2016年7月1日

『ミライの授業』瀧本哲史・著 vol.4363

【瀧本哲史氏から14歳へのメッセージ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062200171

先日上場した富士山マガジンサービスの創業者、西野伸一郎さんが、エリエスのセミナーで、若者の夢を否定するオヤジにならないように、みたいなお話をされていました。

※参考:『ビジネスブックマラソンLIVE CD vol.13 何かを始める人が知っておきたいマインド&スキル』
https://eliesbook.co.jp/archives/2297

本来、大人は子どもたちに夢を与える存在であるべきです。

だから、若者や子どもと話す時は、「仕事は楽しい」「大人になるって素晴らしい」と説くべき。できれば、本当にそう感じていることが理想でしょう。

本日ご紹介する一冊は、元マッキンゼーのコンサルタントで、エンジェル投資家として活動しながら京都大学で教鞭をとる瀧本哲史さんの新刊。14歳の子どもたちに向けて、「ミライの授業」と題してまとめた啓発書です。

本書では、未来をになう若者たちを励ますべく、著者が偉人たちの生い立ちや学生時代、何がきっかけで成功したかなどを説いています。

ニュートンが中学に入った頃、学年で下から2番目の成績だったこと、「微積分学」「万有引力の法則」などの世紀の発見が、ペストの影響で大学が閉鎖され、田舎に引きこもっていたために実現したことなど、励みになる話がたくさん出てきます。

また、ナイチンゲールが統計学を武器に世界を変えたこと、実業で大成功した伊能忠敬が19歳年下の高橋至時(たかはしよしとき)に弟子入りし、全国測量を成し遂げたことなど、大人が読んでも背筋がピンと伸びる話が入っており、じつに読み応えがあります。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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「メイド・イン・ジャパン」から「メイド・イン・世界」へ

未来には、ひとつだけいいところがある。それは、「未来は、つくることができる」という点だ

みなさんは「魔法」の力で未来を変えるために、学校に通い、勉強をしています

ニュートンは微積分学という「あたらしい数学」を発見したのです。(中略)この数学を使えば、自然界の現象をどんどん説明していくことができる。ニュートンにとっての微積分学は、「あたらしい数学」というよりも、「世界を説明するためのあたらしい言葉」といったほうが的確なのかもしれません

哲学ノートに数十ページ分の空白をあけて、ニュートンは突如こんな言葉を書き記すのです。「わたしはプラトンの友であり、アリストテレスの友である。しかし『真理』は、もっとすばらしい友なのだ」

学問の目標は、地位や名声を得ることでも、いばることでも、誰かを言い負かすことでもない。ほんとうの目標は、人類の未来を変えるような、発明と発見にあるのだ(中略)そこでベーコンが主張したのが、「観察と実験」の大切さでした

その小さな違和感こそが、未来につながる冒険の扉

戦場の兵士たちは、戦闘によって亡くなるのではなく、劣悪な環境での感染症によって亡くなっていくのだ。それがナイチンゲールの結論でした(中略)そこでナイチンゲールが使った武器が、看護師の道に進む以前、ずっと学んできた数学であり、統計学だった(中略)彼女は、「コウモリの翼」と呼ばれる独自のグラフを考案し、死因別の死者数をひと目でわかるようにビジュアル化しました

未知の課題には「論より証拠」で取り組む

じつは、冒険家にとって「地図の正確さ」は、それほど大切な要素ではありません。細かいところは間違っていても、おおよその全体像がつかめること。そして「こっちに進めば、目的地にたどり着くんだ!」という大まかな行き先がわかること。このふたつが揃っていれば、地図としての役割は十分果たしたことになります(中略)つまり、地図とは「仮説」なのです

仮説の旗は「空白地帯」に立てる

エジソンの蓄音機も改良を重ね、手軽な録音再生機としては生き残ったものの、音楽という巨大ビジネスには手が届かないまま、世のなかから消えていきました

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伝記、自己啓発ではありますが、ところどころに瀧本さんらしい戦略的な視点が入っており、楽しく読ませていただきました。

個人的には、<未知の課題には「論より証拠」で取り組む>という話がヒントになりました。

まずは大人がしっかり読み込み、同様の内容を子どもたちに語れるようになると最高ですね。

ぜひ読んでみてください。

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『ミライの授業』瀧本哲史・著 講談社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062200171

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◆目次◆

14歳のきみたちへ
ガイダンス──きみたちはなぜ学ぶのか?
1時限目 世界を変える旅は「違和感」からはじまる
2時限目 冒険には「地図」が必要だ
3時限目 一行の「ルール」が世界を変える
4時限目 すべての冒険には「影の主役」がいる
5時限目 ミライは「逆風」の向こうにある
ミライのきみたちへ

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