2017年1月18日

『経済がわかる論点50 2017』みずほ総合研究所・著 vol.4564

【どうなる?2017年の日本経済】
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本日ご紹介する一冊は、毎年年末に出されている、シンクタンクの経済予測モノ。

『経済がわかる論点50 2017』は、みずほ総合研究所が経済の論点を50にまとめ、それぞれ懸念事項、特筆すべき事項を述べた論考です。

冒頭・第I部でチーフエコノミスト高田創さんが全体を概観し、第II部で詳細を論じていく、といった内容です。

構成は、以下の通り。

<第II部 2017年の経済がわかる50の論点>
第1章 日本経済がわかる10の論点
第2章 海外経済がわかる10の論点
第3章 金融・マーケットがわかる10の論点
第4章 制度・政策がわかる10の論点
第5章 ビジネス・社会がわかる10の論点

既にドナルド・トランプ大統領の誕生を受けて、事態が動き出している部分もありますが、世界経済の大きな構造要因を理解する上で、役に立つ内容だと思います。

投資家、経営者にとっては、インフラの運営権を民間に付与する「コンセッション方式」の話や、インフラの海外輸出、原油相場の構造的要因、ロシア経済の景気底打ちの兆候などが、気になるところでしょう。

もちろん、不動産市場の動向、アジア経済のトピックスなども網羅されています。

さっそく、気になった部分をチェックしてみましょう。

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これまでの収益改善には、3つのメリットが大きく寄与していた。それは、(1)円安の進展、(2)インバウンド消費の盛り上がり、(3)原油価格の低下である。しかし、これらのメリットが剥落することによって、これまで続いてきた収益改善の動きが停滞

日本企業の海外売上高比率は、リーマン・ショック前後の2008、09年度を除いてほぼ一貫して上昇傾向

アベノミクス以降のおよそ4年間で雇用者が最も増加した宿泊・飲食サービス業では、パート比率の上昇に加え、主婦層を中心とするパート労働者の就業調整が賃金を押し下げている

家計調査から試算すると、高齢・無職世帯の消費支出は全体の30%程度

駆け込みによる押し上げ分が徐々に剥落するため、2017年の住宅着工は徐々に弱含む見通し

貸家着工増加の主な要因は、2013年度税制改正に盛り込まれた相続税法の改正(2015年1月施行)である。これにより基礎控除額が4割も縮小したため、節税対策として貸家建築需要が高まったと考えられる。実際、貸家着工は2016年6月まで前年同月比で8カ月連続の増加となった

今後のインバウンド消費の底上げには、サービス消費の換起が重要

EU懐疑政党の勢いは、今後も強まることが予想される。2017年は3月にオランダで議会選挙、フランスで4~6月に大統領・議会選挙、ドイツで8~10月に議会選挙が予定される。イタリアでも議会選挙が前倒し実施される可能性がある

2016年4月、ロシアのヤマルLNG(ヤマル液化天然ガス・プロジェクトの事業会社で、ロシアのノヴァテク、フランスのトタル、中国のCNPCおよびシルクロード基金が共同出資)が、中国輸出入銀行と中国開発銀行との間で総額120億ドルの融資契約に調印した

中国株
アップサイドリスクは金融緩和と国際株価指標への中国株組み入れ

シェールオイルの採算コストの低下は、世界経済の成長鈍化や省エネの進展とともに原油安の長期化要因となり得る

コンセッション方式
空港以外では、安定的な収益を期待できる有料道路や上下水道がコンセッション方式になじむインフラとされ、具体的な案件も現れている。2016年8月には愛知県道路公社が、準大手のゼネコンを代表とする企業連合との間で、知多半島道路等8路線の運営権を売却する契約を結んだ

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インフラの運営権を民間に付与する「コンセッション方式」は、今後わが国の生産性に関わる部分であると同時に、どこが受託するのかに要注目。

受託した企業の株価の上昇要因につながると思われます。

また、今後の原油相場を見る上で、原油相場の構造的要因(シェールオイルの採算コストが低下してきている)、ロシア経済の景気底打ちの兆候は、見逃せません。

最新のニュースと併せながら、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『経済がわかる論点50 2017』みずほ総合研究所・著 東洋経済新報社

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◆目次◆

第I部 チーフエコノミスト高田創の視点
2016年は想定外ばかり、2020年を視野に戦略転換を
第II部 2017年の経済がわかる50の論点
第1章 日本経済がわかる10の論点
第2章 海外経済がわかる10の論点
第3章 金融・マーケットがわかる10の論点
第4章 制度・政策がわかる10の論点
第5章 ビジネス・社会がわかる10の論点

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