2016年3月1日

『人工知能×ビッグデータが「人事」を変える』 福原正大、徳岡晃一郎・著 vol.4242

【人工知能を使った採用方法とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023314552

最近、学生の間でインターンシップが盛り上がっているらしく、エリエスにもたくさん希望者が来ています。(すでに5~6名採用しました)

「社会に出る前にたくさんの仕事を経験しておきたい」というのが彼らの希望ですが、その根底には、ミスマッチを恐れる気持ちがあるようです。

採用でミスマッチが起きると、莫大な費用をかけて採用した企業サイドが損するのはもちろん、求職者にとってもキャリアの初期でつまずくという、痛いことになりがちです。

おそらくインターンシップは、そんな企業、個人双方のニーズに合った、現実的な解決策なのでしょう。

しかし、そのインターンシップとて、実際には時間のかかる、次善の策に過ぎません。

採用のミスマッチをなくす画期的な方法が見つかれば、それに越したことはないのですが、なかなかそんな理想的な解決策はない、というのがこれまでの常識でした。

本日ご紹介する一冊は、そんな常識をくつがえす、新たな採用の試みに触れた、興味深い内容です。

著者は、グローバルエリート教育で知られるIGS代表の福原正大さんと、フライシュマン・ヒラード・ジャパンSVP・パートナー・CCWプレジデントの徳岡晃一郎さん。

本書には、「人工知能×ビッグデータ」で採用を変えようとしている、アメリカの最新ベンチャーと、著者の福原氏が展開する「GROW」のサービス内容が紹介されており、未来の人事のあり方が見える、未来予測的な一冊となっています。

20のゲームを通じて、認知および感情面から性格測定をし、各人に合った最適企業を紹介するというパイメトリクス(pymetrics)社の試みや、「気質」「コンピテンシー」「価値観」の3軸で人材を評価するという「GROW」の人材評価体系など、興味深い動きがいくつも紹介されており、ワクワクしながら読めました。

さっそく、気になった内容をチェックして行きましょう。

———————————————–

ニューヨークにあるパイメトリクス(pymetrics)社は、その代表的な一社である。同社は数分で終わる20のゲームを通じて、脳科
学的視点から認知および感情面における性格を測定し、各人が自らにあったキャリアを構築する最適な企業に紹介するという、人材マッチングサービスを提供する企業である。2015年8月現在、約13万人(うち学生が約10万人程度)の人材が参加しており、フィデリティ、アクセンチュア、クレディ・スイスなど金融やコンサルティング系を中心に10社強がすでに同社のマッチングサービスを利用している

プレディクト社は、一口にデータ・サイエンティストと言っても、統計処理を行う人なのか、人工知能のプログラマーを指すのかすらわからないのでは、企業、転職希望者双方にとって大きな機会損失と考える。そこで、精緻に職種を定義し、たとえば「プログラミング言語パイソン(Python)を利用し人事にAIを持ち込むことができるデータ・サイエンティスト」といったレベルまで職種を特定化することを採用の新常識にすることで、企業、転職希望者双方をより満足させたいという

ニューヨークのヴォクシー(Voxy)社は、企業などを対象に、グローバルビジネスの実務ですぐに役立つ第二外国語としての英語の
学習サービスを提供している

ニューヨークのCAE社は、このクリティカル・シンキング力とコミュニケーション力をオンラインでテストする会社

気質に関しては環境の影響もあるものの、遺伝子レベルの影響が大きく、変えようとすべきものではなく、その特性を利用する方向で考えないといけない。別の言い方をすれば、与えられた職務、および企業の文化となじむかどうかをしっかり判断する

人間が書く文章は、その人間の思考パターンそのものであると言われる。文章を読めば、その人間が論理的であるかどうかはもちろん、論理を展開するクセのようなものも見えてくる。前向きな発言が多いのか、それとも否定的な発言が多いのかで、プラス思考/マイナス思考かどうかも測れる

退職する社員は、退職する数カ月前からその予兆が見られる。遅刻・欠勤など勤怠状況が悪くなるとか、仕事に身が入らずミスが増えたり、成績が悪くなったりとか、そういうことである。さらに、AI×ビッグデータが扱うSNSのコメントなどにも、興味・関心の方向性が外部に向き始めるといった変化が見てとれるはずである。こうした変化に気づき、手を打てるようになれば、社員の離職率を下げたり、職場の人間関係に悩んでいる者の配置転換を行ったり、下がったモチベーションを回復させる、といったことが可能となる

———————————————–

残念ながら、最新の動きをとらえるだけに終わっており、「人工知能×ビッグデータ」活用の実際の話は、そこまで深く書かれていないのですが、未来をイメージするには十分な内容です。

本書ではあまり書かれていませんが、近い将来、これに遺伝情報が加わると、恐ろしい時代がやってくると感じました。

オビに「グーグル、アクセンチュアなど米企業はすでに採用」とあり、これは見逃せない動きです。

ぜひチェックしてみてください。

———————————————–

『人工知能×ビッグデータが「人事」を変える』福原正大、徳岡晃一郎・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023314552

————————————————-

◆目次◆

第1章 人事革命はすでに始まっている
第2章 AI×ビッグデータ革命とはいったい何なのか
第3章 日本の「人事」はAI×ビッグデータを受け止められるか?
第4章 アメリカ先進事例レポート
第5章 AI×ビッグデータとこれからの日本組織
第6章 日本の人事革命の展望:「GROW」の試み
第7章 AI×ビッグデータ時代の「人事」を生き残るために

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー