2017年1月3日

『アイビー・リー 世界初の広報・PR業務』 河西仁・著 vol.4549

【広報・PRの歴史】
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本日ご紹介する一冊は、現代パブリック・リレーションズ(PR)^の創始者、アイビー・リーに関する研究本。

著者は、外資系メーカーの国内広報宣伝部門責任者を経て、広報コンサルタントとして独立した、河西仁さんです。

アイビー・リーは自著を書いておらず、そのため氏に関する記事を断片的に拾っていくしかないのですが、本書の著者は、たまたま社会人の時にアイビー・リーの50年前の伝記を読み、その後、ニューヨーク市立大学バルク・カレッジにある「PR博物館」を視察、そこで見つけた当時の貴重な資料をもとに本書を書き上げたそうです。

本書によると、アイビー・リーは、<今日のパブリック・リレーションズの礎を築いたパイオニアであり、現代広報エージェントの概念形成に貢献した人物>。

かつてないほど企業に透明性が求められ、さまざまな企業スキャンダルが噴出している今日において、公明正大な広報を目指したアイビー・リーの本は、一読するに値すると思います。

リーと並んで「PRの父」と称されるエドワード・バーネイズのエピソード、PR手法も紹介されており、PR手法の変遷を知る意味でも、興味が持てました。

さっそく、気になったポイントをチェックしてみましょう。

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19世紀以降、20世紀にかけて活躍していた広報エージェントは、牧師の息子か、または、新聞記者から転進した者が多かった。リーは「牧師の息子」で「元新聞記者」という、どちらの条件も兼ね備えていた

新聞記者から広報エージェントに転進する前から、リーはパブリック・リレーションズ(PR)の基本であり最も重要な要素である「正直」、「正確」、「公平」、「オープン」そして「双方向コミュニケーション」の重要性を身近に感じ、その効果を信じていた

当時の一般的な記者たちは、取材対象の企業から無料乗車券やサーカスの招待券をもらって記事を書くなど、倫理面で問題があった。しかし、リーは常に仕事に集中し、自分の仕事をするために、自身が担当する分野の情報収集のみならず、担当以外の分野や個人的に興味のあることがらをクリッピングしていたという

ジョン・D・ロックフェラーに広報代理人として雇われたとき、リーは「大衆は遅かれ早かれ知ることになるから、真実を語れ」と助言したのである

リーは、後に自身の仕事(広報エージェント)の役割を、「クライアントと大衆間の通訳者」、「クライアントと大衆間の調整者」と述べている

大衆紙の発展:暴露とゴシップで国民から支持を集める

「リーの『原則の宣言』は、企業のオープンで正直な情報発信機能としての記事掲載の確立」に貢献するものだった

労使関係を改善するための第一歩として、リーは誰もが一目で理解できる、わかりやすいキャッチコピーを作成した。たとえば、従業員のことは「労働者(Labor People)」ではなく、「フル・クルー(Full Crew)」と呼んだ。これは「一心同体の仲間」という意味であり、従業員たちはこの呼び名を大変気に入ったという。また、鉄道施設の破損や老朽化を擬人化し、利用者に現状をより分かりやすく伝えるために「交通が耐えていること(What the traffic will bear)」という表現で、IRTが抱える問題を、利用者に具体的に示した

◆バーネイズが行ったキャンペーン
なかでも有名なのは、アメリカン・タバコ社のために行った女性の喫煙による販売促進キャンペーン「自由のたいまつ」である。これは、タバコの女性市場開拓のために、公の場で女性が喫煙することへの偏見問題を、行進という表現で大衆に問いかけたイベントである(中略)マンハッタンの中心地である五番街を、女性俳優たちが女性解放の象徴であるタバコを手に持ち、吸いながら行進した

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もっとエピソードがドラマチックに書かれていて、広報のプロでなくても楽しめる内容になっていれば、良かったのですが、現実にはプロが読んで知的に満足するレベルにとどまっています。

とはいえ、謎の人物、アイビー・リーに関する貴重な資料であり、労作です。

PR、メディアに携わる人は、ぜひチェックしてみてください。

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『アイビー・リー 世界初の広報・PR業務』
河西仁・著 同友館

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◆目次◆

序章 アイビー・リーの人物像
第1章 20世紀初頭のアメリカの経済環境とメディア事情
第2章 世界初の本格的広報業務の始まり
第3章 不祥事を広報活動で沈静化
第4章 PRの父としての業績の評価
第5章 リーの過ち:過信と誤解
第6章 現代の広報エージェントとの共通課題
終章 本書の意義とリーに関する書籍や論文

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