2016年6月29日

『未生(ミセン)』ユン・テホ・著 古川綾子、金承福・訳 vol.4361

【もはや社会現象?の注目仕事マンガ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063774864

究極のおもてなしは、「意表をつかれること」だと思っています。
それも、こちらの好みを知り尽くした人がわざと外してくるという…。

そういう意味で最近、献本を通じて素晴らしいおもてなしを受けました。講談社の方からです。

BBMに宛てて、真正面からマンガを送ってくる。それも、説得力抜群のお手紙を添えて…。

ご紹介を受けたのは、現在、韓国で大ブレイク中のお仕事マンガ。
累計200万部を超え、テレビドラマも歴代視聴率No.2(ケーブルテレビ)という話題作、『未生(ミセン)』です。

囲碁のプロ棋士を目指し、韓国棋院の研究生となったチャン・グレが、プロ入りに失敗し、大手総合商社のインターンとなる。

満足な職歴も学歴もない彼が、会社という盤上でいかなる碁を打っていくのか? 囲碁の比喩を使った人生訓、処世術もトビラにあしらっており、なかなかひねりの効いたマンガです。

中身が濃く、一冊を読み終えるのに意外と時間がかかるのですが、確かに、ぐいぐい引き込まれていきました。

まったくの「個」の世界から「集団」の世界に身を投じた主人公。
韓国の、日本以上に閉鎖的な会社社会のなかで、もがきながら戦う彼の姿が、妙に新鮮でした。

ビジネスパーソンを納得させる名言、処世訓もあり、これは確かに注目のビジネスマンガです。

いくつか、気になった言葉をピックアップしてみましょう。

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囲碁は特別です。自分に勝った人間と対座し、なぜ相手が勝って自分が敗れたのかをともに振り返る。これって他では見られないですよね? それも早ければ5~6歳の子どものころから。彼らにとって敗北とは、どんな意味を持つのでしょう? 彼らはその敗北感にどのように対処するのでしょう? その子どもの心はどれほど強くなったでしょう? その子どもが世の中に出て、一手また一手歩んでいく物語こそが『未生』です(前書きより)

知らない世界は大変だろうけど やりたいようにやるつもりです。
二度と…囲碁みたいな失敗は…しません 僕にともせる灯りがあるのならやり遂げてみせます

慣れきったもの 親しんできたものを知らないものと仮定する それはつまり異なる考え方とパラダイムシフトの始まりなのです

とにかくインターンシップの間に空欄になっている「特技」を作らないと

自分の足元の火から先に消さないと 「我生然後殺他」って言葉知りません?

私たち新人は失敗だらけです チャン・グレさんが整理していたファイルはその典型です ムダなハイクォリティ

あ…自分も生かして僕も生かした 共生…

相手の陣地が大きくなるのを防ぐには、真っ向から立ち向かうしかない

誰と組んでも パートナーを信じるべきだと思います ライバルだと思った瞬間 その人の腹黒さが見えるようになる

自分のパートナーを最後まで信頼すれば 同じ盤に立つパートナーはそれに気付かなくても 見ている審査員にはわかってもらえるはず

囲碁は調和だ。布陣の手はすべて着点とのバランスを再優先に考え、水の流れのように自然でなければならない。来たる嵐を察知しても欲望を見せてはならない

考えがまとまらないのは雑念があるからだ ちゃんと考えれば当然の一手が見えるはず 道はひとつだ 思考と経験の最善値 囲碁ではそれを定石と呼ぶ

終えるべき問題(死に石)が続いて大きくなると(大石)盤全体が大変なコトになりませんか?

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メルマガで絵が紹介できないのが残念ですが、人物のキャラクターがよく描かれており、好感が持てました。

このご時世にあえて会社員人生を描く、というのも新鮮ですね。

騙されたと思って、ぜひチェックしてみてください。

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『未生(ミセン)』ユン・テホ・著 古川綾子、金承福・訳 講談社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063774864

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◆目次◆

※ないので省略します。

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