2016年4月29日

『言ってはいけない』橘玲・著 vol.4301

【橘玲が突きつける「不愉快な現実」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106639

世の中は、真実と嘘だけでできているわけではありません。

これに真実っぽい嘘と、嘘っぽい真実が加わって、はじめて現実となるのです。

SNSが普及し、社会がムラ化してきたせいか、最近はメディアも個人もこぞって「真実っぽい嘘」を信仰し、反対に「嘘っぽい真実」を弾圧しているように見えます。

そんな「表現の自由」を許さない息苦しい空気のなか、じつに痛快な議論を展開してくれたのが、本日ご紹介する橘玲さんの新刊。

知性や精神病、犯罪が遺伝するという強烈な証拠、厳然として存在する美貌格差、人間が元来「乱婚」である可能性、教育の無意味さなど、タブーというタブーをすべて根拠つきで説明しており、じつに興味深い読み物です。

「知性とは疑うこと」だとすれば、現在の日本からは、ひょっとして「知性」が失われているのかもしれません。

「真実っぽい嘘」を誰もが疑わず、間違った道へと進む。そんな悲惨なことにならないためにも、ぜひ読んでみなさんで議論しましょう。

まずは、赤ペンチェックからどうぞ。

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心拍数の低い子どもは刺激を求めて反社会的な行動に走ることが多い

「発汗しない子ども」は、親がどれほど厳しくしつけても、良心を学習することができない

一般集団における男性の反社会性パーソナリティ障害の基準値は3%だが、職業紹介所で募集した被験者では基準値24.1%という驚異的な値が得られた。彼らのうち43%にはレイプの、53%に傷害の経験があり、29%は武装強盗、38%は他人への発砲、そして29%は殺人未遂もしくは殺人をおかしていた

アメリカの裁判の判決と被告の容貌を比較した研究では、童顔の男性にカネを騙し取られたと訴えたとしても、多くの場合、敗訴することがわかっている

生まれつきテストステロン値が高く、同時に家庭環境や知能に恵まれた男性は、刺激を求めて犯罪や暴力に走るのではなく、自身の才能を政治やビジネスの競争に勝つことに使おうとする

たとえ高学歴でも、女性は男性に比べて自信を持つことが苦手(中略)SS型の遺伝子を持つ女性は男性に比べ、脳内のセロトニンの濃度が52%も少ない

女子校の女の子は、性的な意思決定に対して自律性を保てる

ライアンとジェタは、旧石器時代の人類は集団内の女性を男たちで共有する、ボノボのような乱婚だったと考える(中略)乱婚によって子どもの父親をわからなくさせ、複数の「父親候補」を子育てに協力させたほうがいい。これによって父親の1人が死んでも、残りの父親からの援助を期待できるから、一夫一妻制よりもずっとリスク分散できるのだ

遺伝率は音楽的才能の92%から言語性知能の14%までさまざま

家庭が子どもの性格や社会的態度、性役割に与える影響は皆無で、認知能力や才能ではかろうじて言語(親の母語)を教えることができるだけ。それ以外に親の影響が見られるのはアルコール依存症と喫煙のみだ

「常識」とは逆に、近年は若者の犯罪の減少が顕著で、世代別でもっとも犯罪者が増えているのは高齢者だ

ちなみに私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから

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才能のない子どもに無理やり教育を受けさせる現在の風潮や、「優秀そう」な問題児を間違って雇ってしまう採用面接、間違った男女平等による弊害など、現代社会の問題に、メスを入れる内容です。

あまりの知的刺激に、思わず一気読みしてしまいました。

ぜひ読んでみてください。

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『言ってはいけない』橘玲・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106639

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◆目次◆

I 努力は遺伝に勝てないのか
II あまりに残酷な「美貌格差」
III 子育てや教育は子どもの成長に関係ない

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