2016年7月3日

『江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか』中江克己・著 vol.4365

【遊びのビジネスは江戸に学ぶ】
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2008年までのビジネス書トレンドは、「頑張れば、私にもできる」でしたが、最近はなんだかあきらめモードが蔓延している気がします。

格差が広がり、身分が固定されるようになると、人は努力することをやめてしまうのかもしれません。

日本はもう伸びない。かといって伸びる海外に行くつもりもない。そんな人が何に意義を見出すかというと、おそらく「遊び」です。

大学時代に読んだホイジンガの『ホモ・ルーデンス』を読み、人間にとっての「遊び」に興味を持って研究しましたが、いよいよその「遊び」がビジネスになる時代がやってきたのかもしれません。

※参考:『ホモ・ルーデンス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122000254

イタリア人が「アモーレ、マンジャーレ、カンターレ(恋する、食べる、歌う)」なのは、じつは格差が固定されているからだそうですが(開き直って楽しむ方にシフトしている)、このまま行けば、日本にも同じことが起こると考えられます。

そこで本日ピックアップしたのが、歴史作家・中江克己さんが書いた、『江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか』。

「さほど経済的なゆとりがなくとも、なにかの遊びを楽しみ、明日の活力の糧にした」という江戸っ子の生き方に、われわれはきっと学ぶことがあるに違いありません。

さっそく、気になったポイントをチェックして行きましょう!

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江戸の町には両国、日本橋、浅草などの盛り場ができ、しだいに遊びも多様化した。品川、千住、板橋、内藤新宿などの宿場町も旅籠や茶屋、料理茶屋などが整備され、人びとの遊び心に応えて盛り場化していった

食の娯楽化という現象が出てきたことも特筆しておく必要がある。たとえば、水茶屋ではただ茶を飲むだけでなく、評判娘(アイドル)を相手にして、という付加価値を求めた。料理茶屋には、珍しい名物料理を求めて押し寄せる。この場合、どんな料理だったのかなど話題性が重要だった。茶屋の茶汲女や物売りの店で働く評判娘は、錦絵に描かれ、現在のアイドルのようにもてはやされたのである

両国が盛り場になったのは、隅田川に両国橋が架けられ、東西の橋詰一帯が広小路とされたからだ

ほとんどの人は、飼犬や飼猫が死ぬと、庭などに埋葬した。しかし、なかにはわざわざ回向院に出向いて葬った愛犬家や愛猫家がいたようだ

江戸庶民は、格づけ、番付が好きだった

江戸後期には、有名力士が浮世絵に描かれ、さらに相撲人気が盛り上がった

見世物のなかでもう一つ、人気を集めたのは「生人形」だった(中略)当時はペリーの黒船をはじめ、多くの異国船が来航し、物情騒然たる状態になっていた。。生人形はそうした時流を受け止め、いろいろな技術を用いて“異国”を表現したともいえる

芝居を楽しんだのは裕福な連中ばかりではない。長屋住まいの職人や商家の手代などの庶民も芝居小屋に通ったが、じつは庶民向けの安い席も用意されていたのである

舞台衣装などに使われた「役者色」が芝居好きの江戸庶民に使われ、広く流行する、ということがあった

男湯の二階は休憩室になっていた。二階座敷を利用したのは、主に勤番侍(江戸詰の侍)とか商家の者などで、利用料は八文(約二百円)である(中略)さらに八文を出せば菓子を食べることもできた(中略)茶屋でくつろぐより安く、まるで温泉湯治場のようだというので、大いに賑わった

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江戸時代に何が流行ったか、なぜ流行ったかを知ることは、商品開発上も、マーケティング上も、プリベートを充実する上でも、良いヒントとなるに違いありません。

「遊びの時代」のビジネスを理解する上で、いろいろと得るところがありました。

ぜひチェックしてみてください。

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『江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか』中江克己・著 青春出版社
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◆目次◆

一章 花火と相撲に熱狂した江戸っ子<両国界隈>
二章 茶屋遊びに芝居見物、そして吉原<浅草界隈>
三章 江戸の中心で流行の買い物<日本橋界隈>
四章 川向うの新しい町に繰り出す<深川と本所界隈>
五章 谷中の富くじと不忍池の料理茶屋<上野界隈>
六章 江戸の出入り口の盛り場で遊ぶ<江戸四宿>
七章 年中花盛りの江戸を歩く<花見の名所>

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