2016年11月19日

『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』 クラウス・シュワブ・著 vol.4504

【未来はこうなる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532321115

技術やツール、それにともなって社会が目まぐるしく変わる今日、「今後どうなるか」の情報は、常にウォッチすべき対象となっています。

本日ご紹介する一冊は、ダボス会議(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブが、グローバルエリートとの対話を通じて、来るべき技術と社会を予言した一冊。

「第四次産業革命」の定義は正直あいまいですが、特徴は、モバイル化したインターネット、小型化し強力になったセンサーの低価格化、AI、機械学習などの一連の技術によって起こる産業変化。こ
れが生命科学ともリンクし、あらゆる分野でブレイクスルーの波が起こる、というのが本書の主張です。

本書では、急激に進化を遂げる技術が、今後どのような方向に向かうのか、それに伴う国家やリーダーシップの課題は何かという点について言及しています。

BBMの熱心な読者であれば、既に他の書籍で学んだ技術変化も含まれてはいますが、改めて最先端を学ぶ意義ある内容です。

まずは、2025年までにどんな変化が起こるか。世界トップクラスの知性が予想する「未来」をチェックしてみましょう。

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一部の技術者がアンビエント・コンピューティングと呼ぶもの(ロボットのパーソナル・アシスタントが常にノートをとり、ユーザーの疑問に回答できるよう待機している)が発明される日も近いだろ
う。デバイスが私たちの声に耳を傾け、ニーズを予測し、頼まなくても必要なときに私たちを支援してくれるものとして、一人ひとりのエコシステムの中で存在感を増していくだろう

自己修復力や自己洗浄力のあるスマート素材や、形状記憶合金、圧力を電気に変えるセラミックや水晶など

鋼鉄の約二〇〇倍の強度を持ち、人間の髪の毛の一〇〇万分の一の細さで、熱伝導性と導電性に優れたグラフェンのような先進ナノ素材を取り上げてみよう。グラフェンの価格競争力が向上すれば、製造業とインフラ産業に大きな混乱をもたらすおそれがある

いまブロックチェーン・テクノロジーを使ってビットコインのようなデジタル通貨の金融取引を記録しているが、将来これを出生・死亡証明書、所有権登記、結婚許可証、学位、保険金請求、診療、投票など、コード表示できるあらゆる取引の記録技術として応用できる

合成生物学により、DNAを書き換えて臓器をカスタマイズすることができるようになる

ウシの遺伝子を操作し、血友病患者のために血液凝固成分を含むミルクを産出させるようにするのは、遠い将来のことではないだろう。研究者はすでに、人体への移植用臓器を作るために、ブタの遺伝子操作を開始している

私たちの活動レベルと血液化学が自宅や職場での幸福感や心の健康、生産性とどう関連しているかを測定する装置を埋め込んだり、使用したりする新しい方法の開発が進んでいる

◆2025年までに起きると予想されるティッピング・ポイント
・10%の人々がインターネットに接続された服を着ている
・90%の人々が容量無制限の無料ストレージ(広告付)を保有している
・米国で最初のロボット薬剤師が登場する
・眼鏡の10%がインターネットに接続されている
・政府が初めて国勢調査の代わりにビッグデータの情報源を活用する
・体内埋め込み式携帯電話の販売開始
・米国の道路上の全車輌の10%が自動運転車になる
・3Dプリンタ製の肝臓の初移植
・政府がブロックチェーンを介して初めて税金を徴収
・人口5万人を超える都市で初めて信号機が廃止される

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本書では、このような劇的変化に対し、われわれが対応していくための「4種類の知性」を提案しており、ここは読みどころです。

◆4種類の知性
1.状況把握の知性(精神)──知識を理解し、応用する能力
2.感情的知性(心)──思考や感情を処理し、統合する能力。あるいは自分自身とそれらを関連づけたり、それら同士を関連づけたりする能力
3.啓示的知性(魂)──公益のために変化をもたらし、行動するための個人および共通の目的意識や信頼感、その他の美徳を活用する能力
4.物理的知性(肉体)──自身の健康や幸福だけでなく、個人およびシステム双方の変革に必要なエネルギーを注ぐ、私たちの周りにいる人々の健康や幸福の追求と維持をする能力

また、「資本以上に才能が重要な生産要素になる」とも述べており、個人の能力開発が、これまで以上に注目されることになりそうです。

これから変化する社会にどう対応し、生きていくか。ヒントが満載の一冊です。

読みにくいのが玉にキズですが、金鉱を掘るつもりで、ぜひ読んでみてください。

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『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』
クラウス・シュワブ・著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

1章 第四次産業革命とは何か
2章 革命の推進力とメガトレンド
3章 経済、ビジネス、国家と世界、社会、個人への影響
付章 ディープシフト

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