2017年2月11日

『リーダーに絶対役立つ韓非子』守屋洋・著 vol.4588

【韓非子で学ぶリーダーの心構え鹿】
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本日の一冊は、秦の始皇帝、諸葛孔明も信奉したという、『韓非子』のエッセンスを、中国古典に詳しい著者が、リーダー向けに解説した新書。

君主とその参謀のやり取りがわかりやすい現代語で示されているのみならず、そこに著者が丁寧な解説を付しています。

なかでも注目したいのは、<トップが身につけるべき七つの「術」><トップが警戒すべき六つの「微」><トップが身を滅ぼす10の過ち>といったコンテンツ。(字数の都合で、<トップが身を滅ぼす10の過ち>は、赤ペンチェックから除きました。詳しくは本書でご確認ください)

実際にかつての君主たちがどのような行動を取り、どのような悲惨な結果に至ったのかが書かれているため、リーダーとして身が引き締まる思いがします。

部下をどのように処遇するか、どのように権限委譲するか、対外関係をどうするかのルールが書かれており、大変勉強になりました。

『韓非子』の認識によると、人間を動かしている動機は、愛情でもない、思いやりでもない、義理人情でもない、「利益」である。

この人間不信の哲学を知っているのと知らないのとでは、マネジメントに大きな違いが出てくるというわけです。

さっそく、ポイントをご紹介しましょう。

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◆トップが身につけるべき七つの「術」
1.部下の言い分を互いに照合して事実を確かめること
2.法を犯した者は必ず罰して威信を確立すること
3.功績を立てた者には必ず賞を与えて、やる気を起こさせること
4.部下のことばに注意し、発言に責任を持たせること
5.わざと疑わしい命令を出し、思いもよらぬことをたずねてみること
6.知っているのに知らないぶりをしてたずねてみること
7.白を黒と言い、ないことをあったことにして相手を試してみること

鰻は蛇に似ているし、蚕は芋虫に似ている。だれでも、蛇を見れば飛びあがり、芋虫を見ればゾッとする。だが、女性は蚕を手でつまみ、漁師は鰻を手で握る。利益があるとなれば、だれでも、こわさを忘れて勇者に変身するのだ

韓の昭候が言った。
「大勢の者に合奏させたのでは、だれがうまいのかわからん」
田厳が答えた。
「一人ひとり、吹かせてみればわかりますよ」

◆トップが警戒すべき六つの「微」
1.権限を部下に貸し与えること
2.部下が外部の力を借りること
3.部下がトリックを使うこと
4.部下が利害の対立につけこむこと
5.内部に勢力争いが起こること
6,敵の謀略に乗せられること

部下が手を組むとトップは危ない

外国の力を借りて自分を有利にする

「立派な人物が国を治めるときは、倉を満たさずに人民の懐を満たす、城郭はかまわずに人民の教化につとめる、といわれています」(張孟談)

「すばらしい才能に恵まれても、それを鼻にかけなければ、どこへ行っても後ろ指をさされることはない」(楊子)

斉の桓公が宰相の管仲にたずねた。「富には限界があるのか」「水の限界は水のなくなるところ、富の限界は、それに満足するところにあります。しかし人間は、満足するところを知らず、ついには身を滅ぼしてしまいます。あるいはこれが限界かもしれません」

簡子は、うつむいて笑いながら、こう語った。「みかんやゆずを育てれば、食べておいしいし、香りもよい。からたちやいばらを育てれば、トゲをつけて人を刺す。君子は、育てる相手を選ばなければならんな」

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優しいだけのリーダーはやがて国を滅ぼし、部下に滅ぼされる。

信賞必罰を守り、あくまで人は利益のために動いているという事実を冷徹に見つめる。それでいて私利私欲に走らず、人民に与える。

リーダーとして身につけなければならない絶妙なバランス感覚を教えてくれる一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『リーダーに絶対役立つ韓非子』守屋洋・著 PHP研究所

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◆目次◆

第1章 リーダー学の要諦
第2章 部下を操縦する7つの心得
第3章 組織管理の6つのポイント
第4章 トップが自滅する10の原因
第5章 仕える側の論理
第6章 現実を生きる人間学

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