーを突きつけること>
<信念のためには、たとえ敗れるとわかっていてもあえて行う、己れをつらぬくという精神の高貴さがなくて、なにが人間か>

そう、長く価値あるものを作ろうと思うなら、おもねるのではなく、闘わなければいけないのです。

闘うための武器となる言葉、さっそく本書の中からチェックしてみましょう。

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人間は、孤独になればなるほど人間全体の運命を考えるし、人間の運命を考えた途端に孤独になる。だから人間一人ひとりが孤独でなければいけない。それが人間の矛盾律だ

孤独とは、しょんぼりしたり、がっかりしたり、自分の身を引くことじゃない。“ぜんぶ”の上に覆いかぶさり、みんなの運命、全人類の運命を背負い込む。それがほんとうの孤独だ。世界即己れ。そう考えて、人間全体の運命を背負い込もうと決意する。それが十余年のパリ生活の終わりにぼくが到達した結論だ

ふりかかってくる災いは、あたかも恋人を抱き入れるように受け入れる。それが人間のノーブレス(高貴さ)だ。逃げない。はればれと立ちむかう。それがぼくのモットーだ

たまたま岡本太郎という人間がそこに居るから、それをうまく使いこなして、この世界で思いきり遊んでやろうと思ったんだ

未熟を決意するのは、すばらしいことなんだよ。空を翔ぶ鳥を見て、自分は鳥のように自由に空を翔べないと思う。花盛りの樹を見ても、自分はあの花のようにはまだひらいていないと思う。そこから新たなファイトがわき起こってくる

未知に賭けることをやめた途端、青春は失われる

自分の立場や信念を純粋につらぬきとおし、独自の仕事を創造的に進めていこうとすれば、とうぜん大きな無理解にぶつかる。右から叩かれ、左からこづかれ、うしろから突きとばされる。多くの作家はそういう抵抗に耐えかねて、無難な仕事のほうに逃げてしまう。だれにも肌ざわりがいいように、手ぎわよく作品をまとめ、ひたすらまるく──。そういう作品は本質的な矛盾をはらんでいないから、退屈でやりきれない

極端な言い方をしよう。褒められるどころか、むしろ逆に向こうがヘコタレ、困惑するような現代日本を突きつけ、押し出すべきだ。もしわれわれにそういうヴァイタリティが無いなら、文化も芸術もへったくれもない

政治──経済──芸術
この三つがこれからの社会に必要な三権分立であり、人間存在、人間社会における三権分立だ

けっきょく人間は、自分の生命から溢れ出る本然のよろこびがなければ満足できないんだよ

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若い頃は、人の心を知り、人の心にヒットするものばかりを作ってきましたが、これからは社会にとって価値あるものを創って行きたいと思っています。

「人生即闘い」

この闘いに勝つために必要な心構えが、すべて詰まった一冊です。

喜びがあふれ出るような生き方をしたい人に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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『自分の中に孤独を抱け』岡本太郎・著 青春出版社

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◆目次◆

第一章 人生のドラマは、いつだって自分が中心だ
第二章 「挑み」をやめた瞬間から老人になる
第三章 人生は不純なものとの闘いだ
第四章 人間は樹に登りそこなった
第五章 創造すること、それは人間の本能的な衝動だ
第六章 ぼくは抵抗する。その決意はますます固い

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