2016年4月20日

『大前研一 ニュースで学べない日本経済』 大前研一・著 vol.4292

【今後のチャンスはどこにある?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046016086

長年ビジネス書を読んでいると、どの著者が当てるか/外すか、というのがだんだんわかるようになってきます。

いつも外している著者もいれば、今は勢いがあるけれど、時代を読み間違う著者もいる。また、個人の環境変化により、切れ味が悪くなる人もいます。

その点、比較的安定しているのは、大前研一氏と神田昌典氏でしょうか。お二人の著作からはたくさんヒントをいただき、ビジネスや株を通して、きっちり読書代を回収させていただいています。

本日ご紹介する一冊は、その大前研一氏による、今後の経済予測。

まずは、こちらの言葉からご覧いただきましょう。

<今、世界経済は3つのリスクを抱えています。「中国経済の減速」「アメリカの利上げ」そして「地政学リスク」です>

本書では、この3点を詳細に論じており、その上で、今後どこにチャンスがあるのか、どんな動きが起こりそうか、具体的な国名や企業名を上げながら説明しています。

さっそく、いくつか気になったポイントをチェックして行きましょう。

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先進国経済は低成長、新興・途上国は減速へ向かう

今、世界経済は3つのリスクを抱えています。「中国経済の減速」「アメリカの利上げ」そして「地政学リスク」です

2016年末頃にはFRB(連邦準備制度理事会)の金利は0.75%くらいになっていると思われます。アメリカの利上げの結果、これから先、世界のお金はアメリカに吸い取られていくはずです

インフレが怖いと言って金利を上げていくと世界中のお金がアメリカに集まります。皆、お金を他の国に置いておくよりアメリカに移したほうがいいと考えるからです。すると株価が上がり、不動産価格も上がりますので、しばらくの間、世界中の緩和マネーがアメリカに還流するでしょう。とはいえ、アメリカでの投資機会はあまりありませんので、いずれ新興国や他の国や地域に戻っていくとは思いますが、しばらくはこの傾向が続くことになります

ベトナムは、2020年が転換点です。カトリック国のフィリピンでは、堕胎ができないという事情もあって、2055年頃まで人口ボーナス期が続きます

日本企業は具体的にどこの国を狙って進出していけばいいのでしょうか? 私はメキシコとフィリピン、今はこの2カ国に注目すべきだと思っています

アジアにおいては当然インドも注目すべき国です。インドは2015年のGDPの成長率で中国を抜いて初めて明確にアジアのトップに躍り出ました

インターネットの発達によって、「使われていないもの」を簡単に見つけることができるようになっています。インターネットで、空いているものと、それを必要とする人をつなぐことで、それまで無駄になっていたものに新たな価値が生まれるのです。需要と供給を特別な価格で結びつけ、アービトラージ(サヤ取り売買)で利益を得る経営戦略、それが「アイドルエコノミー」です

世界の工場「オールドチャイナ」と世界の市場「ニューチャイナ」を比較すると、同じ中国でもオールドチャイナに売り込んでいたJFEホールディングスや日立建機、商船三井、LIXILグループなどの会社は減益。一方でニューチャイナ、つまり個人消費の側に食い込んでいるファーストリテイリング、良品計画、ピジョン、コーセー、TDKといった会社は好調と、明暗を分けています

宿泊施設関連は今後一大産業になるでしょう

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なかでも気になったのは、遊休資源を活用する「アイドルエコノミー」と、マーケットとしての「ニューチャイナ」、そして今元気な宿泊施設関連産業です。

これから伸びる国としてメキシコ、フィリピンを挙げており、その理由もきちんと書かれています。

起業家、投資家はもちろん、ビジネスパーソンの教養としても、ぜひチェックしておきたい一冊です。

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『大前研一 ニュースで学べない日本経済』大前研一・著 KADOKAWA
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046016086

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◆目次◆

はじめに 過去の経済原論が通用しなくなった今、どうすべきか
序章 今求められる教養は「本質を見抜く力」
第1章 世界と日本経済の「3大リスク」
第2章 好調経済国家・地域に注目せよ
第3章 染色体が異なる21世紀の企業たち
第4章 日本経済「低欲望社会」をどう生きるか? 
第5章 迫りくる危機にどう立ち向かうか?

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