2016年9月8日

『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』菅原洋平・著 vol.4432

【脳に「すぐ」行動させるコツ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4905073464

最近出ている仕事術や自己啓発書のベストセラーを見ていると、ほとんどのニーズは同じ原因から発生していることがわかります。

その原因とは、「情報過多」。

あまりに情報が多い、やるべきことが多い、人との接触が多い。

にも関わらず、われわれの時間や情報処理能力は限られていて、おまけに人間はマルチタスクが苦手です。

となると、ストレスが増大したり、やることが増えすぎて何から手を付けたらいいかわからなくなったりするのも当然。

だから、行動力がなくなり、行動本が売れるわけです。

本日ご紹介する一冊は、そんな行動本のなかでも、決定版と言える一冊。

作業療法士の菅原洋平さんが、行動を促すためのしくみと工夫を明らかにした、じつに実用的なノウハウ書です。

著者によれば、「すぐやらない」原因は、脳が「すぐやる」モードになっていないから。

人間には、「やることをあと回しにするタイプ」「切羽詰まらないとやらないタイプ」などはなく、ただ私たちが自分の脳に、「すぐやらない」ための情報を与えているのが原因なのだそうです。

なかでも勉強になったのは、<脳は、目から入った情報に、もっとも大きな影響を受けて>おり、「一度脳に見せてしまったら、もう逆らえない」ということ。

スマホやパソコンをデスクに置いたら、集中力が欠けるのは当然。リビングにテレビがあるのに、子どもにテレビをやめさせるのも難しいことなのです。

本書には、われわれが集中力を保ち、すぐやる人になるための「やるべきこと」「やってはいけないこと」が詳しく書かれています。

さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。

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「起床から4時間後に、頭がスッキリと冴えていますか」(中略)もしその時間にだるかったり、あくびが出たり、ぼーっとするなどの兆候があるならば、それは睡眠が不足しているというサインです

・ベッドの中では、読書、スマホ、音楽など、眠りに関係ないことをしない
・平日と休日の起床時間の差を1時間程度に抑える
・朝、目覚めたら窓から1m以内に入り、脳に太陽の光を届ける
・起床からおよそ6時間後に、1~30分間、目を閉じる
・起床からおよそ11時間後の夕方には何としても眠らずに、できるだけ体を動かして体温を上げる
・翌朝の起きる時間を3回唱えてから眠る

脳は、目から入った情報に、もっとも大きな影響を受けています。
(中略)
「一度脳に見せてしまったら、もう逆らえない」のです。ですから、もしテレビやスマホ、パソコンを前にして、「少しだけ見て、それからやろう」という気持ちになったとしたら、あなたはすでに「問題の中」にいることになります。問題が起こってから解決しようとしているので、切り上げるために“意志の力”が必要になるのです

脳は、一度「やってはいけない」と強く感じたことを、簡単にはやめられないようにできているのです。やはり最初から「やってはいけないことは目にしない。脳に見せない」しか手はありません

使ったものは、もとの場所に戻すこと(中略)いつもと違うところにものが置かれるだけで脳が余計なエネルギーを使ってしまい、ミスを誘発しやすくなる

スマホ以外にも、手帳や本なども要注意。「できればこれもやっちゃいたい」と思って、あれもこれもテーブルにのせると、その瞬間から脳は惑わされてしまい、結局ひとつも達成できなくなってしまいます

パソコンのモニターが、ライオンのたてがみのように付箋で囲まれていませんか?

真似したい相手と同じ方向を向き、横並びの状態になること

「ここまではできる」と到達点を具体的にすることです。現実にできていないことは脳に要求しない。できていないことを「できるはず」と過度に期待させないことが重要

触覚を豊かにすることは、脳が正しく指令を出すこと、そして体を動かしやすくすることに直結します

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故・梅棹忠夫氏は、名著『情報の文明学』のなかで、これからは感覚情報の時代だと言いましたが、それは感覚を制するものが仕事やマーケティングを制するという意味にも取れると思います。

※参考:『情報の文明学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122033985/

なぜなら、われわれは感覚で行動を促されるからです。

インスタグラムのような感覚に依存したメディアが流行っているのも、アップルのような触覚を重視した商品開発がウケているのも、決して偶然ではないと思います。

読者が行動力があるかないかに関わらず、人間の感覚と、脳のしくみを理解するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』菅原洋平・著 文響社

<Amazon.co.jpで購入する>
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01J5OH1WG/

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http://bit.ly/2cmf1KW

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◆目次◆

序章 「すぐやる人」に共通するたった1つの習慣とは?
1章 「やるべきこと」にすぐ手をつけるコツ
2章 「ひとつのこと」を終えたあと、「次」にスムーズに取りかかるには?
3章 すぐやる集団、すぐやらない集団……「すぐやらない」は伝染する!?
4章 「脳が勝手にやる気になる」言葉の使い方
5章 「やればできる」という言葉でかえって「本気」が出せなくなっていた!?
6章 「すぐやるスイッチ」をすぐ入れる簡単な方法
7章 行動力が劇的に上がる「触る力」活用法
8章 「なんとなくいつもネガティブ」の原因は、「脳の慢性疲労」にありました

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