2016年11月24日

『人類は絶滅を逃れられるのか』 スティーブン・ピンカー、マルコム・グラッドウェル、 マット・リドレー、アラン・ド・ボトン・著 vol.4509

【世界最高峰の知性が、人類の未来を語る】
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「未来がどうなるか」

これは年末になると必ず盛り上げるテーマですが、大変化の予感がする今年2016年は、よりいっそう関心の高いテーマだと思います。

本日ご紹介する一冊は、スティーブン・ピンカー(ハーバード大学心理学教授)、マルコム・グラッドウェル(ジャーナリスト・ベストセラー作家)、マット・リドレー(科学ジャーナリスト)、アラン・ド・ボトン(哲学者)といった、世界最高峰の知性が、人類の未来を論じた、興味深いディスカッション。

経済、技術、教育、軍事、環境など、さまざまな問題に関して、人類はどの程度進歩したのか、それとも進歩していないのか。どこにどんな脅威があるのか。各人が持論を述べ、時には激しく論戦をする、そんな刺激的な内容です。

本書の元となったのは、世界最大の産金会社バリック・ゴールドの創業者であるピーター・ムンクが設立した「ムンク財団」主催の「ムンク・ディベート」。

これまでにトニー・ブレア、ヘンリー・キッシンジャー、ポール・クルーグマン、ローレンス・サマーズも参加したというカナダ屈指の公共政策イベントで、彼らが何を述べたのか。その様子が生々しく収録されています。

主催者がいみじくも述べているように、
<どんな問題や論題であれ、私たちは「コップにはまだ水が半分残っている」と考えるか「あと半分しかない」と考えるかのどちらか>。

本書で議論をする4人も、きれいに楽観論者と悲観論者に分かれています。

どんなことが議論されたのか。さっそくチェックしてみましょう。

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彼の主張は、ごくひと握りのとてつもない極悪人が、私たちの暮らしに重大な変化をもたらす可能性を考慮していません。つまり人類の99・9%の暮らしは昔よりよくなったかもしれませんが、残りの0・1%によって、恐ろしく惨めな状況に突き落とされる可能性があるのです。ソ連では、スターリンのせいで2000万人が命を落としました(グラッドウェル)

現代の世界では、非常にパワフルな二つの要素が楽観論を有力にしています。それはビジネスと科学です。この商業的な世界で、誰かに何かを売りたいと思ったら、自分と未来、そして自分の将来性について、相手に非常にポジティブな印象を与えなくてはいけません(ボトン)

健康や所得、社会的地位のグラフを描いて、このラインより上の人たちは満足だなどと言うことはできないのです。それは「期待」と
いう、人間が持つ厄介な内面的特質が、非常に多くの物事を左右するからです(ボトン)

私はよく、人間の脳を「不完全なクルミ」と呼ぶのですが、人間は脊柱のてっぺんに不完全なクルミを持っています。このクルミは失
敗をする──攻撃的で、やるべきことを忘れ、役に立たない衝動をたくさん持っています。人間は、不完全なクルミの特に悪い衝動と自
己中心的な性質を補うために、文明をつくりました。つまり文明とは、欠陥のある個人の脳を補う上位の脳なのです(ボトン)

いまや極貧人口は全体の10%にすぎません(リドレー)

世界のコネクティビティが高まると、私たちは崩壊に強くなるのです。食料貿易を例に説明しましょう。17世紀のフランスでは、不作
が2年続くと人口の15%が死ぬ可能性がありました(リドレー)

教育水準が高く、女性のエンパワーメントが進んだ世界は、独裁者に支配されたり、愚かな戦争に関わりにくい(ピンカー)

卑劣性と暴力と残虐性が行き着く先は、戦争とはかぎりません(ボトン)

世界の人口は20世紀に4倍になりましたが、21世紀には2倍にもなりそうにありません(中略)豊かさと教育と健康のせいです(中
略)人口動態にはシンプルかつ美しい事実が存在します。「健康に育つ子が増えるほど、出生数は減る」というものです

人間は物質であると同時に精神でもあります。私たちはその両方を検討するべきだ(ボトン)

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未来を憂いて悲観的になるよりも、さまざまな見方を身につけることで、正しい見通しを持ちたい。

そんな方におすすめの内容です。

ぜひ読んでみてください。

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『人類は絶滅を逃れられるのか』
スティーブン・ピンカー、マルコム・グラッドウェル、
マット・リドレー、アラン・ド・ボトン・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

第1章 人類の歴史から導かれる明日の世界──4つのシナリオ
第2章 人類は絶滅を逃れられるのか?──世界の未来を占う論戦
第3章 悲観主義にならないための未来予測

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