2017年3月4日

『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』 中村禎・著 vol.4609

【超人気講師、語る】
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かつて、マーケティングの世界では、「良いコピーを書けば売れる」時代がありました。

時代が変わり、今はそこに真実が伴っていないと売れない。いや、SNS時代になって、誰かは真実を知ってしまうから、下手すると言葉が下手でも真実が伴っていれば売れる時代になりました。

とはいえ、今でも「良い商品」「良いサービス」が、伝え方が下手なために消えて行くという現実はなくなっていない。

やはり経営者・マーケターは「言葉」を学ぶべきなのです。

ということで、本日ご紹介する一冊は、開講60周年を迎える「宣伝会議コピーライター養成講座」専門コースの人気講師が教える、良いコピーを書くための思考法。

著者の中村禎(なかむら・ただし)さんは、サン・アドであの仲畑貴志さんから薫陶を受け、その後電通を経て独立した人物。

ともすると書く側は、自己欺瞞、自己陶酔に陥ってしまいがちですが、本書では、それを戒めるための考え方が説かれています。

オグルヴィやケープルズのような数値を用いた検証がないのが残念ですが、書き手の戒めとして、一読の価値があると思います。

さっそく、内容をチェックして行きましょう。

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「広告コピーを書く」という作業には、言葉を「出す」ことと「選ぶ」ことの二つの仕事がある

「いいコピーを書いているコピーライター」は実は、「いいコピーが選べるコピーライター」

「一番搾り麦汁だけでつくったのでうまいことはわかっていました」とキリンという企業が言うわけです。それに対して消費者代表の緒形拳さんはフムフムと聞いている。で、こう言うのです。「ま、飲んでから、決める」と。この広告主は、「本当にうまいので、飲んでください」と言いたい。でも、そのままストレートに広告しても消費者の心は動かない。だから、出演している有名人に都合のいいことを言ってもらうのではなく、お客さん第1号として出演してもらい、消費者の代表として発言してもらったらどうか、と考えたわけです。この言葉はお茶の間に届きました。「私も飲んでから決めよう」と思ってもらえて、商品を気に入ってもらえて、一番搾りは大ヒットしました

広告コピーは「商品を売るため」のもの、とざっくりとらえて書くのではなく、その商品の価格、その商品の使用頻度などを考えて、買うという行動の、何歩か手前にフォーカスを絞ってみるのです

地図を見ながら歩いている人は、早く目的地に着いて安心したいはずです。だから、余計な文章を読ませることはムダであり、迷惑でさえあります

一つ、メモした言葉をご紹介します。作詞家の阿久悠さんの言葉。阿久悠さんにはご自分でつくった「作詞憲法15条」というのがあるそうです。その中の一つ「ヒット曲とは?」という項目。
「歌は時代とのキャッチボール。その時代の中の隠れた飢餓に命中することがヒットではなかろうか」

広告コピーを学ぶには、人の気持ちを想像する力が不可欠

いい質問を思いつくことも、コピーライターにとって必要な能力

「どう思われるか、調査しなければわからないような製品なんかつくるな」(本田宗一郎)

◆「タクシー」→「不満」でどんなことが思い浮かぶか
「乗る距離が近いと“チェッ”と言われた」
「買い物で荷物がある時、トランクを開けてもらうと長靴や雑巾などの洗車道具がいっぱい入っている時あるなぁ。あれ、嫌だなぁ」

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仕事がら、良い言葉はそうでない言葉の少なくとも10倍反響があることを知っていますが、本書ではそんな言葉をどうひねり出すか、著者の体験に基づく方法論が示されています。

眞木準さんが「きょ年の服じゃ恋もできない。」を思いついたのは、いつも黒い服を着ていたからじゃないか、という著者の推測が、じつに愉快でした。

大ヒットを生み出した言葉のほとんどは、地道な対話や試行錯誤から生まれてくるもの。

本書は、その真実を伝えてくれる、じつに誠実な一冊です。

ぜひチェックしてみてください。

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『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』
中村禎・著 宣伝会議

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◆目次◆

第1章 広告コピーってなんでしょう?
第2章 広告コピーを学ぶということは?
第3章 さあコピーを書くぞ、の前に
第4章 コピーを書く時の話
第5章 コピーを書いた後の話
第6章 思い至ること
第7章 これからのコピーライターへ

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