2017年5月2日

『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』武藤北斗・著 vol.4668

【目からウロコ】
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本日ご紹介する一冊は、スタッフの出勤日時が決まっていない、好きな仕事を優先させ、嫌いなことはやらせない、という非常識な取り組みで注目されている、小さなエビ工場の話。

著者は、パプアニューギニア海産工場長の武藤北斗さんで、同社のユニークな取り組みは、既にテレビ朝日「報道ステーション」「羽鳥慎一 モーニングショー」などで取り上げられ、局所的に話題となっています。

エリエスのオフィスも、フリーで働いている方が二人、これから雇う子育て中の女性が一人と、かなり多様な働き方になりつつありますが、人手不足が取り沙汰される今日、「自由な働き方」への関心は高まる一方です。

その点、「パプアニューギニア海産」のしくみはすごい。

朝礼も点呼もない、当日欠勤、遅刻、早退、残業という概念もない。結果、居心地が良くて人が辞めないから求人広告の必要がなく、ベテランが仕事をするから品質が上がる。生産性が上がるので人件費も40%削減される…。いいことずくめです。

本当にそんな働き方が成り立つのか? 疑問に思う方もいると思いますが、確かにこれが成り立っているのです。

本書を読めば、「人を縛らない働き方」がいかに素晴らしいか、なぜ生産性が上がるのか、その本質がよく理解できると思います。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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僕たちの会社は社員二名、パート従業員九名の小さなエビ工場です。エビフライなどを作り、全国のスーパーやレストランに販売しています。働いているパート従業員は子育て真っ最中のママさんで、全員が好きな日、好きな時間に出勤します。そして好きな時間に退勤します。ですから当日欠勤、遅刻、早退、残業といった概念すらありません

人が人を管理しようとすると、ちょっとした行き違いでも気力を失ってしまう

はじめに取り入れたのが「フリースケジュール」という制度です

嫌いな作業はやらなくてよい

出勤日時が決まっている場合、会社側としては、決められた日時に従業員が「来て当たり前」という意識がどうしても生まれてきます。しかし、それは本当に当たり前なのでしょうか

小さな子どもがいつ熱を出すか、いつ怪我をするか、そんなことは誰にも予測できません。それは自分自身の子どもを見ていて、身に染みて感じていたことでした。そんなとき、会社に気兼ねせずに心置きなく休むことができたら、どれほどいいだろうと考えたのです

みんなに三つのことへの協力をお願いしました。
それはとても単純なことです。
「従業員同士の悪口を言わない」
「挨拶を大きな声でする」
「時間を守る」

出勤したその日のお互いの体調が分かるように、工場の入り口にはホワイトボードが置いてあり、体調がよい人は◯の欄に、悪い人は×の欄に自分の名前が書いたマグネットを置いてもらう

有給休暇の事前申請は不要

忘年会はやらない

果たして、従業員のことを親身になって考えてくれる会社に対して、あえて会社の不利益になるようなことをする人がいるでしょうか

工場の中で働いている人が「こんな素晴らしい商品を作っているんだ」と自分が作っているものを、自分の友達や家族に、自信を持って話せるということが、仕事を続けていくうえで必要なこと

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いわゆる性善説に基づくマネジメント論ですが、著者の会社のように、パート中心の構成なら、上手くいく制度のような気がします。

職場や仕事内容によっても若干違うかもしれませんが、どうすればスタッフが気持ち良く働けるか、縛らずに生産性を上げるにはどうしたらいいのか、考える良いきっかけになると思います。

子育て、介護、ダブルワーク…。

さまざまな理由で働き方が多様化する時代ですが、本書は、そんな時代のマネジメントのヒントにあふれた一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』武藤北斗・著 イースト・プレス

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◆目次◆

第一章 人を縛らない職場は何を生んだか
第二章 僕らを突き動かしたもの
第三章 人を縛らない職場ができるまで
第四章 エビと世界の意外な関係
第五章 『生きる職場』の作り方

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