2017年1月30日

『あなたの人生の意味』デイヴィッド・ブルックス・著 vol.4576

【ビル・ゲイツ絶賛の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152096667

今日は、早朝から日帰りで伊勢神宮参拝に出掛けてきました。

みなさんご存知の通り、伊勢神宮では国民が豊かに生きられるよう、日々さまざまな祭り(祈り)が行われています。

教育事業を手掛けようと決めてから、全体のため、国のためを意識するようになっているのですが、そんな時、偶然にも手に取ったのが本日ご紹介する一冊。

『あなたの人生の意味』は、ニューヨーク・タイムズの名コラムニスト、デイヴィッド・ブルックスが、10人の模範的生き方をした人物を紹介し、全体のため、謙虚に生きることの意義を訴えた一冊です。

ビル・ゲイツが年間ベストブックに選定したというオビの文句に惹かれて読んだのですが、これは確かに「今、読むべき一冊」です。

著者のブルックスは、人間の美徳には「履歴書向きの美徳」と「追悼文向きの美徳」があるとし、それをジョセフ・ソロヴェイチックというラビ(ユダヤ教の指導者)の言葉を用いながら、「アダムI」「アダムII」に分類して説明しています。

ブルックスによると、<アダムIは世界を征服したがるが、アダムIIは世界に奉仕する使命を果たそうとする>。

また、<アダムIは常に前進しようとするが、アダムIIは自分の原点へと帰りたがる>。<アダムIの成功、つまり職業的な成功のためには、自分の強みを育てるのがよい。アダムIIの成功つまり道徳的な成功のためには、自分の弱みと対峙することが不可欠だ>としています。

本書を読むと、社会に蔓延している閉塞感、空虚感は、この<道徳的な成功>という意識の欠如によるものなのではないかと思わされます。

なぜ金銭的な成功を収めても満足できないのか、たっぷり愛情を注がれているはずの子どもが満たされないのか、その理由がはっきりわかった気がします。

500ページ近い大著ですが、まったく飽きることなく読み進めることができました。

まだ1月だというのに、素晴らしい本に出合えて嬉しく思っています。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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何かを得ようとすれば、まず何かを与えなくてはいけない。内面の強さを手に入れるために、自分の外にある何かをあきらめなくてはならない。本当に欲しいと願うものを手にするため、自分の欲望に打ち克たねばならない

人間は謙虚になると、自分がいかに優れているかを証明する必要から解放される

真に謙虚な人は道徳に関して現実主義者である。自分というものの現実の姿をよく知っている。自分は「曲がった材木」で作った家のようなものだと知っている

行動をするのは、周囲の人を喜ばせるためでも、他人に褒められるためでもない。自分にとって大事と思えるものを手に入れるためだ。このように考える人にとって、人生は事業のようなものになる

自分の属する世界には何が欠けているのか。何があれば完全になるのか。修復のために何が必要で、何をしなくてはならないか

パーキンズは祖母から、「誰かがドアを開けてくれた時は、躊躇せずに中へ入りなさい」と教えられて育った。彼女は、労働長官への指名を受け入れると決め、閣僚になるからには、任期中はルーズベルトと闘ってでも正しいと思うことをしようと決意した。まずは、長官就任にあたっての条件を大統領につきつけた。自分が労働長官になるのなら、広範囲の社会保険政策を実行して欲しいと訴えたのだ

その人のためではなく、神のためだと思っていれば、相手の態度によってくじけることはなくなる。天職を持つ人は、たとえ絶えず称賛されていなくても、十分な報酬がなかったとしても、それでつまずくことはない

天職に取り組む人は、仕事によって得られるもののために働いているわけではなく、仕事が本質的に「良いこと」だから取り組んでいるのである

罪は人間の心にとって欠かすことのできない部品である。罪というものがあればこそ、道徳が人生において大事な要素になる

道徳的な失敗があると、それは本人の人格的欠陥のせいだとみなされやすい。だが、実際には、正しい理想を抱けなかったことが原因であることも多い(リチャード・ウィン・リヴィングストン)

「どのようなかたちにしろ、大統領が困るようなことは絶対にしないと私は決めていた。大統領が完全に自由に物事を決められる状況にしなくてはと思っていた。大統領自身が国にとって一番良いと思う決定をして欲しかった……私は、他の戦争ではよく起きること──誰かが国の利益よりも個人の感情を優先してしまうことを絶対に避けたいと心から思っていた」(ジョージ・マーシャル)

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アイゼンハワー、マーシャル、アウグスティヌス、モンテーニュ…。

10人の模範的生き方は、われわれに、「全体に奉仕すること」の喜びと、生きることの意味を教えてくれます。

10人のエピソードの面白さは当然ながら、さすがは、ニューヨーク・タイムズの名コラムニスト。読ませる文章と、心に染みる名言のオンパレードで、一気に読めてしまいます。

みなさんの人生を意義あるものにするために、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『あなたの人生の意味』デイヴィッド・ブルックス・著 早川書房

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◆目次◆

第一章 大きな時代の変化
第二章 天職 フランシス・パーキンズ
第三章 克己 ドワイト・アイゼンハワー
第四章 闘いの人生 ドロシー・デイ
第五章 自制心 ジョージ・マーシャル
第六章 人間の品位 ランドルフとラスティン
第七章 愛 ジョージ・エリオット
第八章 神の愛 アウグスティヌス
第九章 自己省察 サミュエル・ジョンソンとモンテーニュ
第一〇章 大きい私

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