【結婚を金融商品として見ると?】
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村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』が売れていますね。
※参考:『騎士団長殺し』
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以前、村上春樹さんも滞在したというギリシャのスペツェス島で、「ブブリーナ博物館」を訪ねたことがあります。
ここは、ギリシャ独立戦争で大活躍した女傑、ラスカリーナ・ブブリーナを記念した博物館。
彼女は一時期、ギリシャの通貨にもなったほどの有名人です。
なぜブブリーナはそんなに有名になったのかというと、当時、地中海で最強と言われた船「アガメムノン」を持っていたから。
途方もない金額を費やして作った船ですが、なぜ彼女にそんなにお金があったのかというと、じつは2人の富豪と結婚し、2回連続で夫に先立たれたため、その度に財産が膨れ上がっていたのです。
昔から結婚は、金銭的豊かさに甚大な影響を及ぼすものですが、その仕組みをきちんと理解している人は、あまり多くありません。
本日ご紹介する一冊は、人気ブログ「金融日記」の管理人であり、元外資系金融機関勤務の藤沢数希さんが、結婚を金融商品としてとらえ、その仕組みを明らかにした一冊。
伝統的な価値観を持つ方には、まったくもって不謹慎な一冊ですが、その本質を突いた議論は、一読の価値があります。
結婚とはどういう契約で、誰が得して誰が損をするのか。結婚で気をつけなければ行けないのはどんなことか、なぜ今、少子化が起こっているのか、女性の社会進出に伴ってどんな問題が起こるのか…。
気になる論点、さっそくチェックしてみたいと思います。
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結婚と離婚で動く金は、基本的には、慰謝料、財産分与、婚姻費用
(あとで説明するが「コンピ」と呼ばれる)の3つである
離婚で支払われる金の大部分は、じつは所得で決まる婚姻費用と財産分与がほとんどなので、どちらが浮気したとか暴力をふるったとか、そういうことは関係ないのである
重要なことは、結婚前に持っていた金は関係ないということだ。つまり、一財産作って、引退間近でそろそろ身を固めようかと思っているスポーツ選手と結婚しても、そのあとに稼がないと財産が減っていくので、妻が受け取る財産分与はゼロになるのだ
結婚という金融商品は、毎月、婚姻費用というクーポンが貰えて、離婚成立時(満期)には財産の半分が手に入る債券そのものなのだ。この言わば「結婚債券」の価値は次の式から計算できる。結婚債券の価値=離婚成立までの婚姻費用の総額+離婚時の財産分与額+慰謝料
裁判官の出世で何が大事かということを考えることは、裁判というゲームの仕組みを理解するために極めて重要だろう。それは第一に事件の処理件数である。そして処理というのには、当然、和解も含まれている
じつは、弁護士のほうも、早く和解して欲しいのである。弁護士の報酬は、着手金と成功報酬
理論上は結婚後に資産が増えていなくて、夫より妻の所得が多ければ、どんな金持ちの男でも一銭も払わず、いやむしろ妻から金をもらって妻と別れることができるのだ
結婚制度でも税金でも、日本は自分で稼いでいる人に厳しいのだが、親から引き継いだりして、ストックで金を持っている人は、所得税も払わなくてもいいし、離婚しても金を取られないのだ
起業家の立場から見たら、結婚するのは成功するまで待つことだ
やむにやまれず結婚するならボーナス支給後
離婚することを決意したらすぐに別居
要するに結婚制度とは、男性の下から6~7割程度のための法制度
女性の多数派にとってじつは不利益な制度なのだ。だとしたら、女性の社会進出が進み、政治の場で女性の力が増すほど結婚制度は形骸化し、婚外子が増えるはずである
理論的には母系制社会のほうが幸福
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<スポーツ選手もボンボンも美味しくない>というのは、これから結婚する女性にとって、良いアドバイスですね(笑)。
著者が指摘しているように、現在の日本の結婚制度には、明らかに時代遅れなところがあるようです。
政治に携わる皆様におかれましては、付け焼刃的な政策を考える前に、以下の主張、きちんと読んで理解しておくことをおすすめします。
<現在の日本の結婚制度というのは、金持ちの男性と結婚できたほんの一握りの女性だけが限りある利益を独り占めする構造になっている。いったん結婚したら、その既得権益は法律で守られるからだ。そして、そうした男性と結婚できなかった女性は、未婚を貫き、生涯子供を産まない、という選択に追い込まれる。これこそが少子化問題の本質だと筆者は考えている>
日本の古い制度が、少子化はおろか少ない起業の原因にもなっている、というのが本書を読むとよくわかります。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『損する結婚 儲かる離婚』藤沢数希・著 新潮社
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◆目次◆
第1章 金融商品の取引としての結婚
第2章 離婚裁判の実際
第3章 有名人の結婚と離婚に関するケーススタディ
第4章 結婚相手の選び方は株式投資と同じ
第5章 時代遅れの法律と社会規範
第6章 古くて新しい家族のあり方を考える
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