2016年10月14日

『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』 永井孝尚・著 vol.4468

【売れてます。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797388951

本日ご紹介する一冊は、発売直後から局所的にベストセラーとなっている、注目のマーケティング書。

『100円のコーラを1000円で売る方法』の著者であり、マーケティング戦略アドバイザーの永井孝尚さんによる、最新刊です。

※参考:『100円のコーラを1000円で売る方法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046028238/

マーケティング書は、しばらく不毛の時代が続きましたが、USJ森岡さんの『確率思考の戦略論』を皮切りに、また本格的なマーケティング書が売れ始めてきました。

※参考:『確率思考の戦略論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041041422/

『キリンビール高知支店の奇跡』も19万部と絶好調ですし、これはまたマーケティング本、営業本の時代がやってきましたね。

※参考:『キリンビール高知支店の奇跡』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062729245/

ということで、本日の一冊のご紹介に移りますが、内容は、最新の企業事例を織り込み、わかりやすくマーケティングの基本理論を解説した内容。

・腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?
・人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうのか
・女性の太った財布には、何が入っているのか

など、キャッチーな見出しで引き込み、「バリュープロポジション」や「顧客ロイヤルティ」「プロモーション戦略」などを説明しています。

マーケティングの基礎がわからない人でも楽しく読んで、基本理論が押さえられる、じつに便利な一冊です。

いくつか、ポイントを見て行きましょう。

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当時は「正確な時間を知ること」が時計をつける理由だったのである。でもいまやスマホや携帯で正確な時間はすぐわかる。だから腕時計をしない人が増えたわけだ

ジョギング専用ウォッチは「(時計で)体力を強化する」、登山専用ウォッチは「(時計で)安全に登山する」、そしてGPSソーラー腕時計は「(時計で)グローバルビジネスを成功させる」という価値を創造することで、お客さんがお金を出す「理由」を創り、新市場を生み出したのである

高い買い物をした後、広告が気になるのには、実は理由がある。
「本当に買ってよかったのか?」
高い買い物をした人ほど、内心、そんな不安を抱えているのだ

「やっぱり買ってよかった」と不安が解消されたお客さんは、その後も継続して「顧客」になってくれる(中略)メルセデス・ベンツ社はこれが実にうまい。ベンツオーナーになるとその直後から、オーナーだけが見ることができる会員専用サイトが使えるようになる。ここでは自分の車の保守履歴やドライブ履歴が管理できる。それに加えて、オーナーだけが集まるコミュニティに入ることができる

宮崎のマンゴーは春から夏、一方の十勝のマンゴーは冬に出荷される。時期が違うので市場では競合しない。むしろ1年中マンゴーが食べられることでお客さんは増えて、マンゴーの需要も拡大する。(中略)このように他社商品が買われると、自分たちのお客さんもより高い価値を得る相手のことを、マーケティングでは補完的生産者と呼ぶ

十勝マンゴーは、一見すると新しい農作物の商品開発だが、実際には冬にマンゴーを食べるという顧客開発を実現している。(中略)商品開発の真の目的とは、商品を作ることではなく、商品を使うお客さんを創り出すことなのである

150円のプリンを買うとき、お客さんは「150円にしては美味しい」商品を買っている。一方、500円のプリンが提供するのは、「最高に美味しいプリンを食べる」という体験だ

「パンパンに膨れた女性の財布の中には、いったい何が入っているんだろう?」(中略)女性は安く買うことが大好きだ。そして安く買うことが大好きな女性は、クーポンも大好きだ。だからためたクーポンのために、財布が膨れていたのである。しかしさらにリサーチしてみると、意外なことがわかった。そのクーポン券の実に6割が、残念なことに期限切れになっていたのである(中略)これを使えるようにすれば消費を刺激でき、女性客がはなまるに来るきっかけづくりができるはず。そこであの「他店期限切れクーポン作戦」をはじめたのだ。このキャンペーンは大きな話題になった。なんと2億円の広告と同じ効果が生まれたのである。回収クーポンは12万枚、売上も3%増えた。大成功だった。ちなみにこの社長は、その後、若くして親会社である吉野家の社長に大抜擢された

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本書の魅力は、事例が新しく、かつそれがマーケティング戦略のキモをがっちり押さえていること。

時計業界の事例や、十勝マンゴーの事例、赤字のプリンの話、はなまるうどんのプロモーション戦略など、じつに勉強になりました。

ビジネスパーソンの雑談のネタとしても、使える内容です。

ぜひチェックしてみてください。

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『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』
永井孝尚・著 SBクリエイティブ

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797388951/

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<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2e117fW

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◆目次◆

第1章 腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?
第2章 人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうのか
第3章 雪の北海道でマンゴーを育てる?
第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、なぜブレイクしたのか?
第8章 古本屋がふつうの本屋より儲かる理由

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