2017年3月26日

『幸福の哲学』岸見一郎・著 vol.4631

【『嫌われる勇気』著者のもう一つの幸福論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062884062

本日ご紹介する一冊は、ミリオンセラー『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎さんが幸福論を語ったもう一冊の本。

『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』は、フィクションですが、本書は著者自身の体験も織り交ぜた、リアルな人生論、幸福論です。

※参考:『嫌われる勇気』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478025819/

※参考:『幸せになる勇気』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478066116/

サブタイトルに、「アドラー×古代ギリシアの智恵」とあることからもわかるように、アドラー心理学とギリシア哲学の知見も織り交ぜながら、幸せとは何か、われわれはどうすれば幸せになれるのか、丁寧に、深く論じられています。

成功と幸福の本質的な違いや、幸福と幸福の条件とは違うことなど、現代人が陥りがちな罠を指摘し、読者を本質的な幸福へと導きます。

著者自身のキャリアを拓いた出会いや、家庭生活の話など、リアルな話がいくつも登場し、悩める若者には身近なこととしてこの「幸福」というテーマを考えられるのではないでしょうか。

さっそく、気になったポイントをチェックしてみましょう。

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アドラーは原因論ではなく目的論に依っている。プラトンも生きることの目的として幸福を据え、幸福の可能性を、魂のあり方に結びつけて目的論的に論じている

プラトンは、知が魂を導くことによって幸福になることができるので、何が善なのかを知ることが、幸福になるためには必須であると考えた

人間は、対人関係の中でしか生きる喜びも幸福も感じることはできない

人は幸福に<なる>のではなく、もともと幸福で<ある>のだ

苦しみこそ幸福の糧であると思える生き方はできる

人生の意味は、あなたが自分自身に与えるもの

知者とは自分が何ごとかを知っていると思っている者のことである。一方、愛知者は、自分が無知であることを知っているからこそ、止むことなく知を探求する。常識を疑わないということは、愛知としての哲学からは程遠い態度である。既存の価値を無批判に受け入れることなく、疑い、批判することが古来、哲学の営みだった。幸福についても粘り強く考えなければならない

何も達成していなくても、何も所有していなくても、成功しなくても、人は幸福になることができる

成功が一般的であるとすれば、幸福は個別的である

アドラーは、次のようにいっている。
「大切なことは何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかである」(『人はなぜ神経症になるのか』)

一時的に親子の間に軋轢が生じることになったとしても、最終的にあなたが幸福になれば、それが究極の親孝行

親といえども子どもの人生に責任を取ることはできない

自分が生きていることが他者にとって喜びであり、何か特別なことをしていなくても、他者のフロントを満たすことができる

他者が私のために存在しているわけではないことは、誰かを愛する時に知ることになる

自分だけが生きているのではないことを意識し始めた人は、人生の主語を「私」から「私たち」に変える

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「幸福は個別的」と言っておきながら、著者の幸福観を押しつけられている感じがありますが、「幸福」について考える良いきっかけとなるのは間違いないでしょう。

なかでも、以下の一文は刺さりました。

<幸運に依存した幸福はすぐに失われる。そして、失われるような幸福は、そもそも最初から幸福ではない>

哲学者たちの幸福論に触れ、自分自身の生き方を考えられる内容。

高校生や大学生に読ませれば、哲学を学ぶことの意義が良くわかるのではないでしょうか。

ぜひ、チェックしてみてください。

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『幸福の哲学』岸見一郎・著 講談社

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http://bit.ly/2nSMRNk

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◆目次◆

はじめに
第一章 幸福とは何か
第二章 なぜ幸福になれないのか
第三章 人間の尊厳
第四章 他者とのつながり
第五章 幸福への道
第六章 人生をどう生きるか

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